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血溜まりの中

 訳の分からない奇怪な笑い声を上げながら、奴の体が大きくなっていく。


 細かった体はみるみる内に筋肉質になり、その獰猛な顔と芸術的にまで鍛えあげられた肉体はまさしく神。


 認識できない程の速さで、腹部に穴が空いたかと思うほどの一撃が何度も打ち込まれ、バトルモードでも全くなす術がない。


 当然だ、相手は魔神それも本気の魔神だ。


 俺が勝てるわけがない。


 が、ここで死ぬわけにはいかない。口の中に鉄の味が広がる。大量に血を吐く。内臓が破裂したのだろうか。


 痛い。意識が飛びそうだ。


 相手は上機嫌で気色悪い笑いを上げて殴り続ける。


 相手の攻撃は見えない。ただ痛みの波が襲いかかってくる。


 辛くて意識が飛びそうにも関わらずどこか冷静だ。


 訳の分からない力が腹の底から湧き上がってきて眩い程に体が赤く光る。


 魔神は瞬間移動でも使ったかのような速さで飛び退く。

 痛みが消えていく。意識が消えていく。


「恐るな、私にその身体をよこせ」


 地の底から響くような地鳴りを思わせるその低い声がどこかから聞こえた気がした。


 もう一度生きてリズに会えるなら、悪魔にだって魂を売ってやろう。


「別にわし悪魔では無いのだが、貴様は大事なーー」


 世界が赤く染まる。それと同時に獅子の魔神は恐れの眼差しをその小さな敵に向ける。


 魔神は生まれて初めて魔物相手に恐れを感じ、同時に恥ずかしいと思った。魔人であるプライドを打ち砕かれたかのようなそんな感覚が許せない。


 怒りの咆哮で恐怖を弾き飛ばし、挑む。


 赤い龍人は無表情で魔神の体に穴を開けた。


 魔人には何が起こったかも分からぬまま、目を見開く。そんなわけがない。一撃でやられるはずなどない。


 次の瞬間、爆発が起こった。身体中の体液が沸騰し、全身から血が噴き出る。その龍人は無表情で立っていた。返り血をその体ごと焼き、その体はより黒さを増した。


 

 あれは幻聴だったのだろうか。追い詰められたからって現実逃避してたってはじまらない。


 よし、反撃の一手を。


 あれ? いない。


「???トレーニングが終了しました。???が成長しました」


「英雄ミッション、魔神討伐を達成しました。魔力を贈与します」

「英雄ミッション、神との邂逅を達成しました。魔力を贈与します」


 意識が混濁し、嘔吐する。これは不味い。即座に瞬間移動で地上へと出る。運良く誰もいない路地裏に飛べたようだ。その視界の歪みに耐えられず嘔吐する。地面がどす黒い血で染まる。


 あれ? 血? やはり力に代償はつきものということだろうか。心臓が高速で脈を打ち、破裂しそうだ。全身を血液が廻っていると感じるほどに血流の勢いが上がる。


 視界も赤く染まり、体の至る所から血が噴き出る。


 リズ、ごめんな。帰れそうに無い、約束守れなくてごめんな。


「ーー、主!!」


 誰かの声が聞こえるな。もういいや、もう。


 俺は意識を手放した。十分に頑張ったさ。魔神一体なんて一人でそうそう倒せるものじゃ無い。


 そう、頑張ったんだ。

 いやぁ申し訳ない体調がすぐれなくてね。あ、最終回じゃ無いですよ。なんならここから始まると言っても過言では無い。

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