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トントンとピコのお話シリーズ

トントンとピコと大切なもの

作者: zero
掲載日:2025/10/18

昼の森。

トントンの家の庭では、トントンとピコが木の枝や葉っぱを使って遊んでいました。

ふたりで作っていたのは、小さな「森の町」。

枝で家や道を作って、川のかわりに小石を置いて――楽しい時間のはず、でした。


「ピコ、それ僕の家の場所だよ!」

「えーっ、ここの場所はオイラの家にするんだ!」

「ちがう!そこは僕のだ!」


トントンが枝を引っ張ると、ピコも負けじと引き返します。

ぐいっと力を入れた拍子に、枝がバチンとはねてピコの羽にあたりました。


「いたっ!」

「……そっちが引っぱるからだろ!」

「オイラのせいにしないでよ!」


トントンはむっとして、腕を組みました。

「もう知らない!」

「オイラだって知らない!」


ピコは怒って家の隣にある自分の巣に戻り、トントンは庭を出て森の奥へ歩き出しました。

風がやみ、森はしんと静かです。


(もうピコなんて知らない)

トントンは唇をかみながら歩き続けました。

でも胸の奥がちくりとして、なんだか寂しくなります。


やがて、前の方でガサガサと音がしました。

「ピコ?」

木の陰から顔を出したのは、見知らぬ人間たちでした。

手には網と長い棒。


「おい、ブタがいるぞ」

「ほんとだ、捕まえよう」


ばさっと音を立てて、大きな網が降ってきます。

トントンは驚いて逃げようとしましたが、足がもつれて転びました。

「やっ! やめてっ!」

もがいても、網はどんどん締まっていきます。


そのころ、巣の中でうずくまっていたピコがふと顔を上げました。

風の中に、聞き慣れた声。


「……トントン?」


胸がドキンと鳴り、ピコは巣から駆け出しました。

「トントン!どこー!」


枝をくぐり、土をけりながら森を走り抜けます。

草をかきわけた先で、

荷台に縛られたトントンの姿が見えました。


「トントン!!トントンーっ!!」

ピコは声をふりしぼって走りました。

けれど短い足では追いつけません。


やがて、荷台が入っていった工場の煙突から白い煙が立ちのぼりました。

ピコはその場にへたり込み、涙がぽとぽと地面に落ちました。



挿絵(By みてみん)



「トントン……ごめんね……ごめんねぇぇっ……!」


ピコが叫んだ瞬間、視界が真っ白になりました。

空が歪み、森が溶けていきます。


――気づけば、自分の巣の中。

朝の光が差しこんでいます。


「……ゆ、夢?」


ピコはあわてて駆け出しました。

トントンの家の戸をあけると、そこには――

パンケーキを焼いているトントンの姿。


「ピコ! おはよう。……昨日はごめんね」


ピコの目からぽろぽろ涙が落ちました。

「オイラこそ……ごめん! もうケンカなんてしない!」


ピコが泣きながら抱きついてきて、とまどうトントンでしたが

それでも優しく抱き返しました。



挿絵(By みてみん)



ふたりの影が、朝日に長くのびていました。

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