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16 屈辱のドレスを呪いたい

指の先から砂になっている感覚に襲われながら寝室へのドアを開ける。


ジェイはベッドの端に座り足を組んで何かの書類に目を通していたようだ。ベッドの上に様々な大きさの紙が散らかっている。


そんな彼とドアを開けた瞬間に目が合った。


「……」


「……」


お互い無言のやり取りを続けること数秒。…私には永遠に感じたけどね!

はらりとジェイの持っていた書類が宙を舞った。


「…ぶふっ」


噴き出したジェイの声を聞きながら、すぐさま脱衣所に逆戻りする。顔が異様に熱い。というか、全身から嫌な汗もダラダラ出てくる。


最悪だ。今の私の格好ときたら…。


結局、ズボンが入らずピンクのワンピースを着たものの鏡を見る勇気はなかったし。

いや、ワンピースに罪は無いんだよ。胸下からAラインに広がっていて、前面には白いレースでフワフワしてて。んでもって、肩は少し盛り上がって袖口は広がっててね…。

着る人が着れば、可愛いんだよ!?


ただ、三十過ぎに見える私が着たらどうなるかっ!!しかも、不細工が…。

マジで吐く。


脱衣所のドアに寄りかかり体育座りをして泣きそうになっていると、ジェイが近づく足音が微かに聞こえ、それからノックの音がした。


「…ぶっ、ず…ズボンはどうしたっ?」


笑うか喋るかどっちかにしろったんだ!!


何故それを着たんだと言いたそうにしながら、笑いを堪えてドア越しに話しかけてくるジェイに正直殺意を覚えた。


「…入らなかった」


恥を忍んでそう告げる。

この格好でまた出るか、新たなズボンを貰うかの二択なら…ズボンを貰うに決まってんだろっ!!


「くくくっ…。な、何だって?」


どうやら、よく聞こえなかったらしいジェイは聞き直してくる。

笑いはまだ収まらないらしい。マジ、死ねっ!


「だからウエストがきつかったって言ってんだろーがっ!!」


乙女(今だけはそう思いたい)にこんなことを二度も言わすなんて…!!許すまじ、ジェイめっ!!!


大声で叫んでやったら、ドアの外からあり得ないくらいのでかい笑い声が聞こえた。


マジ殺すっ!!!!!

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