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償い

 おい、リズしっかりしろよ。


 まさか、俺がやったのか?

 俺はとてつもない後悔と辛さで胸が締め付けられる。


「英雄ミッション、召喚妨害に成功しました。魔力が贈与されます」


「英雄ミッション、魔神教団幹部の討伐に成功しました。魔力が贈与されます。


「英雄ミッション、魔物の討伐数千を達成しました。魔力が贈与されます」


「英雄ミッション、魔物の討伐数一万を達成しました。魔力が贈与されます」


「英雄ミッション、アンデッドの天敵の条件を満たしました。ギフトアンデッド生成を手に入れました」


 アンデッド生成。そこまでして彼女は喜ぶだろうか。


 もう元の人格に戻れないかもしれないし、そうなったら本当に俺の手で殺めなければいけない。


 今の俺にできるだろうか。


「勝手に殺すな」


 息も絶え絶えな状態で、リズは弱々しい笑顔を作った。あぁ、生きてて良かったが先は長くなさそうだ。

 俺に癒す力があれば。


 久しぶりの感覚が俺を襲う。体が軋み歪み、体の密度がギュッと凝縮され、これまでにない力を得ている感覚。


 これまでならワクワクしていただろうが、今の俺はひたすらに回復能力のあるモンスターになる事だけを祈った。


 とてつもなく軽い体の感覚、地面に触れる二本の足。体を循環する魔力が体を走り回る感覚。


 これは行けるかもしれない。


 前世で治療士から教えてもらった治癒魔法を必死に使ってみる。


 目から涙がとめどなく溢れてきて、前が見えなくなりながらも体内の魔力回路と魔法陣の構築に全意識を集中させる。


 リズから眩いばかりの白い光が立ち上り、傷がみるみるうちに塞がっていく。


 本当によかった。一生後悔が残るところだった。

 前世の行いが・・・・・・よくは無かったがまぁついてた。


「ん? お兄さんだぁれ?」


 どうやら寝ぼけてるようだな。


「え!! ロドリゲス!? 亜人かと思った」


 ん、あぁそういえば人型に進化したんだったか。完全にリズを治す事だけを考えていた。


「治療魔法かけてもらわなくても全然平気だったんだからね!!」


 今の俺に、そのリズの見栄っ張りなところもすごく愛おしく思えて腕でぎゅっと抱きしめる。


「ごつごつしててくるしー」


 思わず抱きしめてしまった。でも、本当に良かった。


「私もロドリゲスが戻ってきてくれて良かった。あのまま魔神になっちゃうかと思った」


 本当にごめんな。


 と、数時間気がおさまるまで謝り倒した。


 さて、森はこの状態だしマントでも作って人間の街に行ってみても良いかもしれないな。


 亜人は一応差別対象になったりもするからな。


 それに万が一魔物ってバレたらまずいし。


 山が近い事もあり、滝があったのでそこで姿を確認すると、爬虫類型の亜人。


 が五倍位ゴツくなった感じだ。初めて見る魔物だな。


ゴブリンとオーガほどの差があると言っても過言ではない。


 流石にこれを人間と認めるやつはいないと思う。

 魔力量、膂力から見るにN級卒業かな。C級のモンスターぐらいにはなれたんじゃなかろうか。


 上級魔法使いで四人パーティーを組めば倒せるレベルだろう。


 使える魔法は身体強化系の無属性、回復系の聖属性、炎の元素系魔法。リザードマンの上位互換と考えた方がしっくり来るような。


 魔物は基本的に魔神の近づくにつれ人間に近づいて行くからな。


 どこまで行っても人間にはならないのだが。


 とにかく、ハイリザードマンとでも名付けておこう。リザードマンはN級だしちょうどそんなもんだろう。


 俺は近くの俺が暴走して倒した木を爪で研ぎ、槍を作り魚をとり、リズに仲直りの印の焼き魚を振舞った。


 こうして空は暗くなっていき、長かった一日が幕を閉じた。

 

 翌日、天気の良い朝だ。結局一睡も出来なかったから日の出をじっくり見ていた。地平線までよく見えた。


 まだ寝ているリズをおぶって、安心できる拠点作りにでも勤しもうか。この辺りは悪くないと思う。


 人間と急に出くわす事も少ないし、魔物がいそうな地形もいくつか目視できる範囲である。


 それに、俺が暴れた時に強い魔物の匂いがこびり付いているようで弱い魔物は近寄ってこない。


 本来俺は弱い魔物のはずなんだが、理解を超えている。ギフトと関連しているのだろうか。


 そんなことを考えながら音を立てずに、倒れた木を加工し、炎の魔法で乾燥させ木材をとにかく作る。


 それを組み立て五日ほどで粗末な家を作る予定だ。


 遅くないかって? 最長の話だ。慣れてるわけじゃないからな。


 こうして、俺たちの拠点作りが始まった。

 今日も投稿頑張りました。今日は早く寝れそうだ。

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