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第百十七話 戦い、終わって――。

「序盤、手に入れたお米はっと♪」


実家の蔵から、セルジュはお米を用意する様だ。


一方でタクヤ達三人は――、


「1泊一人あたり20コインになるよ」


実家の母屋で、宿泊をする様だった。


「ハイハイ、こちとらボス戦終わって大量のコインがあるからねーっと」


じゃらんとタクヤは80コインを手渡した。


「も一人来るからな!」


「ですです」


タケヒコとノノも、母屋に入っていった。玄関から廊下に出て、つき当たりを右に行くと、台所があった。


「炊飯器、あるな!」


暫くして、セルジュが駆け付けた。


「お米持ってきたよー2合でいいかな?」


じゃらじゃらとタケヒコは米を研ぐ。そして――、


「ピー!」


炊飯器で米を炊き始めた。


数十分後――、




『おおー!!』




パーティ全員はその炊けた米の艶やかな光り具合に感動した。




「どーよ? ウチの実家の自家製銀シャリは」


「現実世界でもタクヤんとこの飯は旨いからな」


「じゃー私が握ります!」


「♪」




タクヤ、タケヒコ、ノノ、セルジュは朗らかな時間を過ごす。


数分後――、


「出来ました!」


ノノの手製のおにぎりが完成した。


「塩加減、完璧ですよ?」


辺りは暗くなっており母屋の縁側からは星たちがキラキラと空一杯に見えていた。


「キレイ……」


『じゃあ、いただきまーす』


ノノ以外の三人は、おにぎりに夢中だった。


『んまー!』


「ほら、完璧でしょ?」


フッフーとノノは鼻息を荒げながら自慢げに話していた。




――、


「食った食った」


「いいねぇ」


タクヤはお腹を抱えており、タケヒコは楊枝をくわえていた。ここでタクヤが三人へ切り出す。


「なぁ……皆……」




「?」


「??」


「♪」




「ゲームはコレで終わっちゃったけど、また皆でこのゲームプレイ……できるかなぁ……?」


「難しいだろうな」


「! ――」


タケヒコは迷いなく否定してきた。


「皆社会人で、それぞれの暮らし、時間がある。小学校の様に夕方になってバイバイを言ってまた明日会えるって風にはならない。でも……」


「でも?」


「このパーティでやってきた冒険、その思い出は一生モンだ。何時まで経っても、忘れないぜ?」


「! タケヒコぉー」


「なにセンチになってるんですか、タクヤ君らしくも無い。タクヤ君は『クリアしたぜー! げへへへ』って言ってりゃ良いんですよ」


「ノノ……何だよ……それ……」


タクヤは両目を赤くさせながら、こみ上げてくるモノを我慢できずにいた。


(タクヤ♪ 僕……やるよ)


ゲーム内では一夜明け、解散するコトとなった。




それから現実世界で2、3日後――、


「は……ハイ! セイジと言います!」


「で? 志望理由は?」


「ハイ! 今まで自堕落な生活をしていて、それを変えようと、一歩踏み出そうと思いました。何故この分野にしたかと言うと、勉強が、学生時代の得意分野だったからです!」


セイジ(セルジュ)は引きこもりを止め、家庭教師のバイトの面接を受けていた。


「早起きできる?」


「ハイ! 問題ないです!」


「じゃあ前向きに検討させてもらうよ」


「ハイ! 今回は面接の機会を与えてくださり、ありがとうございました!!」




一方でノノは――、


「んー、あのゲームしてないと時間が空くなー。久しぶりに電源入れてみよっかな? ん?」


チャット欄に1通、届いていた。


「? タケヒコ君!? やっば、読まなきゃえーと、『ノノへ――、現実世界ではタカヒロって言います。単刀直入言う。俺と、デートしてくれませんか?』」


ノノがひっくり返った。


「Oh!!!!」




一週間後――、


綺麗な川が流れる橋の上で、タカヒロは誰かを待っていた。しきりに腕時計を見る。


(10分前行動じゃ……早すぎたか……)




「タケヒコ君?」




「!?」


タカヒロが振り向くと、そこには淡い水色のワンピースを着た、ノノが立っていた。


「ノノ……」


「現実世界では、初めまして……だね」


二人は少し顔を赤らめた。


「行こっか?」


「あ……、ああ」


二人はゆっくりと歩きながらとりとめのない会話を交わす。


「だからぁ。実際の名前は、タカヒロな」


「それなら私は、野村ノノカ」


「ノノカって呼んでいいか?」


「良いよ。私もタカヒロ君って呼ぶね」




「ノノカ……ねぇ……」


「タカヒロ君♪」




『!?』




不意に、学芸会の木の役の様な格好をしたタクヤとセイジが現れた。


「タ……、タクヤ君!?」


「セイジ!? お前が何でここに……!? あ! セルジュってセイジのコトだったのか!?」


「そゆこと♪」


「あっ! お前らあのゲームのチャット欄盗み見したな!?」


「バレたか(笑)」


「ふっふっふー♪」


(うぅータカヒロ君との折角のデートが、邪魔モノによって台無しに……)


「ノノって幸臼そうなみすぼらしい格好してると思ってたけど違ったな。まあでも、俺やるコトないから実家に帰るわ。じゃーな」


「っは!(タクヤ君が空気読んだ!! 大分失礼だけど……)」


「じゃあ、二人はお楽しみで♪」




「……」


「……」




『これからはLineで連絡取り合おう……!』




タカヒロとノノカは同時に同じコトを思った。




――、


タクヤは、ゲームクリアを通じて、かけがえのないモノを学んだ。帰るべき場所があるのは幸せなコト、一緒に戦ってくれる仲間が居るのは大切なコト。そのコトを人生で生きる上での強さに変え、これからもタクヤは生きて行く。


「たっだいまー!!」


 完



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