正義
人通りのない街中を歩く。
瞬間移動を使い、俺は城門の上へ到達する。時間がない。急いで行こう。
行ったことがない場所へは飛べないので頑張っていこう。
庭へ瞬間移動へ降り立ち、堂々と門番の前へと歩いていく。
門番はなんの構えもせず真面目に扉の前に立っている。
お勤めご苦労さん、後でたっぷり怒られな。
俺はそいつらを無視して扉をすり抜けた。
彼らは俺の存在にすら気付きはしない。
城内には監視カメラや、魔力によるセンサが張り巡らされているがそれらは一斉に休みを取ったかのように反応をしない。
俺のギフトは魔物憑依。それに魔法を血反吐を吐くような努力をした、英雄に憧れたからな。
まぁ、ギフトが差別対象だったからどれだけ頑張ってもどれだけの功績を上げてもなんの表彰もされずニュースや称号など人前に出ずただ金だけが渡された。
つまり、ギフトが発覚した時点で俺の夢は無理だったんだけどな。
まぁ、いいさ。俺は大悪人として名を残してやる。
今日俺は世界を牛耳る五大老を殺して神託の巫女を解放、唯一の発電所を破壊これで今の格差社会を終わらせる。
効率主義の社会で便利になったかもしれない、裕福なものにとっては平和な世界が作られたかもしれない。
しかしそれで生きがいを奪われた人間の方が多い。裕福なものも心は貧しい。
この世の中を終わらせる。
また昔の世界に俺が引き戻してやる。沢山の人間に恨まれるだろうが、それが今の世の中には求められている。このままじゃ世界は腐っていくだけだ。
これが俺の自己満足だとしても、言いなりになって貧しい者たちに手を下すのはもう嫌なんだ。
俺は豪華な扉をすり抜ける。この能力はあのバーのゴーストになったマスターの能力。
それにしてもすごい部屋だな。五大老はそれぞれ装飾が散りばめられた神秘的ですらある椅子に座り、宙に浮かぶ青く光る水晶に閉じ込められた少女を囲むようにして話し合っている。
彼は生前魔法に精通していたから憑依しても魔法が使いやすい。
こんな風にバレずに五大老の頭を。
五輪の赤い花が咲き、周りの護衛はざわつきだす。
水晶が割れ、少女が消える。
「ありがと」
とても小さくそう聞こえた。嬢ちゃん約束は守ったぞ。
俺の体に鈍い痛みが広がる。破壊したものへのペナルティか。まだ死ねない。
俺は瞬間移動で発電所の前へと飛ぶ。
意識が飛びそうだ。朦朧としつつも、歩みを進める。
全てはこの国の人々の為に。
短くする予定だったので、大分端折ってますがまた時間ができた時に気が乗れば彼がなぜそう言う考えに至ったかの生前の小説を書いてもいいかもしれませんね。