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〜ローラ編〜

ジェシカは星見の業務をする傍ら、時間が出来れば一ヶ月に一度はこうして他の差し入れを渡すついでに他の星見の様子を見に行くという日課がある。


今日訪ねたのは……ーーー


「こんばんは、お茶会しません?ローラさん」


そう言ってひょっこり乙女座神殿に顔を出してきた


「こんばんは、お茶会しましょう」


そう言って優しく微笑むのは乙女座の星見、ローラだった。彼女はとても優しい お人好しなので時折騙されてないかと心配してしまう。

「あら、お時間大丈夫です?無理しないでくださいね♡」

ローラは神殿でのお仕事がなければボランティア活動をしているほど多忙な人なのだ、大丈夫なのかと心配になった


「時間は明日お休みなので…大丈夫です」


「まあ奇遇ですね!?私もです♡星見モードはお休みです」


甘いお菓子が大好きなので2人はよくティータイムを共にする。


「今日はゆっくり夜更かししようかなと思ってるの。夜食は太るからしないけれど」


それもそうだ、せっかくだからお喋りでもしよう、と


「では蜂蜜入りの牛乳をお出ししますわ」


ジェシカはいそいそとマグカップに牛乳を注ぐ


「ありがとう、嬉しい。私に出来ることがあるなら、言ってちょうだい。」


とんでもない、普段ローラは忙しい人だ、これくらいはやらせてほしい そう思って


「あら、そのまま寛いでくれたら良いわ。今は業務ではないから普通に喋るわ」


ジェシカは星見の時とプライベートの時では口調を変える。どうにもローラ相手だと子どもっぽい言動になってしまう。


「うふふ〜そうだわ。どうです?他の星見は」


人間関係を探るため、もあるが何か気になる事がないかを探るためでもある。ジェシカは人間の星見としては最年長という責任感から色々と把握しておきたいからだ。


「どうって…?」


ローラはキョトンとする


「どんな印象かしら、と。ああ、抽象的過ぎましたね

ごめんなさい」


これはわかりにくいですよねーと反省したジェシカだが、ローラは少し考え込んで、


「んー…印象ね。難しいわ。でも、いい子が多い印象…。大丈夫よ、構わないわ。まぁ、星見としての責務をしっかり果たしてくれるのなら、私は安心できる…かな。自信が無い子もちゃんと自信を持って欲しいとも。」と言った


そう。私と同じね…とジェシカは頷きながら


「ふと気になった事があって」と切り出す


「ローラはクリスさんが好きなのかしら」


2人の間にはどうにも言語化しにくい空気がある。それを探りたかったのだが、上手い言葉が見つからない


「………どうしてそう思ったのかしら?」


うーん、これはどう言った方がいいものか


「なんとなくよ、直感」


まあ間違ってはいないのだ。こうとしか言えない


「好きじゃない…。むしろ苦手と言った方が…いいかしら。」

ーーへぇ、そうなんだ じゃあこの違和感はなんだろう?

