◆第一話〜ウィリアム〜
初めまして!蓮ノ花です。プロローグについては世界観を感じていただければ幸いです。次は少しテンポのはやい感じで作ります。サット書いてとっとと本題に移っていきたいと思います(笑)それではどうぞ。
『決めた〜!!ウィリアムこれで二点目!チームエバンズ、駄目押しの三点目を叩き込みました!!』
マイクで拡張された実況の声が大きく会場に響く。エバンズのファンサポーターは自分の贔屓のチームのワンサイドゲームに歓喜し、こぶしをあげて声を張り上げた。
フロートボールと呼ばれるこの競技は無重力に設定された四角い箱の様なフィールドのなかで、浮いたボールを相手ゴールに入れるというスポーツ。チームエバンズはリーグトップを守り続ける強豪チームだ。そのエバンズのエース、ウィリアム。金髪金眼、程よく付いた筋肉、少しお調子者、そんな彼は今日もチームを勝利に導く…はずだった。
『おや…?なんだか雲行きが怪しくなってまいりましたね。』
ウィルはそんなはずはない、と空を見上げた。今日は一日晴天だったはずだ。しかし空は暗く厚い雲に覆われていた。これは降るかもしれないな。ウィルがそう思ったときだった。轟く轟音、光る稲妻、人々の悲鳴。コートに雷が落ちたと気付いたのは横たわり、黒く燻りをあげるチームメイトを見つけたときだった。
「チャーリー!!!」
ウィルがチームメイトに駆け寄り抱き起こし、大丈夫かと声をかけてやる。チャーリーは目に涙をため、弱々しく腕をあげると空を指差し、一言だけ呟いた。
「……悪魔…。」
あくま…?ウィルはチャーリーが指差すほうへ顔を向けた。
空には大きな悪魔がいた。恐ろしい顔で上空からウィルに指を突き立てていた。そこから光が自分のほうへ向かってくるのがわかった。それがさっきの雷なのかはわからなかったが、一つだけ理解できた。
あぁ…俺は死ぬのだ。光が自分を貫くのと同時にウィルの意識はとぎれた。