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4 ご飯をください。そして、寝床もください。

そういえば、晩御飯がまだだった。


仕事帰りで自宅のドアを開けたらここで、飯を食う暇もなかったことを思い出す。


何気に異世界トリップを普通に受け止めてる自分って凄い!そして、腹減った…。


「お腹空いた。今何時?」


そんなことを聞けるのはもちろん彼しかいなくって。


「先ほど神殿の鐘はなっていたが?」


なんだかんだ言って律儀に答えてくれる彼は意外といいヤツなのかもしれない。


「…それじゃあ、現代日本人の私には通じませんから。晩飯の時間はまだですか?」


神殿の鐘なんかで、異世界人の私が時刻を把握できるかってんだ。


「夕餉はまだだが、お前は一緒に食う気なのか?」


図々しいと言わんばかりの声に少しムッとなってしまう。しかし、異世界でいつご飯にありつけるかわからない。ここは彼の言動に乗っておこう☆


「食わしてくれるですか!?」


目をキラキラさせて言ってやれば、彼は目を見開いてから爆笑しだした。


「ついでに、寝床も貸してください。牢屋以外で」


図々しいついでに、寝床も要求してみる。

明日からは二連休だったから寝る気も満々だったからなぁ、私。ああ、あったかいご飯とあったかいお布団が欲しい。んで、夢オチパターンでお願いしたいわ。


なかなか笑いの収まらない彼だが、彼の肩が笑いで震えるたびに刃物が首筋に当たりそうになるのは勘弁してもらいたい。指で抑えてるといってもそんなに抑えの役割は果たしていなかったようだ。凹む。


そんな彼を無言で睨みつけてやれば、肩を震わせながら刃物を鞘にしまってくれた。それから、重そうな木の机の上にあるハンドベルらしくものを振った。


それにしても、汚い机だ。仕事中にしても書類の整理ぐらいしろよ…。


「はぁ~、久々にこんなに笑ったぞ。マール、本当にお前は何者なんだ?」


彼に話しかけられ、散らかっていた机から彼に視線を戻す。


「だから、日本人だって」


真顔で答えてやる。


「さっきも言ったが、日本人とやらはなんなのだ?」


目の端に涙が浮かぶくらい爆笑したらしい彼は目元を拭いながら問いかけてきた。


そんなに爆笑してんじゃねーよっ!!


「地球という星の小さな島国の日本という国に住んでいる種族ですよ」


わからないと思いつつも、説明してやる。私って、偉い☆


「地球…。日本…?知らんな」


知ってたら逆にビックリだっつーの。


「この世界にはないと思いますから。つーことで、私迷子なんです」


そう言って彼を見上げていると、彼は笑っていた。


…なんで、そんなに黒い笑みなのよ?

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