「あら、そうなの。こりゃ意外」

「意外だと思ったのかしら。私は彼に好意を抱いてはないわ。それは明言する。」


「まあ、抱かないでしょうね」


あのクリスの性格的に確かに想像出来ない


「彼自体もそういうことには興味無いと思うし。」


まあそんな気はするな


「星見としては損得勘定抜きで真摯に向き合ってほしいですがね」


うん、これは本当に思ってる


「……それも、そうね。貴方は彼の事をどう見ているのかしら?」とローラが聞いてくる


「優秀で実力ある星見です。まあ、最もお互いに性格は合わないですが」


これも本当だ。間違いなく優秀だが、どうにも考え方が合わない。向こうも私を嫌っている


「………そう、そう思ってるのね。彼の事は。私はとにかく苦手。好きにはなれないわ。これからもずっと。」

「なるほど。裏の顔を見ても、ですか」

「…………人の裏の顔は恐ろしいものだと思うけれど。」

「?」

「いいえ、何でもないわ。気にしないでちょうだい。」


ーーーなんだろう?この違和感は。でもこれ以上聞いてもローラはおそらく言わないだろう、と判断して


「星見に関わる事でなければプライバシーは基本関与しないわ」


そう言うしかなかった


「プライバシーを詮索されるのは嫌がる人もいるから、しない方が得策よ。」


まあそればそう、ですね


「そうね。ただローラ 怪しい店に通ってないわよね?」


これは普通に心配で聞いた


「怪しい店…?どれも素敵な店よ。来たことがない雑貨屋さんとか街で売ってる商人さんのところでしか買ってないわ。」

「そ、そう……貴方は優しいからちょっと心配なだけよ」

ともあれそれを聞いて心底安心した


「幸運とか厄除け…あとは健康とかそういうのに惹かれちゃうだけ。だって皆には笑顔で過ごして欲しいもの。」


それを聞いて思わずジェシカは


「うふふ、貴方は本当に優しい。誰よりも周りを気にする聖者」


ローラは本当に立派な星見だと改めて実感した。私にとってはマイクと並んで尊敬出来る数少ない星見だ


「皆笑顔で…幸せに過ごした欲しいから。私は。だから、その為に何かしてあげたいだけ。自信が無い子達にも勇気づけたい。ほんとにそれだけ。」


それを話す彼女はどこか遠くを見ているような

その視線はどこを見ているのか気になった


「私にはそのような気持ちは、あったかしら」


ふいにポツリとそんな言葉が零れ落ちる。私は優しさよりも規律や秩序を重んじてきたらどうだろう、と


「んー、そうね。あるわ。ジェシカが楽しそうにしてるところを見るのが好き。笑顔でいて欲しい。貴女には暗い顔なんて似合わないから。」

「人間としての星見歴は最年長ですが、私には貴方のように純粋に誰かのためって思えたかしらと。ほら、私は星見に関しては厳しくなるから」


私に良い感情を持ってない星見はいる。それは重々承知しているが、気にしていてもしょうがないのだ


「…その厳しさだって、私は大事な事だと思うわ。ジェシカの気持ちはわかるし否定もしない。誰かの為ね……ジェシカはしっかりと誰かの為に行動してるとは思うわ。私今お茶会に誘われて気持ちが楽になっているもの。」


それは、良かった。


「まあ私も悩みはありますよ。肉体年齢に引きずられてるので、面白いからという理由でクリスさんの神殿に突撃しようと思ったのですが、ソフィアさんには全力で止められてしまいました」


ローラは怪訝な顔で


「それは確かに…やめた方がいいと思うわ。彼が何言うか分からないし驚くと思うから。神殿に突撃するなら、許可を取ってからにしなさい。」


ド正論を言われ、何も言い返せなかった


「はぁい」


「ねぇ、ジェシカ。私にもしも何かあった時に私の部屋にある日記を読んで欲しいの。そんな時なんて来て欲しくないけれど。」


…???


「え?日記……?やだなローラ、まるでいなくなるみたいな事を言わないでよ」

「大丈夫よ、…居なくなったりなんてしない。もしもの時なんだから、深く気にしないでちょうだい」


ますます意味がわからなかった


「?わかった。こんな楽しくて幸せな時間がいつまでもあるのが嬉しいのよね。一人一人神殿にお邪魔して差し入れくらいなら大丈夫でしょ?サンドラみたく不法侵入しなきゃいいのだし」


