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第1話 「後輩と自分」

プロローグの続きです。

よかったら読んでいただきたいです。

また1人同僚が辞めた。俺には相談もしてくれていてこの時期に辞めることは知っていたが、ほとんどの人が知らなかったらしい。彼は同い歳だったが、大学卒でうちの会社に入ってきた。入社して半年といったところか。もうこの様な同僚を5、6人見てきている。同期も4人いたが今は俺ともう1人だ。それだけうちの会社は離職率が高いのだろう。

うちの会社は大手プログラミング企業の下請けの仕事を請け負っている。ぶっちゃけ言ってしまうと多少の知識があれば誰でもできてしまう仕事だ。給料も下請けだから本社の3分の1程度。残業手当もつくがまぁしれた額だ。それで人を動かせるなら本社の人間よりもうちの会社の人間をこき使うよな。なんせ人件費が一番かかるもん。そりゃ安く済む方選ぶよ。

届いたメールを確認しているとその辞めた同僚から1件のメールが入っていた。

「お世話になりました。僕の相談を真剣に聞いてくれたのは先輩だけです。居なくなってしまうものですが、またどこかで一緒に仕事が出来ればと思っています。本当にありがとうございました。」

短い文だが彼の気持ちは読み取れた。彼が課長に相談しても流され、挙句の果てに無視までし始めたことも知っていたから。もう小学生だろって思ったもん。これも一種のパワハラだよね。俺のところに来て話してくれた時には、もうやめる決意が固まっていたように見えた。同い歳なだけあって入社時期は違えど共感できる部分は沢山あった。「無視させるのが辛い」、「いつも顔合わせるのが辛い」、「家に帰っても仕事のことばかり考えてしまって寝付けない」、「どうしていいのか分からない」など新卒者にありがちなことを涙ながら話してくれた。この時、仮に俺が引き止めていたらどうなっていたかは今になっては分からない。だが「辞める」選択をした彼は間違っていないと考える。自分の人生なんだ。しっかり自分で判断したことは素晴らしいことだし彼のすごいところだと俺は考えている。

あくまでこれは俺の考えだ。上司たちがどのように考えているかは分からない。が、辞める人が出る度にいちいち部署全体に聞こえるようにやめたやつの悪口ばかり言っている。やれ根性がない、やれゆとり世代が、やれ俺たちはこれ以上の事をされてきたなどなど。課長、部長クラスがこんなことだから辞めるやつが多いってことも分からないのかな。時代は変わっていくものなのに。いつまで経っても自分たちの世代が一番ではないのに。


俺も入社した年に1度退職願を提出している。この職場だ。3年目ですら居心地が悪い。特に誰にも相談したわけではないが、その時の自分は辞めたいと感じた。実際俺がやりたい職種ではなかったし、第一希望の企業から内定が貰えなかったから仕方なくここの会社にした。だからどうでも良くなってしまったのだろう。考えるのも疲れ、ただ会社と家の行き来だけの毎日にも疲れたって思ったんじゃないかな。提出から1週間後、社長から呼び出されて話をされた。1対1で逃げ場もなく誰も来ない閉鎖的な部屋。窓もカーテンも締め切っていた。そこで何分くらいか数えていなかったが一方的に話をされ、「うちの会社はこんなにみんなの役に立つ仕事」、「社会に貢献出来る仕事」、「辞めたとして次の会社はどうするんだ」などと言われたら記憶がある。専門卒で入った企業なだけあってそんなもんかとも思ってしまったが、辞めた後のことは考えてもいなかった。この時の俺が未熟すぎたのだろう。辞めた後はどうするという一見脅し文句の言葉にやられてしまい退職願を取り下げてしまった。これが正解だったのかも分からない。辞めていたら違う道も見えていただろうと思う。その時は所詮20歳だ。まだ20歳なのだからいくらでも道はあったはず。今更悔いても仕方ないことだが誰かが会社を辞めた時はいつも思い出してしまう。この出来事以降から自分自身の心が壊れ始めたのではないかと自覚し始めた。




続く




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