アクイド皇国
うむ、帰りが遅いな。
月が綺麗な夜王宮の中で一人の男はそう呟いた。彼の名はアクイド三世。アクイド皇国の由緒正しき皇族である。
まぁ、たった今俺が断絶させたけど。
そして、俺はその首を転がして連れてきていたゴライアスに渡し、ゴライアスは叫んだ。
「私が首をとった!! これからここは我輩の国だ」
扉の向こうが騒がしいな。俺たち? 窓から入ったから鍵はかかってるよ。
扉がこじ開けられ無数の兵が俺たちを囲む。
「遂にこの時が来たのですね」
「うむ、皆我輩についてくるのだ」
サイズあれだけ変わってたのに誰も気にせずについていったな。ヤベェ薬を使ったとでも思ったのだろうか。
ともあれだ。大臣たちは無事倒された。
三騎士? なんか寝てたってよ。
まぁ、これでこの国に関しては俺は知ったこっちゃないので放っておいてっと。
拠点も大分しっかりしてきて、村にはもう行けないがこの国なら誰も気にしないしリズも寂しくないし安全だ。
武者修行の旅にでも出ようか。
リズの枕元にそっと手紙を置いて俺は飛び立った。
平和な場所にいれば傷を負うことはない。でもな、負った傷の分だけ人は強くなれる。
まぁ俺人辞めてるけど。
って事でダンジョン都市にでも行こうと思う。
ダンジョンなら薄暗くて身バレしないし、バレてもあの中は割となんでも起こり得るのでなんとかなる。
国を潰したことでしっかりとした地図も手に入れたしな。
「英雄ミッションをクリアしました。おめでとうございます。報酬に、を贈呈します」
大事な所が聞き取れなかった。そんな事なかったのにな。珍しく天の声が祝ってくれたので俺は上機嫌で空へと飛び立った。
なんというか、この季節は寂しくなりますね。私はもう慣れました。