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No 05 師匠

5話目です

王様とのやり取りの後、牢に一晩入れられ、朝6時頃、俺は金を渡され城を追い出された。金は金貨29枚と銀貨9枚銅貨10枚だ。価値は日本円で金貨が一万円、銀貨が千円、銅貨が百円程度みたいだ。つまり大体30万程度だ。まぁ節約すればしばらくは困りはしないだろう。・・・最低限とか言わずにがっつりよこせと言えば良かったと今更ながら後悔・・・。


城を出た今は、人類最強であるらしいアランとか言うやつの家を探して西に歩いている。王様が言うには結構な大きさの豪邸なので見ればすぐにわかるそうだ。


歩き始めて1時間ほどだろうか。街の中心部から離れるにつれてどんどん活気がなくなっていき、家もまばらになり始め、もうすでに通り過ぎてしまったのではないかと心配になり始めたとき、前方にかなりの大きさの豪邸が目に入った。町の中心部と比べると周りの建物が結構ぼろ臭いからか、あの豪邸が建っているのはなんだか不自然な感じだ。まぁ多分あれで間違いないだろう。確かに見ればすぐにわかった。


どんな感じの豪邸かというと、なんだか新築の高校を縮小したような感じだった。そんなイメージを抱いた理由は、建物の横に体育館みたいなものがついているからだ。大きさは武道場よりも一回り大きい程度ではあるが。簡単に言うと高校の校舎とその体育館をそのまま縮小して豪邸っぽくなるようちょっと弄った、みたいな感じだ。


豪邸の周りには柵があり、敷地内に入るには鉄格子の扉を開かなくてはならなかったのだが、何故か鍵は開いていた。そのまま敷地内に入ると、正面に豪邸の玄関があった。そこに歩いていくと、ドアベル?のようなものがあったので数度鳴らした。何度も鳴らすのは気が引けたのでしばらく待っていると不意に扉が開いた。


扉から顔を出したのは強面のジジイだった。70歳くらいだろうか。


「・・・何か用か?」


「すみません。こちらにアラン・リチュードさんという方はいらっしゃいますでしょうか?」


俺は敬語が苦手だ。・・・というよりよく分からん。とりあえず失礼の無いように言ってはみたつもりだが、これで大丈夫なのだろうか。


「俺がアランだが?」


「えっと・・・マジ?」


・・・こいつジジイなんだが。


「マジだ。」


でも、多分マジだ。なんとなく分かる。根拠はない。


「頼みがある。」


「なんだ?敵討ちか?そんなもん自分でやれ。」


「俺に戦いを教えてくれ!」


俺がその言葉を発した瞬間、ジジイの雰囲気が豹変した。


「・・・帰れクソガキ」


空気が凍るって、多分こういうことを言うんだろう。


「っ・・・頼むよ!」


息が詰まりかけつつも必死で頼み込む。


「もう一度だけ言う、帰れ。次は・・・わかるな?」


怖い・・・。このジジイは本気だ。次は絶対に多々では済まない。それでも引くわけにはいかない。俺は最強になる。馬鹿げた目標だが、これだけは譲れない。


「・・・嫌だ帰らない!!そもそも俺に家なんてない!!あんたが首を縦に振るまで俺はぜった・・・ぐっ!?、があぁぁ!!」


何が起こったかわからなかった。一瞬だ。いきなり足に衝撃が襲いかかりわけもわからず転倒。次の瞬間俺の足首は潰れていた。多分、踏み抜かれたのだ。っ!!痛い痛い痛い痛い!!!!足が!!俺の足が!!!なんでだ!!痛い!痛い痛い!何もわかんねえ痛いなんで俺がこんな目に!!誰か助けろよ!!痛い痛い痛い痛い!!!


「うるせえよクソガキ、俺に戦いを教えろ?お前みたいな根性なしに教えることなんてなにもない。失せろ。」


ジジイの言葉を聞いた瞬間、俺の中でなにかが外れた。


「・・・うるせぇ、教えろよ」


言葉が勝手に出てくる。さっきまで馬鹿みたいに痛かった足が気にならない。それよりももっと熱い。痛い。頭の中が。まるで沸騰してるみたいに。


「・・・地面に這いつくばるだけの分際で喚くな。お前に教えることなんて何もねぇ。」


熱い・・・頭の中が・・・何も考えられねえ。


「黙れよクソジジィ・・・」


・・・誰が這いつくばるだけだぁ!?


「ぐうぅ・・うぐあああ・・・ああアアアアア!!!!」


ひざを立てた瞬間、さっきまで全く気にならなくなっていたはずの両足首の痛みが再び襲いかかってきた。


「・・・両方の足の骨を折ったはずだが、痛くないのか?お前。」


僅かに目を見開くジジィ。


「痛てぇに決まってるだろうがクソジジイ・・・!!」


それでも、ここで負けるわけにはいかない。負けたくない、絶対に。ここは分岐点だ。ここで逃げれば俺はもう一生価値のない負け犬、いや犬以下、ほこりやチリのような存在のまま。そんな気がする。


「ならなんで立てる?」


「?・・・何言ってんだクソジジィ・・・痛いのは・・・立ちたくない理由であって、立てねえ、理由じゃねぇ・・・んだ、よ!!」


そうだ。俺が今まで立たなかったのは立てなかったからじゃない。立ちたくなかったからだ。今までだって立とうと思えば、何時だって立てたはずだ。ずっと言い訳して逃げてきた。けど、もう逃げたくない!このままで生きていくくらいなら死んだ方がましだ!!立て!立てよ俺!!立てっつってんだろうがあああ!!!!


「ぐぅぁ ガアアアアアアアアア!!!」


ほら、立てた。立てるじゃんか俺。今なら何だってできる。俺は、強くなれる!!


「・・・はぁ、うぁ。・・・いいから、黙って俺に戦いを教えろって、言ってんだよ!!!!」


ジジイにとびかかろうとした瞬間、嫌な音がした。多分俺が今までの人生で聞いたことのある中で一番不快な音。体の一部が破れるような、そんな音。何故か体はつんのめり

、地面に引き寄せられるように、俺は再度倒れこんでしまった。自分の足を見ると、両のふくらはぎあたりから、白いものが飛び出していた。多分、俺の折れた骨だ。



だからどうした!俺は立てた!!まだ立てる!!足なんか知るか!!!そんなもんなくたって関係ねぇ!!

絶対諦めねぇ!!


「がぁぁああああ!!!」


足に力が入らない。地面に無理やり立てようとすればするだけ足首から下の原型が崩れていく。


どうすればいい。どうすれば俺は認められる。ここで諦めるのだけは嫌だ!それなら死んだ方がマシだ!!まだだ!まだだ!!まだだ!!!まだ俺は・・・


「はぁ・・・。分かった。もう動くな。・・・いいだろう。お前を俺の弟子にしてやる。」


・・・・・・・・・・。


「・・・は?・・・えっと・・・マジ?」


・・・頭が回らない。何がどうしてこうなった・・・??俺は認められたのか・・・??なんで??


「あぁマジだ。途中で弱音はいたりしたらぶっ殺してやるからな。」


「ははっはははは、ははh・・・・・・・。」


直後、体からいろんなものが抜けていく感覚・・・。あぁ、俺、死ぬのかな・・・。

ここまで読んでいただけるなんて感激です!


どういう形であれ、感想お待ちしています(`_´)ゞ

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