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「私が最期に植えた花」  作者: 夜影 月雨
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幸せな団欒

 彼についての話や、他の話をしているうちに気づけば、窓から見える景色はオレンジ色に染まっていた。


 「ただいまー!」

二人揃った男女の声が聞こえ、下に降りる。

美華の両親だ。


私たちは2階から駆け下り、玄関まで出迎えに行った。


 美華「おかえりー!」


 唯愛「こんばんわー!今日からしばらくの間、よろしくお願いします!」


 美華の母「ただいま!唯愛ちゃん久しぶり!こんばんわー!ゆっくりしていってねっ!今日は焼肉にしようと思って、パパと帰りに買い物してきたのよ!」


 美華の父「せっかく唯愛ちゃんが来ることだしと思って、いつもより高いお肉買ってきたぞー!はっはー!」


 美華「おぉ~!パパ格好つけちゃって~!」


そお、これが木下家の普通。

誰もがうらやましがる、理想の家族なのだ。


彼女は中学の時、一瞬だけ反抗期というものが訪れたらしいが、すぐに終わったと聞いた事がある。

3人の暖かい会話を聞いていると、私までもつい家族の一員になったような気になれた。


そして、夕飯の支度を皆でやり、一緒の時間に、同じテーブルで向かい合い、

"いただきます"をする。


 美華「ん~!このお肉最高じゃない?唯愛!」


 唯愛「うん!柔らかくて、すぐ口の中で溶けちゃうねっ!」


 美華の父「奮発した甲斐があったな!こりゃ~また明日からも仕事頑張らんとだなっ!」


 美華の母「つい張り切りすぎてまた腰痛めないようにねーパパ」


 美華「そおだよ~!もう私達と違って歳なんだから!」


 唯愛「無理はせずですよっ!」


 美華の父「はっは~!こんなにも可愛い二人に言われると余計気合いが入っちゃうよなぁ~!」


幸せな時間。


私は美華に会うまで、家族との団欒というものが、なにかわからなかった。

皆が向かい合い、なんともない会話を楽しむのが家族というものなんだと。

大した深い話なんかしなくてもいい。

こうしているだけで、今日皆がちゃんと生きてる事が確認できる。


私の家族は皆、各部屋にいるからその日、本当に家に帰って来ている事すらわからない。

リビングで帰りを待っていれば良いのだが、木下家と違って空気が冷たい。


私がもっと美華のように成長していたら...


 こうして私たちは、夕飯を食べ終え先に二人でお風呂に入る事にした。


二人で湯船に浸かる。


 美華「唯愛!少しおっきくなったね!」

そお言いながら、人差し指でツンツンしてくる彼女。


 唯愛「あっ!ちょっ...!触らないでよ~!」


 美華「私のも触ってみて!高校の時よりもさらにおっきくなったから」

そお言って彼女は私の手首を持ち、自分の胸に私の手の平を当てた。


 美華「ほらねっ!おっきいでしょ!ちょっ...あっ!」


少し手の先を動かしてしまい、それに動揺してしまう彼女。

顔が急に赤くなり、二人は下を向く。

いつも泊まりにいった時は一緒にお風呂に入っていたが、こんな事は初めてであった。


 唯愛「もー。急に触るからつい声でちゃったよ~!」


 美華「ごめんっ!私もっ...」


 唯愛「...でも二人でお風呂にはいるの楽しいねっ!」


 美華「そおだね...でも...唯愛から直接そんな事、言われると恥ずかしいから~!」

そして二人は笑顔になった。


そう。


私たちはこれでいい。


これでいいのだ。


家族でのコミュニケーションが必要なように、私達二人にもこういったコミュニケーションは必要なのである。


 こうして私たちはお風呂から出て部屋に上がり、ドライヤーでお互いの髪を乾かし合いっこをした。

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