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第七話 初戦!

「――で、何で俺らはご飯作ってるわけ?」


四人はグツグツと煮えたぎるはんごうを見つめていた。火は、攻撃魔法系魔法使いの、ノノが魔法で出したらしい。


「タクヤのHPが満タンじゃないからね。HPが15になるまで、ご飯食べて回復してもらうよ♪」


数分後、はんごうからかすかに焦げた匂いがしてきた。火からはんごうをどけて、さらに14分蒸らした。


そして――、


「おお! いい匂い!!」




『ご飯が完成した』




「……な、なあ。おかずは?」


タクヤが問うと、セルジュは首を横に振った。


「用意してなかった。ごめん♪」


ガクッとタクヤは虚を突かれた。


「ノリならあるよ♪」


「もう! それでいいよ」


四人はノリで巻いたおにぎりを、数個食べた。




「うん!」


「おお」


「イケる!」


「美味しい♪」




ノノ、タケヒコ、タクヤ、セルジュはそれぞれ声を上げながら食べる。それなりに美味かったらしい。四人はすぐにおにぎりを食べ終えた。


「タクヤ、スタートボタンで、ステータス確認してみな♪」


「! お、おうよ」


タクヤはセルジュの言う通りにステータスを確認した。




『HPは15/15』




「おお、満タンになった!」


「良かったね♪ じゃあ、この村を出ようか?」


「ええ!」


「よっしゃ!」


ノノとタケヒコも意気揚々と立ち上がった。




『村を出ますか?――、はい』




――、


最初の村を出ると広大な草原が広がっていた。


「ヒュー、気持ちが良いねぇ」


口笛を吹くタクヤ。と、辺りには背丈の高い草むらも存在しており、そこからガサッ! という音と共に水色の何者かが!!


「!?」




「ぬらぁ」


「ぬぬらぁ」




『スライムが2体現れた』




「おうおうおう、第七話にして最初のバトルか。いいぜぇ。4体2でこっちの方が分がある。さっさとやっちまおうぜ! 皆!!」




「おう!」


「うん!」


「りょーかい♪」




――と、


(身体が……動かない……)


タクヤは自身の身体が思うように動かせないコトに気付く。


(何故だ……何故身体が……)


すると、ビービーと警告音と共にテロップが現れた。




『行動を選択してください』




「!?」




『行動を選択してください――、戦う、回復、アイテム、逃げる』




(そういやコレ、ゲームだった……! 『戦う』で――)




『ピ! 殴る……』




「俺は殴る一択かよ!! ファイターって切ねえな(泣き)!! クッソ! やってやる、てりゃああ!!」




「ゴッ!!」




「ベシャァアア!!」


「ぬぬぬ」


スライムの顔面は横半分、ぶっ飛んだ。


「よし! 相手のHPは!?」


タクヤはステータス画面を見る。1匹のスライムのHPは4/12となっていた。


「よっしゃ! あと1ターン以内で倒せる!!」


「俺も続くぜ!!」


タケヒコもタクヤの後に続く。




『戦う――、斬り付ける』




「とりゃああ!!」


「スパッ……」


タケヒコはタクヤが攻撃したスライムに、さらに攻撃を加えた。




『HP:0/12、スライムは倒れた』




スライムが1体、戦闘画面から消えていった。それを見ていたノノ、杖に力を込める。


「私だって……! ええい! フレイム!!」




『戦う――、フレイム』




「ボワッ」


もう1体のスライムに、攻撃魔法を使った。


「ぬらっ!」




『スライム、HP:5/12』




「よし! 効いてる!!」


そこで――、


「ぬぬっ!!」


スライムが反撃してきた! 




『スライムの体当たり! ヒット!』




「あうっ」


スライムの攻撃はノノに当たった。




『ノノ、HP:6/12』






「あうー、やられたー」


「もう、仕方ないな♪ 回復魔法、ヒール!」


セルジュはノノに対し、杖を振った。


「シュイーン」


ノノの身体は、杖の動きに呼応し、光り輝きだした。そして――、




『ノノ、HP:12/12』




「ありがとうございますー」


ノノはセルジュに礼を言った。


「いえいえ、コレしかできないんで♪」


ザンッと、タクヤは構えている。


「まったくしょうがねえなあ、とどめは俺が刺す!」


「やれやれ、いいトコ取りか? しゃーない。剣士より少し“素早さ”が高いファイターに、任せるとするか」


「たああああああ!!!!」


「ベシャァアア!!!!」


タクヤはスライムの身体を拳で打ち抜いた。




『スライム、HP:0/12、スライムは倒れた。勝利! タクヤ達は経験値をもらった』




「よーし!」


意気揚々としているタクヤ。テロップを注視する。




『タクヤ、Lvアップ、3→4。タケヒコ、Lvアップ、4→5。ノノ、Lvアップ、2→3』




「くぅー、タケヒコにレベル負けてるのかー。くやし! てかノノ、レベル低過ぎじゃね? 大丈夫かよ。それでよくこのゲーム過去に8割9割クリアしたな」




「ガーン」




タクヤの心無い一言は、ノノに突き刺さった。左膝をついた後、フルフルと震えるノノ。と、不意に口を開いた。


「るっさい!! 攻撃魔法系の魔法使いは! 大器晩成型なんですよ!! 今に見てなさい、フンだ」


「あらー、スネちゃった。そうだ、セルジュも」


「?」


「今回のバトル、セルジュだけレベルアップしなかったけど、何で? 1人だけ戦ってないから、経験値少ないとか?」


(なっ! コイツ、底無しKY野郎!?)


タクヤの言葉に、軽蔑し始めるノノであった。セルジュは首を横に振った後、答えた。


「ノンノン、私はLv22だから、さっきのバトルじゃ経験値が少なすぎてレベルアップしなかっただけだよ♪」




「は!?」


「!!」


「!?」




セルジュの爆弾発言に、三人は言葉を失った。


「じゃあ何で、始めの村に居たんだよ!? もしかしてネチネチレベル上げ陰キャなのか!?」


「それもあるけど、面白そうなパーティが通るまで、テキトーにレベル上げてただけだよ♪ こんな魔法しか使えないから、ダメージ受けて自分で回復して、の繰り返し♪♪」




((マゾヒスト……!!))




三人は言葉を失った。

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