sideシン【6】
男だから? 俺が男だからなのか?男女差別だ、エコ贔屓だ……。
俺は妖魔や妖霊神を倒したい。
ここが姉の書いた物語の中なら尚更、奴らを倒してコニーを守ってあげたい。
姉の書いた筋書き通りに、とか、なんかムカつくし。
「上手く転げ回してシンの目的に協力してもらおうか」
「…………。はい!」
ミゲルさん、本当に悪い大人だなぁ。
でも頼りになる!
「ではちょっとおめかしして行こう。女を誑かす時は形から入らないとね」
「じゃあ俺、あの人たちを宿に連れて行ってきます」
「あ、それもいいけど、まずはコニッシュに彼女たちが来ていることを伝えてきてくれないか? 多分会いたくはないだろう。鉢合わせしたら嫌な思いをするんじゃないか?」
「あ……そ、そうか」
俺は明後日、魔物の討伐に行く。
コニーにはそれを伝えているし、なにか護符を作ってくれてたから、もし城の前に見送りに来てくれたりとかしたらうっかり遭遇するかもしれないんだ。
見送り……見送りとか、きてくれるかな?
きてくれたら俺すごくはしゃぎそう。
だってコニーって普通に可愛いじゃん?
俺、ステータスに[状態異常耐性・高]っていうのがあるから、マジで魅了は通用しない。
それでも彼女のことを「可愛い」「優しくていい子」って思う。
っていうか、実際すごく可愛くていい子じゃん?
人の気持ちを、とても深く考えてくれる子。
だからこそ、『ヒカリ』との対比が激しい。
「俺、ちょっとコニーに声かけてきます」
「必要ならば城の東の方の離れに移るといい、と伝えてくれ。客人ならばある程度行動をこちらで制限できる。勝手気ままに出歩くようなら追い出すしね」
「ありがとうございます!」
「コニー、いる? 寝てる? もしもーし。…………寝てるのかな?」
借家に戻り、お隣のコニーの家の扉を叩き、声をかける。
反応はない。
日が昇ると“夜”になる、この国——当然、それは“寝る時間”なわけだ。
だから、寝てるのかな、と思った。
でもそもそも気配がない。
変だな?
もしかして、まだ魔法ギルドで頑張ってる?
ミゲルさんもかなり遅くまで“残業”してるし……ありえる〜。
「?」
戻る前に自分の借家のトイレに寄って行こう、と門を潜った。
軽い気持ちで開けた郵便受けになにか入ってる。
袋……小さな巾着……いや、これ、護符袋だ。
中身が入ってる?
持った瞬間体がほかほかとあたたかくなってきたから、『自動回復』の——。
「コニー、もう作ってくれたんだ」
すごいな、ちゃんと有言実行してる。
なんだかんだとネガティブなこと言ってるけど、決めたことは絶対やってるよね、コニー。
すごいなぁ、俺なんて決めたことなに一つできてない。
妖魔を倒して、いつか妖霊神も倒す。
そう大口叩いて、未だに魔物の一匹も倒せてない。
兄さんが考えたラノベの主人公なら、転移したその日にでっかい魔物を倒して人を助ける。
今でこそマンガアプリのコメント欄に「テンプレ飽きた」なんて書かれるけど、何度読んでもスカッとする展開なので俺は好きだ。
まあ、兄さんが書籍化してコミカライズされてるやつは主人公じゃなくて、主人公が仲間になる人たちが無双する感じ、だったけど。
俺も兄さんの書いた物語の仲間たちみたいに、人を圧倒的な力で守り助けられるようになりたいな。
コニーのことを、もっと笑顔にできるような強い男に……。
「あ、トイレ」
——しかし、家にコニーはいなかった。
仕方なくトイレを済ませてから町まで来てみる。
魔法ギルドなら足取りがわかるかもしれない、と来てみたものの……。
「コニッシュさんですか? すでに帰宅しておられますね。ぐふふふ」
「そ、そうですか」
ケートさんに聞いてみたら、そう言われてしまう。
溜息を吐いてから、俺もほとほと眠くてあくびを一つ。
うーん、お風呂入ったあとだし“夜”だし、どうしよう?
「ちなみに、コニーが今どこにいるか、とかケートさんはわかりますか?」
「占ってみます? 有料ですけど」
「ぐっ……」
「ぐふふ、くふふふふ……冗談ですよぉ」
突然、入口から店舗内に引っ張られてカーテンが閉まる。
え、なに!? なにか吸われる!?
襲われるのかと思って慌てて戦闘態勢を取るが、包帯が巻かれた顔が真横に寄り添わてゾッとした。
「赤い竜の妖魔があなたとコニッシュさんをずっと調べていました」
「!」
「ここは防音、情報遮断の魔法がかかっていますが、それでも相手は妖魔……このままお聞きなさい」
「…………」
こくり、と頷く。
目の部分が、光ってる。
ケートさん、怪しいけど信じていいのかな?
でも、妖魔……。
妖魔が、俺とコニーを調べてた?
俺は招き人だから、狙われてるっていうのは最初から言われてきたけど、コニーも?
なんで?
「あの子……コニッシュさんに与えられていた妖霊神の加護……あれはマーキングの効果もあります。妖霊神に加護を与えられた者は、そのマーキングを逆探知して妖霊神の下へと行くのです。妖魔たちは水先案内人といったところでしょう」
「え……っ」
「一応、コニッシュさんには注意しました。一人で出歩かないように、と。……家に帰っていないんですよね?」
「っ……」








