隠れ家
レンガの壁が不規則に動き回り、そこにはバーが現れる。入ると元通りにレンガが組み直される。いつ見てもちょっとワクワクする仕掛けだ。
「やぁ、何となくだけどくる気がしてたよ」
カウンターに気だるげに腕をついた髪を長く伸ばして顔が見えない痩せみの男がボソッとそう言った。
「流石だな、その能力もっと活かしたらどうだ?」
その男は少し頭を傾げる。
「どうしてそんなことしなきゃ行けないんだ、君から居場所を奪って世界なんて滅べば良いさ」
こいつは少し過激なところがある。ちなみにギフトは虫の知らせ、先の未来が何となくわかる能力。名前は知らん。
「まぁ、そんなこと言うなよみんながみんな悪いって訳じゃないさ」
俺はカウンターに置いてあるベルを軽く鳴らす。
何もない空間から真っ赤なワインの入ったワイングラスが現れる。
銅貨をテーブルに置くと消えていった。
「今日の要件は分かってるか?」
男は愉快そうにこぎざみにゆれる。
「あぁ、まさか君がそれをするなんて思わなかったよ」
「一応情報は持ってる、今日は君との最後の案件になりそうだからお代は結構だよ」
一旦上を向いてから彼は話し始める。
「今夜七時、神託の部屋、やるならそこしかない」
「救える保証なんてないよ? 本当にやるのかい?」
彼は口元をニヤリと歪める。聞かなくても結果はわかってるだろうに。
「あぁ、俺はやりたい事をやるだけだ。結果なんて知らないさ」
俺が指を鳴らすと俺の姿はそのバーから消え、一人でにレンガの壁が動き出しまた閉まる。
「幸運を祈っているよ」
長髪の男はいつものように一人そう呟きバーの奥へと消えていった。
もうすぐ年が変わりますね、私は何をしているんだろうって思う今日この頃です。