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燃える戦線

 さ、子供は五人か。結構連れ帰ってしまった。

 馬はとりあえず狩部隊に任せたが。


 いや、決して馬肉にしようと言うことではないからな。そこだけは間違えないように。


 まぁ簡単に言うと人間三人、エルフ一人、と有翼人が一人だな。


 有翼人とか初めてあったな。取り返すために使者が来るだろうからそん時に帰すか。前世とおんなじ感じなら事情話してすんなり引き渡しに応じればそんなに気にしないだろうしな。


 エルフは里を探すのがめちゃ難しいから帰せ無さそうだな。


 人間は、帰りたいって言い出したら帰すか。村の名前ぐらいはわかるだろ。


 名前は聞かないでおく。愛着が湧くと帰したくなくなるからな。


 リズは特別と言う事で。


 お、帰ってくるととりあえず木の柵で家の周りを囲っているようだ。その外側に小さい家がポツポツとでき始めていた。作業早いな。建築の動きも疲労もないからこその速度だろう。一人一人家を個別で作っているようだ。


 残った人数はかなり多かったし現状防衛は人数少なくても大丈夫だからな。


 リズはまだ帰っていないようだ。結構俺の帰りが早かったからな。


 騎馬戦スタイルで急いで帰ってきていた。


 どうしたんだ?


「村がまた襲われてる!! 今度は凄く沢山の部隊が来てて勝てそうにない」


 リズの目は潤んでいて、その表情に胸が締め付けられる。


 俺はやれる事をやるだけだ。


「え?」


 お前ら、俺と共にもう一度死んでくれるか!!


「「オォォオオオ!!!!」」


 三十人の部隊は作業を放り出し、俺と共に駆け出した。


 もしもの時のためにリーダー役のゾンビと数人を残して、俺たちは走り出した。


 馬? あれは狩った肉や素材を売るために人間に成り切るためのフェイクだ。俺たちが走った方が早い。


 俺は空へ跳んだ。


 敵の数はおおよそ千。キラキラと煌めくヤイバを抜いた騎馬兵や杖を持った者もいる事からこんなちっちゃい村々を潰す人数、質じゃない。他の国へ戦争をかける為の要所なのだろうか。


 対して村の人々は百いるかいないか。装備も鍬や鋤ボロボロで勝てる見込みはゼロだろう。


 俺たちが加勢した所で勝てるものじゃない。


 が、それは一般常識でしかない。作戦次第では勝つことも不可能ではない。


 おそらく戦力を分配出来る能力も無いだろうと向こうは踏んでいるようで魔術師は後ろに配置されている。一般の魔術士は近距離戦が苦手なものが多いからな。故にそこだけ叩ければ後は俺が範囲魔法で焼き殺せばゾンビが一人三十人殺せばなんとかなる。


 と、簡単に言ったがそううまくはいかない。相手も命をかけてきている。


 あれがただの部隊なら倒せる可能性はあるが、精鋭で上級冒険者が何人か混じっていたら死ぬしかない。

 十人いれば多分全員でその十人にかかっても勝てないだろう。


 分配が実は罠ならその時点で全滅確定。


 凄まじくこぇぇが死線は何度も前世で超えてる。


 行くぞ、お前ら。

 

 各々持ち場につき、俺達は背後から静かに近づき、超近距離で一人づつ魔術士たちの首を捻り折る作業を開始した。


 乾いた音が響く。しかし戦争の怒号と馬の足音で誰も気づかない。一人づつ潰していくが、やはり途中で気づかれ無数の色の光が俺たちを囲う。その全てが魔法。一身に受ければ死んでしまうその量。


 ゾンビが前に出て血を硬質化、盾として使う。


 思ったより早く気づかれてしまったな。


 炎の魔力を出来るだけ圧縮し放ち相手の体内で爆発させる。これにより、魔力の消費が抑えられる。


 距離とタイミングを合わせんといかんから狙いをつけるのが格段に難しくなる上に、相手が中級冒険者程度の能力があれば魔法の動きが見えるからばれて簡単に打ち消される。


 が、この差だと無駄遣いは出来ない。幸い敵の動きは単調でかつ腕前も低いからこの手が通じる。気を抜く事なく殲滅を続ける。


 部隊が二分され半分がこちらへ向かってくる。


 合図とともに一斉にゾンビ集団が引き上げ、俺は全魔力を練り上げ放つ。


 巨大な魔法陣が展開され、五本の円柱が立ち上る。舞い上がった馬と兵士達が驚愕の色に顔を染める。


 次の瞬間には地に落ち、鈍い音が戦場に轟く。殲滅数としては半分にも満たなかったか。


 しかし皆恐れ慄き散り散りに逃げていく。


 一匹でも逃せば更に強い軍が来る。何人か捕虜にして国ごと叩かないと。


 うわぁー、これで良い国だったらやだなぁ。


 散り散りに逃げる残兵をゾンビ達が血を棘の形にして心臓を貫いていく。


 断末魔と死体が燃える炎のゆらめきの中、村のものたちに姿を見られてしまったことに気がついた。


「ば、化け物」


「近くなっ!!」


 彼らは急いで逃げ村へ帰っていった。


 そうか、そうだよな。俺たちは、人と交わることはない。


 ただの自己満足でも良い。やはり、この感覚は慣れるものじゃないな。


 燃えて剥き出しになった地面を抉り取り握り、遠くに逃げた敵を狙撃していく。ただの投合だが。


 今回はついてたな。どうやら精鋭ではなかったらしい。


 もしくは、これが本隊ではなかったか。だとすれば相当な大国だ。戦に向けて一通りアンデッド化しておく。魔術士に関しては体の損傷が酷いが可能なのだろうか。


 魔術とは別枠のようで、しっかりと全員にかけた。


 捕虜は五名。その他は全て殺した。はず。追跡中のゾンビの頑張り次第だが。


 必要な犠牲というやつだ。俺は静かに祈りを捧げた。


「英雄ミッション、騎士団の壊滅を達成しました。魔力を贈与します」


「英雄ミッション、初陣を達成しました。魔力を贈与します」


「英雄メインミッション、アクイド皇国を滅ぼせを受注しますか?」


 よくわからんがすげー悪そうな名前だしはいで。


「メインミッションを開始しました」


 それと共に、いつもの感覚に襲われる。体が、骨が、ビキビキと音を立てて、血管が破裂しそうな程に痛む。いつもと違う感覚。俺は焼け野原に一人倒れた。


 


 

 

 

 

 

 ここまでは爽快感ありましたが、残念ながらおれつぇぇえ系の小説ではないです。多分。

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