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◆第四話〜造船都市エバンズ〜

「あんた…それホントに言ってんの?」

やっぱり信じてもらえないか…。全て話した。本気で言ったのだが、コーヒーを険しい顔で啜ってるあたりをみると信じてもらえているか不安なものだ。

「ちょっと来てくれる?…っと、やっぱりその前に自己紹介しよっ。名前知らないままってのもあれだし。」

先程とは違う笑顔を見せながら、女は話し出した。

「あたしはサラ、サラ=リリック。そっちの白い髪のが天宮雪乃あまみやゆきの。私たちはユキって呼んでるわ。」

ウィルがユキに視線を投げると、食べかけのパンをくわえたままヒョイッと片手をあげて応答した。細い体なのによく食べる子だ。

「俺はウィリアム=ダーリス。皆にはウィルって呼ばれてた。」

そう言ってからウィルははっと気付いた。皆はどうしているんだろうか。まだあの化け物がいたらおそらく…。どうやら早急に事態を把握する必要があるようだ。

「さて、自己紹介も終わったし、そろそろ行きましょ。」

「行くって…どこへ?」

サラはフフッと含み笑いをすると嬉しそうに答えた。

「私たちの第二の家よ。」



†〜・〜・〜・〜・〜・†



カーンという甲高い音が休みなく連続的に聞こえてくる。此処の造船所はいつ来ても活気があるな。

キール=アビエーターは久々に帰って来た故郷の造船所を満足そうにみまわした。子供時代、此処はキールの遊び場みたいな物だった。といっても彼にとっては今も…だが。キールは10歳だ。まだ子供、と言えるのだが、彼は自分を大人だ!と評価する。それは自分が立派な技師であることを認めてもらいたいからだ。実際、彼は齢10にして国内屈指の造船技師である。

「なー、オッチャン。コレもーちょっと安くなるだろ?」

「さっきから言ってるだろう。その値段でも買うやつは山ほどいるんだ。サァ帰った帰った。」

シッシッと追いやられるがあれはどうしてもほしいパーツなのだ。あれがあれば旅も大分楽になるだろう。彼の言う旅とは、スペラーと呼ばれる特別な人間のための旅だ。この世界には「ライド」と呼ばれる生きた災厄がいる。それを倒すことの出来る可能性のある限られた人間…それがスペラーである。スペラーが使うのは通常の魔法とは違った特異な魔法である。それが発見されてから世界中でキール達のようなスペラーのために旅をする人間たちが大勢現れた。しかしまだその魔法を使うことが出来る人間がいないというのが現状だ。その魔法は「ラスト・スペル」と呼ばれ、この世界では誰もが知っている伝説になっている。いつか誰かが成し遂げてくれると、生きた災厄を終わらせてくれると。しかしスペラーのための旅なのに…キールのチームにはスペラーがいない。スペラー以外の人間は揃っている。ただ単にスペラーがいないのだが、そのせいでキール達は便利屋として知られている。地方に出現した魔物の退治や、国際機関の手伝いなど、その幅は多岐にわたるが、キールは不満だ。自分の技術がライド討伐の為に使われない、それが歯痒かった。

―――。―――!?


遠くから聞き慣れた声がしてキールは自分が設計、製造をした飛行艇の方をみやる。見知った顔が二つ、飛行艇ヘ入っていく。しかし次の瞬間にはキールの顔が険しくなり、飛行艇ヘと走り出していた。


「あいつ…。何者だ…!」

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