表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
怪異探偵事務所   作者: 夜乃桜
置き忘れた想い

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/14

〈火焔の魔女〉


しみじみと当時を思い出す仁に、湊は気になっていたことを尋ねた。


「そんで」

「ん?」

「その〈魔術師〉さんはどない人?」


湊の問いに、仁は眼を瞬かせる。


「どんなって、真白の髪に真紅の瞳、歳は18か19ぐらい。あ、あと、刀を持っていた」

「……刀を持った〈魔術師〉……」

「ああ、炎を放つ不思議な〈チカラ〉を持った刀だった」


〈魔術師〉、横山玲奈との最初の出会いを、仁は話す。話を聞いた湊は眉を寄せて考え込み、口を開く。


「……それって、もしかして〈火焔の魔女〉ちゃう?」

「〈火焔の魔女〉?」

「……もしかして、仁君知らへんの?」

「知らない」


堂々ときっぱりと、仁は答える。そんな仁に、湊と小鉄は呆れる。相変わらず、『こちらの世界』の情報に疎い。


「………仁君らしいな」

「(うん、仁らしい)」


やれやれと首を横に振った湊が、〈火焔の魔女〉について話す。



〈火焔の魔女〉


魔術師たちの研究機関兼自衛組織の『魔術師協会・塔』に所属する〈魔術師〉。〈錬金術〉の大家と呼ばれる名門中の名家の若き当主。

珍しい武闘派の〈魔術師〉。刀を得物にし、〈妖刀・緋真〉の使い手。



〈妖刀〉


世界に十数本しかないと言われる〈人ならぬモノ〉を宿した、〈人ならぬモノ〉の意思を持った刀。人の〈カラダ〉を鞘に、使い手を選ぶ。



〈火焔の魔女〉の持つ〈妖刀〉は、〈妖刀〉の中で五指に数えられる刀と聞く。〈人ならぬモノ〉たちのなかで強い〈チカラ〉を持つ上位種〈猛火の大妖〉と呼ばれる〈九尾狐の妖狐〉を宿す〈妖刀・緋真〉。

〈火焔の魔女〉は〈妖刀・緋真〉の鞘であり、優れた使い手と有名だ。


「へぇ。そうなんだ」

「その反応はないやろ、仁君。あの〈火焔の魔女〉やで」

「(あはは。仁らしいね)」


他人ごとのような反応をする仁に、湊は呆れて小鉄は笑う。


「いやだって、まだ彼女が〈火焔の魔女〉だと決まったわけではないし?」

「まぁ。確かに別人の可能性もあるかもしれんけど、本物の可能性のほうが高いで」


仁の楽観的な考えを、湊は否定する。

刀を得物にする〈魔術師〉は、他にいないとは言えない。しかし、仁が見た刀が炎を纏う、妖しの〈チカラ〉持っていたことに、人の〈カラダ〉を鞘としていた。

ならば、玲奈が持っていた刀が、〈妖刀・緋真〉の可能性は充分に高い。そうなると〈火焔の魔女〉の特徴と一致する。


「そんで、仁君はどないするつもりなん?もし本物の〈火焔の魔女〉やったとしたら、この依頼とは手を切ったほうがええんやないか?」


〈火焔の魔女〉は『魔術師協会・塔』に強い影響力を持つ『こちらの世界』の大物とも言える存在。そのために〈火焔の魔女〉の敵は多い。下手に関わりあいをもてば、仁が危険にさらされる可能性はある。


「心配しすぎだよ。湊さん。まだ、本物だと決まったわけではないし、もし本物の〈火焔の魔女〉だとしても、依頼が終われば関わることなどなくなるんだから、大丈夫」

「……仁君がそう言うやったら、ボクは口出しせぇへんけどなぁ」


湊の心配を断ち切るように、仁はソファーから立ち上がる。


「さて、湊さん、小鉄。夕飯は食べるでしょ?すぐ作るから、待っていて。それと、野崎修のことはおねがい」

「……わかったわ」

「(仁!オイラ、おなかすいたから大盛りにしてね!)」

「わかってるよ。小鉄」


夕飯の支度をしようと、仁は台所に向かう。そんな仁の背中を眺める湊が呟く。


「これは面倒事になるかもしれへんなぁ」


湊が呟いた言葉が本当になるとは、その時の仁は思いも知らなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