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「私が最期に植えた花」  作者: 夜影 月雨
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未熟な私

 美華「公園のベンチに男の人が座っていない?」


 唯愛「うん...」

その私の返事で彼女が気づく。


 美華「へぇ~。あれが海さんなんだ~」


私はいつもと違う時間に現れているのと、久しぶりに彼の姿を見た事よりもなぜか、彼の様子がおかしい事に気になってしまっていた。


 唯愛「なにかあったのかな...」


 美華「...私先に家に帰ってるから、話しかけに行ってきたら?」

その場で提案した彼女。


以前つい怒ってしまった事を謝りたい自分もいた。

でも、なぜか今の彼に近づけるオーラではない。


そして私は言う。


 唯愛「今日は話しかけないでおくよ...わざわざ違う時間帯に来てるって事は、私に会いたくないわけだと思うし...」

決して彼を、恋愛対象として見ていたわけではない。

だけど、気になってしまう私。

それに自然と彼に対して、最大限の気遣いをしている自分もいた。


私の後ろにいる美華。

気づけば私は、彼女よりも前で彼の事を見ていた。

彼女は言う。


 美華「唯愛がそういうならオッケー!また明日にでも会えるかもしれないしねっ!じゃあ家に帰ろっか!」


 唯愛「うんっ!」

そお言って私達は、今回は彼に話しかけずに終わった。


ようやく部屋に着いた私達は荷物をおろし、窓から公園を眺めながら二人は話す。


 美華「海さん、もういなくなってるね。ちょうど帰るタイミングだったんだ」


 唯愛「そおだね...」


 美華「でも思ってたのと雰囲気違ったよ」


 唯愛「どんな感じと思ってたの?」


 美華「どちらかと言えばもっと陰キャな感じかと想像してたけど、清潔感あるし優しそうな感じだったね」


 唯愛「でも今日はどこか暗くて、様子が変だった...」


 美華「そお見えたんだ。私にはわからなかったよ!普通な感じだった」


 唯愛「そおなの?なんかめっちゃ落ち込んでるように私には見えたけど...」


 美華「唯愛だけが感じる何かがあったんじゃない?」


 唯愛「そおなのかなぁ。またいつかの朝にでも会えたら話しかけてみるよ。前ちょっと怒ったみたいな感じで終わっちゃったから、謝りたいのもあるしね」


 美華「うんうん。唯愛がそおしたいならそうした方がいい。何かあったらすぐ私が助けに行くからさっ!」


 唯愛「ありがとう美華。せっかく海さんに会えたのにね」


 美華「焦っても何もイイことないよ。ゆ~っくり私達らしく前に進もっ!」

そお言って彼女は私の頭を優しく、ポンポンとしてくれた。


本当に彼女の言う通り。


焦っても何もイイことがないのは、高校生の時にたくさん実感した。


恋愛というものを知らなかった私は、香りに誘われそのまま恋に落ちた。

そして、すぐに自分の思いを伝えた。


もしあの時、束の間の感情に流されず、冷静に先の事を考えていればあんな事にはならなかったはず。


自分自身が傷を負うくらいならまだしも、美華にまでかなりの深い傷を負わせたのだ。


私に恋愛は早かった。


まだまだ未熟な私だから。

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