花嫁は勇者様2
メインは終わりました
お付き合いありがとうございました
俺は魔王だ
魔界にとってそれを守護するもの
俺が魔王なのは至極当たり前だ
魔王は魔王としてすべての知識、力の使い方、部下の管理全てを頭に叩き込んだ状態で
最強と称される魔力をもって産まれる
俺としては弱い人間なんかにか待ってる暇があるなら魔界を住みやすく労力を割いた方がよっぽど堅実的だと思うが
最近の話題は勇者の話だ
勇者にやられた眷属が居ないのが俺も気にはなっていた
「宰相よ、私は勇者に会ってみたい」
「…そうですね、生まれた勇者がどんな人物なのか興味はありますね。
ですが、単身会いに行くのは殺されにいくようなものです
そこで、提案です」
俺は宰相の提案を受け入れた
これで心置きなく勇者に会いに行ける
勇者を見つけたらどんな人物か見定めてやる
魔界の害になるなら早めに摘み取らなければならないしな
そうして俺は軍を連れて人間界に来た
一番困ったのは俺の命令を無視して人間を絶対悪だと決めつける奴等だ手出しさせないようにするには常に目を光らせてなければならなかった
勇者は他国との境界に陣を引いていた
近く戦争が起きるかもしれないな
ぼんやりとそんなことを思っていたら俺の軍に気づいた誰かが勇者を前線に立たせた
「ごめんね…」
ふとそんな言葉がよぎった
狂おしいほど懐かしく優しくも悲しい声
ああ、思い出した懐かしい愛しい人前世では独りで逝ってしまった人
憎んでも愛情が勝ってしまう
俺は軍をたいきさせてゆっくりと一人で軍と軍その中心に立った
「やっと、会えた。」
小さな声でそっと誰にも聞かせるつもりの無い言葉だったんだろう
勇者からは眷属の臭いもしていたハーフか
「勇者とはお前の事か?」
「一応そうらしいけど私は戦うつもりはないよ魔族と人間の間に話し合いの余地があるならそうしてほしいとは思ってるけど。「運命の番」探しも終わったからね」
「運命の番?」
「覚えてない?『何度生まれ変わろうともどんな形であろうとも私は貴方を愛するよ』前回は暗黒竜だったね、私は貴方と戦をしたくないこれはほんとう」
「覚えているさ前回の時に気づいたら君は独りで逝ってしまった
俺は病なんか君さえいれば怖くなかったのに」
「私は怖かった愛しい人を苦しめるかもしれない病が。幸い直ぐに逝けたから感染しなかったとおもうけど」
「そうだな。だが、見つけたときには君の墓しかなかった森の奥でひっそりと。墓標すらなく君が過ごしたであろう小屋も焼かれて
本当に君がいたのか分からなくなって気が狂いそうだったよ」
「うん、でももうそんな思いさせないから」
「当たり前だ!この国が君を手放さないのなら、拐っていく」
クスクスと笑う勇者は俺に抱きついて心配ないと呟いた
「必要ない心配だね」
そう話すと俺から離れることなく陣に向かって声をかけた
「私は運命の番を見つけた!約束通り勇者からは下ろさせてもらう。」
「え!?」
「運命の番って魔王!?」
色々と聞きたいことがあるが、魔界にハーフとは言え人間をいれて大丈夫か不安なところである最悪俺も魔王やめるかなとか思ったりしたけれど杞憂に終わり一応医師に見せても大丈夫だと言われて
「国王に伝えておいてね?」
と振り返り人軍に手を振って決別したのだろう
俺はと言うと番と毎日子作りに励んでいた
なんの事はない今度は逃がさない為に
「逃げないのに」
そんな言葉を信じる方が難しい
俺は一度逃げられてるから
元々の血のせいか俺のせいかは知らんが番はいつからか魔族になっていた
番が言うには『魔王の子供を産むのに人間の体じゃ持たないからね』らしい
意図したものかどうなのかは分からないが寿命も成長もまるで初めから魔族だったように止まってしまった
俺としては大歓迎だ
これから数百年魔王妃として共に魔界を統治するのだから
人間達との和平も考えている
だが、しばらく偏見は消えないだろう
仕方ない今までの魔王は人間を何らかの理由で忌み嫌っていた
それが悪いとかではなくこれからの時代手を携え何かあれば手を貸しても良いと伝えておいた
ただし、人間同士の戦争には手は貸さない勝手にやってくれ
「また一緒になりたいね」
「なれるさ俺たちは運命の番離れられないんだから」
「そうだね、運命の番だもんね何度でも何度でもきっと未来永劫一緒だ」
「ああ、その通りだ。この数百年共に居てくれたことなんと礼を言えば良いか…」
「楽しかったよあっという間に過ぎるくらい」
かわいい孫まで見れたしなとぼんやりとした頭で思う
眠りそうな番、俺も眠くなってきた
お互いに寄り添い眠るとするかおやすみ愛しい人
「おじいさま、おばあさま寝てらっしゃるの?」
「そうだね良い子だからおかあさまのところに行っていなさい」
「はーい」
「逝くときまで一緒だなんてどれだけ強い絆で結ばれてるんですか、ですが流石です
あの世とやらがあるのであればそこでも仲良くしてくださいね父上、母上、お疲れさまでした」
新しい魔王はもういるのだろうお役ゴメンになった父と母
それでも魔族には慕われその墓は歴代の墓とは断然違うものだった
いつ行っても墓には花が供えられどれだけ魔族に愛されたかを象徴するものだった