「楽しい時間を噛みしめないとね。時間は有限なのだから。」


本当にそうだ 楽しい時間はあっという間だから


「楽しむ٩(ˊωˋ*)و」とジェシカは子どものような無邪気な声で笑った


「それなら、大丈夫。お邪魔して差し入れするなら。

不法侵入はだめよ、基本的に。」

「しない!」

「ん、いい子。なでなででもしてあげましょうか?」


何故かローラ相手だと幼い言動になってしまう


「ローラだからか言動が外見年齢に引っ張られる…!;˙꒳˙;):」

「ふふ、許して。」とローラは笑って頭を撫でてくる


ジェシカは顔をぷくーっと膨らませて

「その、私普段はちゃんと大人でしょう?星見モードはちゃんと大人らしい言動でしょう?気を抜くと外見年齢に引っ張られるから大変なのよ?ローラだと完全に言動が子どもになってしまうわ!」


「星見の時はそうね、ちゃんと大人としてしっかりとしてるわ。気を抜いて子どもの貴方も好きだけれど。それに、私の前で子どもらしくいるのは嬉しく感じるけれど。」


彼女の前ではどうにも本当に調子が狂ってしまう


「なんかついそうなってしまうの……(•'-'•)モジモジでも、そう言ってくれて嬉しい」


「どちらでもジェシカはジェシカだもの。それに気楽な方でいてくれたら、私は嬉しい。」と微笑んで頭をなでなでしてくる。


完全に子ども扱いされてるわ…と焦り、


「あわあわあわあわ うえーんやっぱり調子狂うぅぅう」


と大人気なく喚いてしまった


「…いいじゃない別に。可愛らしくて好きよ」となでなでなでなでしてくる


「……他の人には内緒だよ?ソフィアさんの前でうっかり出して、飛んだお転婆な人言われたꉂꉂ(ᵔᗜᵔ*) 私は大人なのにぃぃい」とまた大人気なく喚いてしまった


「あらあら…。そんな時もあるわ。それにソフィアさんはそんな姿見れて嬉しいとも思ってそうだけれど。

でも、どう思ってるかは分からないわね…。あまり交流はないし」


星見同士はそんなに頻繁に交流を持たないだろう。特にソフィアはあまり関わらないと明言していたのだから。


「そうかなぁ〜年長としてこうローラみたいな優雅な大人になりたい( ´•̥̥̥ω•̥̥̥`) 年長としての威厳がこう……」と言ったが、「んー…威厳ね。無理に威厳をつけるとそれはそれで疲れるでしょうし、ありのままでいる事が大切だと思う。私がそういうのあまり気にしてないから…参考にはならないけれど。」と言った


ジェシカとしてはちょっと気にしていた


「え、そんな事ないよ嬉しい!自分が未熟な証拠かなって気にしてたから…… けど、多分どっちも私なんだと思うわ」

「そう、どっちも貴方。どちらも大切にするべきものだと思う。無理に押し殺すなんて駄目よ。それにジェシカ、貴女は未熟なんかじゃない。立派な星見よ?」


ローラは本当に優しいな。それに大人だなぁと思った


「本当ならローラをきちっとフォローするカッコイイ年長を目指してたんだけど……。私が逆に励まされちゃったえへへ ありがとう♡」


と弾けるような笑顔で言った


「どういたしまして…。もうかなり夜遅い時間だけれどジェシカは寝なくても大丈夫かしら…?」


見ればかなり遅い時間になっていた。もう山羊座神殿に帰らなくては。確かに眠い


「ふみゃお開きにしましょうか。ローラ優しいから落ち着く( ˘ω˘ ) スヤァ…」


寝そうになるが、「ふみゃ…ふふ、可愛い」とローラは優しく微笑んだ


ジェシカは激しく起き上がり


「はっ!ごめんなさいこんな時間だわ。お開きにしましょう!」

「いいえ、気にしてないわ。可愛い姿を見れたと思えば、起きていて良かったと思うわ。」


ローラは本当に優しい人だった


ジェシカは帰り支度をして「優し過ぎる……ありがとうローラ!(´▽`)じゃあ神殿に帰るね!おやすみ〜♪ またお茶しようね〜!」ととぶんぶん手を振って帰るジェシカを「おやすみなさい、ジェシカ。またお茶会をしましょうね。」と優しく微笑んで見送っていった



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