No 13 余韻
13話です。ごめんなさいめっちゃ短いです。
静寂が当たりを包む。
急速に頭が冷えていく感覚がした。
ついさっきのことのはずなのに、戦闘中のことはあまり覚えていない。
ただ、楽しかった。
戦闘中の記憶飛ぶとか・・・。
学校の自己紹介シートに、自分のこと温厚な性格だ、とか書いてたけど、実は俺、戦闘狂なのかもなぁ・・・。
「えっと・・・とりあえずありがと・・でいいよね?」
なんとなく戦闘の余韻に浸っていると、後ろから声がかけられた。リーシャだ。
なんというか、戸惑っているような、そんな感じに見える。
「あぁ・・・いたのか・・・。」
俺はなんだか、心ここに非ず、といったような感じになっていて、無意識にかなり失礼な返事をしてしまった。
「なにそれひどい!?」
一瞬やってしまったと思ったのだが、リーシャは特に気にもしていない様子で、いつも通りだ。というかさっきまで殺されかけてたっぽいのに、元気だなぁ。
「大丈夫か?怪我とか無いか?」
リーシャの横に腰を降ろし、一応リーシャの状態を確認する。ほんとに心配はしてますよ?
「それ!普通それが第一声だよね!?・・・でもありがと。大丈夫だよ。」
「・・・おう。」
お礼言われるのってなんか照れるけど、やっぱ嬉しいな。
「それにしても、クーガって本当に強いんだね。」
「まぁな。」
やっぱり信じてなかったのな。
「ほんとビックリしたよ。あんなのを一人で倒しちゃうんだもん。てか、さっきのやつなんなの?めっちゃ怖かったんだけど。あとクーガの顔も。」
「俺が知る訳ないだろ。てかお前失礼だな。」
「だよねぇ~。」
スルーですか・・・。
閑話休題
「さて、なんか疲れたしもう帰るか~。」
本当はもっと深くまで潜る予定だったけど、なんか満足したし今回はもう帰ろう。
流石にリーシャをこのまま1人するわけにもいかないし。
「ク〜ガ〜」
立ち上がるとぐだり感満載の声がかけられる。
「あん?どうかしたか?」
見るとリーシャは地面に突っ伏して溶けたアイスのようになっていた。
「身体中痛いからおんぶして~。」
いや絶対ウソだろお前超元気だったじゃん。と思ったのだが正面に立ってよく見てみると、リーシャの身体は擦り傷、打撲だらけで、顔色もあまり良くなかった。
いくら元気そうに見えたって、ついさっき殺されかけてたんだ。疲れて無いはずないか。
俺は無言で腰を下ろし、リーシャに背を向けた。
「・・・え?いいの?マジで?」
リーシャは自分で言い出したくせに、意外そうな顔をして確認まで取ってきた。
「・・・今回だけな。」
「よっしゃ!やりい!!」
「ぐぅおっ!?」
俺がお許しを出すと、リーシャはいきなり飛び乗ってきた。かなりの勢いで。
「・・・お前身体痛いとか絶対ウソだろ。」
「嘘じゃないよ~・・・歩けないほどとは言ってないけど。」
ほーん・・・。
「・・・降りろよ。」
「やだ~疲れた~歩きたくない~」
「てめぇ・・・。」
ほんと、さっき死にかけていたはずなのに、どこからこんな元気が出てくるんだろうか・・・。
閑話休題
23層、地下階段近く。時刻は夜の11時くらいだろうか。たき火の明かりが視界を照らしている。
魔物も皆眠るから、夜は基本的に安全だ。流石に日が変わる前に地上に帰還することは出来ないから、今日はここで野宿だ。
正直めちゃくちゃ疲れた。46階層からリーシャをおぶってノンストップでここまで走ってきたのだ。背中に乗ったリーシャはうるさいし、途中にはもちろん魔物だっていたのだが、そいつらも置き去りにして走る、走る、ひた走る。
ほんとマジでめっちゃ走った。
「・・・寝ないの?」
焚き火の前に座っていると後ろからリーシャが声をかけてきた。
とっくに寝てると思っていたもんだから、ちょっとビクッてなったのは仕方ない。
「疲れたんだけど、なんか寝れないんだよ。」
さっきから寝ようとしても目が冴えてどうしても寝られない。目を閉じれば豚ゴブリンとの闘いがフラッシュバックする。あんまり覚えてないはずなのに、脳内に部分部分の記憶が鮮明に再生される。
「ふーん・・・あっ!じゃあ一緒に寝てあげようか?」
「あ、そういうの間に合ってないけど大丈夫なんで。」
こんなどうでも良いやりとりでも、脳内の興奮が紛れる気がして少し落ち着く。
暫くして、寝転がっていたリーシャは立ち上がると、おれの隣に腰を降ろした。
そこからお互い無言で焚き火を見つめていた。
この無言の時間が何だか気恥ずかしい。
「・・・明日早いんだからもう寝ろよ。」
「え?クーガの背中で寝るから大丈夫だよ?」
「・・・。」
「ごめんなさい。」
そこから少し駄弁っているとようやく眠気が来始め、再び寝転がり、目を閉じた。
眠りに落ちる間際、
今日のような、今日以上に、もっともっと刺激のある、そんな闘いが出来ますように。
俺は無意識のうちにそう願っていた。
相当末期だな・・・。
今回短かった代わりって訳じゃないですが、明日は長めです。
是非読んでください(≧∀≦)