需要と供給では決まらない世界。
中学の社会の時間に、「売ろうとする商品の量より買おうとする商品の量が少ないと、売り残るので市場価格は下がります。逆の場合は市場価格が上がります。市場の価格はこのように需要と供給が一致した点を均衡価格といいます」と習ったのではないでしょうか?
最近ネット上で値段が高いや安いに関して「需要と供給って知ってる?」ってドヤァって言っている方をたまに見ますが本当にそうでしょうか?
実際のモノの動きはどうなんでしょうか?
調べやすい世界の例を出してみます。
A君が石油を買おうとしています。
WTI石油の価格が2022年12月5日現在1バレル80ドルです。
これは適正な需要と供給にあっていて買うべきでしょうか?
ちなみに1バレルの石油を取り出すのにかかる費用はサウジアラビアで1バレル15ドル、地政学リスクの高いアフリカの国で40ドル、シェールガスなどで有名なアメリカでは値段差が大きいのですが70ドルと言われています。(多分)
これだけを見ると15ドルで作れる80ドルで売るなんてぼったくりだ。って思いませんか?
簡単に言えばぼったくりですね。
ただし、別の観点からみるとぼったくりではなくなるのです。
サウジアラビアで税収では1バレル80ドル弱で計算されているとか。(雑誌情報。裏どりなんて私にはできませんよ)
欧米で2030年で脱炭素社会を実現しよう。って騒ぎありましたよね?
そうなると当然サウジアラビアでも石油が売れなくなる前に別の稼ぎ口を得ようと財政出動を増やすわけだから安売りはできないんですよね。
そこに戦争がからんできます。
ロシアが動いた上に、そのロシアが天然ガスや石油の輸出国だったということで一気に価格が上昇しました。
ここに欧米のインフレや中国のゼロコロナ政策により経済の冷え込みの懸念が高まり130ドルを超えた価格が80ドルに落ち着いているというのが2022年12月5日現在と言われています。
※ちなみに2020年にはWTI先物は歴史上初のマイナスの値段をつけました。この辺り調べると面白いですよ。
ちなみに「需要と供給」は予測でありIMFもOPECも日銀も業界も銀行も「1年の石油の需要と供給の予想」をします。
この予測の何を信じるかも人によって変わると思いません?
貴方はIMFが1バレル100円といい、日銀が1バレル110円と違う「均衡価格」を出したらどっちを信じますか?
※ここでの均衡価格は分かりやすくしただけで、公的機関がピンポイントで値段を出しません。もし出したらすべての市場関係者から叩かれて辞任するでしょう。理由は知らん。
また年初にロシアから石油買ったらダメって言っていた欧州が1バレル60ドルなら買っていいよと言ってきてます。
そうなるとロシアが売るか売らないかは別にして年初に出した予想が変わり均衡価格は変わるわけです。
計算ででればいいんですが、そんな不確定要素が多いモノ計算できる人がいるわけがないので「思惑」で動くのです。
その結果1年前は120ドルのWTIの価格が先週は1バレル70ドル台をつけたわけです。
※もちろん別の要因も大きく影響しています。
さて、最初の質問に戻ります。
2022年12月5日にA君は1バレル80ドルで石油を買うのは正しいと思いますか?
私の答えはわからないです。
ということで、「需要と供給」で値段決まっている。そんな中学の社会の時間に習ったような世界あればいいよなぁって思う旅人でした。
※当然ですが100円で仕入れたジュースを110円で出して薄利多売を目指すか350円でプレミアム商品としてブランド化を目指すかとか個人で値段が決められるものは全く別の話ですよ。
会社の事はよく知りませんが、あなたの会社の値付けはどうなっているでしょう?
需要と供給できめているんでしょうかね?
会社勤め時代の見積もりって会社の規定通りでやってたので需要と供給なんて知らないんですよね。
最近観光地で売っている美味しくない地方特産の滅茶苦茶に高いお土産とか需要と供給とか生産の計算してんっすかね?
ちなみに学生時代に旅行にいってTシャツ5000円で買ったら、バイトの店員さんが私がドアを閉める寸前に「1000円のやつ5000円で売れたよー」って歓喜の叫びを店長に報告しているのを聴いたことがあります。
需要と供給だから私は大丈夫。騙されてないもん。
私が5000円で買いたかっただけだもん。