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 主がひどい怪我で帰ってきたのを探知した私は可能な限り速く駆けた。


「主!! しっかりするのだ」


 回復魔法を何度もかけ、あらゆる手を尽くしたが、呪いなのかそれとも何か別の原因があるのか出血が止められない。


 主が暮らしていたであろう家にまで連れていき、ただ見守る事しかできない。


 せっかく真の主を見つけたというのに、また元通りか。


 この胸の苦しみはなんだろうか生きてきて一度も味わった事のないほどの苦しみだ。


 こんな苦しみを受けるために我は。


 幾つかの月日が過ぎた。


 暗雲が立ち込め、昼も夜も暗く染まる。


 滝のような豪雨と共に雷が猛る。


 その何の波動も感じなくなった抜け殻をただ抱きしめることしか我には、いや私にはできなかった。


「主、なんでこんな事って」


 雷の光で周りが見えなくなるほどに。雷が落ち、地面をつたい私の体をやさしく包み込む。


 主の体が微かに光を帯びる。


 微かな拍動、今にも消えそうな程の小さな拍動。それは徐々に大きくなる。


「主!! 帰ってこい!!」


 もうその手を、主のそばを離れたくない!!

 主は小さく笑った。


「心配かけたな」


 雷雲は霧散し、晴れ間が出来る。なんだろうかこの心の温もりは、主に会ってから何かがおかしい。


 だが、とても私はそれが心地よいのだ。


 主に私は強く抱きついた。


 

 あっぶな。危うく死ぬところだったわ。お花畑が見えたぜ。トールはずっと俺の看病をしていてくれたようだな。トールの透き通るような青い目に涙が溜まっている。


 そのシルクのような金色の髪を優しく撫でる。本当に綺麗だと俺は心から思った。


「本当にありがとうな」


 俺はトールを強く抱きしめ、それにトールも応じた。

 

「???ミッション、黄泉帰りを達成しました。???を贈与します」


「英雄ミッション、生涯の伴侶を達成しました。魔力ポイントを贈与します」


 ちょっと待て。確かにトールの事を凄く愛おしく感じたが、そう考えると強く意識してしまう。


 こんな感情はいつぶりだろうか。


 だが待て、いくら愛おしくても相手は馬だぞ、それにリズも待ってる。いやリズはちょっと小さすぎてそういうのとは違うが。いや俺も龍だから問題はないんだが。いかん思考がぐちゃぐちゃになっている。


 トールの甘い香りがふわりと鼻に触れる。待て、トールは俺の事を慕ってくれているんだ。愛しているからこそ失望させるわけにはいかない。毅然とせねば。


「よし、俺はもう一度ダンジョンへと向かう。もう負けはしない」


「主、ならば私も一緒に行く。私は主の盾であり剣だ」


 凛とした瞳で見つめられて不覚にも顔が赤くなりそうになる。


 なんというか、言ってることは同じなんだが俺が死ぬ前より全体的に女性らしくなったような。いかん、完全に思考が持っていかれている。


 かなりの時間が立っていたようで、街の様子は一変していた。なんというか全体的に街がボロボロというか。


 しかし活気は前よりもより大きかった。


「あれからどれだけ時間が経ったんだ」


「三ヶ月と十二日、本当に主が帰ってきてくれて良かった」


 トールの俺の手を握る手が強くなった。いつもの強気で無表情なトールからは予想できない儚い笑顔をこちらに向ける。


 それは美術品のようでいつまでも見ていたいと思った。


 ホテルの部屋の料金を再度支払い二人の部屋を取ろうと思ったが、よくよく考えたら荷物とか捨てられてるんじゃなかろうか。


「お帰りなさいませ、お部屋の方は変更させて頂きましたが、高貴なお方から預かっておりますので宿泊料については結構です」


 どこかの王族が払っておいてくれたらしい。結構って言われるレベルだから相当だと思うんだが誰だろうか。


 部屋はかなり広くなり、キッチン寝室リビング客室書斎と分かれており、バルコニーにも出られる。


 あったら死ぬほどお礼言おう。


「そういえば主が持っていたこれはなんでしょう」


 謎の球体だ。魔法を封じ込めておける魔石に見た目は似ているがかなり大きいし、魔石をこのように綺麗に加工できる技術は無いはずだ。

 触れると、祝福するかのように花火が上がる。


 ちょっと待て!! ここ室内!!


 可燃性のものじゃなかった。焦らせやがって。


「おめでとうございます、貴方は獅子の大迷宮を略奪しました。貴方はこの迷宮のマスターとして、この大迷宮を管理していただきます、つきましてはこちらは未知の迷宮となり、DPと迷宮はそのまま引き継がれます」


 は?


 


 

 

 もう恋なんてしないって考えてる人が恋愛について書くってなんか面白いですね。

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