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護符作りパート1【中編】


 ——というわけで、朝食後……私とシンとジェーンさんは城下町へと出かけた。

 やはりまだ夜=朝、というこの国の常識には慣れない。

 とはいえレイヴォル王国のように陽が昇る=朝、だとお店もほぼ開いていないし、開いているお店は水商売や“夜間食堂”とかだし、歩いている魔人さんは“夜勤”だし、慣れていかなければならないのよね。

 それに空は真っ暗と言っても、町は提灯や灯籠で歩くのは問題ない明るさ。

 魔法ギルドへの道も、受付さんへの依頼のやり方もちゃんと覚えたわ。


「鑑定士のケートさんにお会いできますか?」


 魔法ギルドの受付でそう聞くと、一つ目玉のサイクロプスの女性が「お待ちください」と丁寧に対応してくれる。

 この国に来たばかりの頃は一人で歩くのがすごく怖かったけど……最近こういう種族の人にもかなり慣れたな……。

 私の魔眼を見ても、本当に誰も気にしないし。

 やはり私が気にしすぎなのだろうか?

 でも、やっぱり……。


「お待たせしました。現在来客中のようですが、間もなく終わるそうなのでお店の前でお待ちください」

「ありがとうございます」


 とはいえ、やはりこの移動魔法は怖いので目を閉じて三十二階まで昇る。

 廊下に降りると、店舗からちょうどお客さんが出てくるところだった。


「…………?」


 ぞわりとした。

 すごく綺麗な女の人だったけれど、頭に角がある。

 蛇の魔人であるプリンさんのような鱗。

 赤い髪、真っ黒な瞳……あれ、この人……前にどこかで見たような……?


「コニー? どうしたの?」

「美人に見惚れるのがシンはんでなくコニッシュはんとは。そういう趣味だったんどす?」

「ち、違いますよっ! ……なんだか、見たことがある気がしたんですけど……」

「うん? 珍しい人でしたぇ? 多分セレンティズ竜王国からの冒険者さんと違います? あの角の形は竜人種の人どす」

「竜人……!」

「この国には住んでまへんけど、冒険者さんはよく来ますぇ」


 竜人。

 ……竜人? 本当に?


「そ、そうなのでしょうか……?」

「どういうこと?」

「え、ええと……よく、わからないんですけど……」


 なんだろう、どう言えばいいのだろう?

 でもなんだかおかしいの。

 竜人と聞いて、直感のようなものが「違う」と叫ぶのだ。

 でも、本物の竜人を見たこともないのになんでそんなことが言えるの?


「次の方〜」

「あ、行こう」

「はっ、あ、は、はい、そうですね」


 今考えても仕方ない。

 それより、せっかくここまで来たんだもの、ケートさんにしっかり色々聞かないと。

 お金も払っていることだし!


「こんにちは」

「いらっしゃい〜! グフフフフ……」


 や、やっぱりこの笑い方が苦手なんだよね。


「今日はどのような用件で?」

「あ、あの、実は護符効果付与に関して相談がしたくて……。それから——」


 まず、ケートさんに護符袋を作っていたことを話す。

 そしてシンに護符も作ってあげたい。

 護符に関しては素材もさることながら効果を付与する魔法陣ややり方、取扱についても、私はなにも知らないのだ。


「なるほどなるほど、ぐふっ、グフっ、グフッ……」


 な、なにかおかしなことを言っただろうか?

 そんなに笑われるようなことを言った覚えがないのだけれど。


「事前に聞いてくれてよかったですよ。護符は作るのにも一応資格が必要でしてね」

「え、そ、そうだったんですか」

「え、そうだったんどすか?」


 ジェーンさんも知らなかったの!?


「登録のあと、護符に魔力付与できるか試験を行うんです。護符を作るのは意外と危険が多いので」

「え、そ、そうなんですか!?」

「護符っていうのは、まあ名の通り守り札の一種なんですよ。本来は災いから家や場所を守ったり、災いが遠くへ行かぬように縫いつける効果があります。護符はその効果を、最大限に強くしたものですね。しかし強すぎるがゆえに効果は長続きしなかったり、扱いを間違えると効果を発揮しなかったりします」


 それを安定させるためのものが護符袋。

 てっきり効果を長持ちさせるためのものだと思っていたけど、持ち歩くためにだったり、誤った使い方をして効果を損じないためだったりと色々な理由があったらしい。

 特に小さな子どもに『無事故』を祈るような護符は、護符袋に入れるのが最適。

 なるほど……。


「一応聞きますが、どのような効果の護符をお望みなのですか?」

「あ、ええと、彼が今度魔物討伐に行くそうなので……なにかお守りになるようなものを、と思って……」

「なるほどなるほど。グフッ、グフフフフ」


 だから……な、なぜ笑うのだろうか。

 その笑い方が不気味で苦手なんですよぉ〜。


「討伐に行くなら『防御力向上』、もしくは『自動回復』の守りがよいでしょう。攻撃無効化の守りは、初撃で役目を終えてしまいますから、討伐任務には向いてません」

「『自動回復』……難しそうですが、私でもできますか?」

「その確認も兼ねて、試験を受けてみますか? 付与魔法が使えるなら簡単だと思いますよ。受かったら明日、護符作りを手伝いましょう」

「! 本当ですか? ……じゃ、じゃあ……」


 ということなので、ケートさんのことはなんとなく苦手だけど、その試験を受けてみた。

 本当に簡易なもので、小石に魔法付与をするもの。

 小石に付与した魔法は、『耐毒』の魔法。

 初めて使った魔法だけど、うまく入ってくれた。

 無事に合格したので、魔法ギルドから「護符作れます」的な証明書を発行してもらう。

 これで簡易な護符作りの仕事を受けられるようになったらしい。

 でも、護符師とは違うのだそうだ。

 護符師はこれのプロ。

 簡単な護符を一千枚魔法ギルドに卸すと、護符師を名乗るための試験を受けることができるとのこと。

 うーん、そこまでではないかな?

 と、思うのだが……。


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