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◆第二話〜世界に落ちて〜

まだまだ楽しい部分には行けませんね…頑張って書いております。よろしくお願いします。

「……オキロ…。」

…誰だ…?無機質な声にウィルは不機嫌そうに瞼を開いた。

「オキロ……。」

冗談じゃない。こっちは体が動かないんだ。ウィルは動かない指先を見るために首を捻って手の方へ目をやる。すると視界の端に黒い革製のブーツが映った。

「…オキロ…。」

どうやらこの人が俺に声をかけているようだ。目線だけを動かし、顔を確認する。ピエロの様な仮面を被っている。仮面のせいで素顔は確認できなかったが、体つきから男だということがわかった。男は涙が描かれた右目でウィルをじっと見つめているようだった。いったいこいつはなんなんだ…。ウィルが探るように男を見ている時だった。

「…起きなけレバ…シヌゾ…。」

気付いたときにはウィルは跳び起き、男から距離を取り身構えていた。悪寒…いやそんな表現では生温い、あれはまさしく殺気。人生で初めて感じた死の恐怖。それがウィルを動かしていた。

「…ヤレバ出来ル…。」

男はうまくいったとばかりに少しうれしそうに喋った。

「お前はいったいなんだっ!?」

殺気は無くなったが、いまだ自分の中にピンと張り詰めた緊張の糸を感じながらウィルは恐る恐る尋ねた。

「わたしハ『ジャック』…。時ヲ操り、世界ヲ回る…言わバ世界ノ管理人…ト言ったところカ。」

ジャックはさも当たり前、と言うように答えると、ゆっくりとウィルに近づいた。身構えながらウィルも後ずさる。

「怖がらなくテイイ…君ヲ迎え二キタ…。」

「悪いけど、何のことかさっぱりだ。他をあたってくれ。」

「君モ見たダロウ…悪魔ヲ…。」

ウィルの眉がぴくりと動いた。悪魔…。フロートボールのフィールドを燃やし、チャーリーを傷つけ、自分を殺した…………まてよ…死んだ…?誰が…?それはもちろん自分だろう。では今の俺は…?

「俺は…死んだ…のか?」

知っているのはこの男しかいない。ウィルはそう思った。

「ソレハ君次第でアリ私次第でモある。」

なるほど。つまり俺の返事次第でこいつは俺の命をどうこう出来るってことか。

「…条件はなんだ。」

ジャックはニヤリと笑うと、自らの仮面に手をかけ、ゆっくりと外した。仮面のしたからは少し髭をはやしたダンディーなオッサンが出て来て、ウィルは将来こんぐらい渋くなれたらいいな…などと少し思ってしまった。

「君にはあの悪魔を倒してもらいたい。」

声もこんなに渋かったのか…。そんなことを悠長に考えていたウィルは、聞こえた言葉を自分の中で数回繰り返した後、

「いや…無理っす。」

自分がどれだけ非力かは自分がよく知っている。ましてやあんな化け物…。

「君には力がある。君にしか…奴を倒すことは出来ない。」

まるで奴を知っているかのような口ぶりだ。これではますますこいつがきな臭くなってくる。

「あれはいったいなんだ…。」

ジャックは少し考えるようなそぶりを見せると、少し説明が必要だな…と言って話し出した。

「パラレルワールド…という物は知っているか?」

パラレルワールド…今現在と同じ時を刻む…異なった…今。ウィルは頷くと続きを促した。

「あれはそこからやってきた…生きた『災厄』だ。」

「生きた…災厄…?」

「そうだ。その世界では『ライド』と呼ばれている。」

「で…でも…なんでそれが…。」

ウィルは取り乱したような声をだし、ジャックに尋ねた。生きた災厄など、信じられる話ではなかった。

「詳しくはわからないが…おそらく空間の歪みだろう。そこで君の出番だ。私は空間の歪みを作り出した輩を見つけだす…。その間にライドのほうを潰して欲しい。」

潰すって…一体どうやるっていうんだ。あの化け物に銃なんかの類が効くとは思えなかった。

「そういった事は此処の住人に聞くといい。誰でも知っている伝説だからな…。」

此処の…と言われても…。ウィルはぐるりと辺りを見回した。辺りはどこを見ても黒。闇のような空間だった。そういえばおかしい…なんでジャックだけははっきり見えるのか…。黒い服で身を包んでいるのにも関わらず、だ。もしかしたら人間じゃないのかも知れない。だとすると…。

「まだ…世界が見えないかね?」

思考を途中で遮られ、ウィルは少しむっとしながら答えた。

「この黒いのが世界だってんなら…見えてる。」

「フッ…君は面白いな。」

精一杯のいやみも鼻で返され、ウィルは反抗をやめた。

「そろそろ世界をみてもらおう。」

ジャックが手を一つ叩く。するとジャックの周りから世界が色づくように広がった。広い草原、遠くに見える針葉樹林。ウィルの見たことのない光景。

「んで…此処で何を……。」

ジャックへの質問だったのだが、そこにジャックは既にいなかった。

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