序章 #異世界で検索したら
――ギャアアア!
黒い雲が垂れ込める空の下、翼を生やした紫と銀のうろこを持つ蛇が悲鳴を上げた。
「出て行け、魔物! 俺達の国から!」
深い傷を負わせたのは、たった一人の青年だった。
風にあおられて、雪のような白い髪が揺れる。前髪の間から、鮮やかな金の目がのぞいた。敵意を燃やす青年のはるか後方、城壁の上では弓矢や魔法の用意をして構える兵士達がいる。
――ふふふ、我にここまで傷を与えるか。人間よ。
蛇の魔物はガラガラと喉を震わせ、恐ろしい笑い声を立てる。
――今日はここで引いてやる。だが手土産を持っていけ!
「なっ」
蛇の魔物が起こした紫色の風が、青年へと吹きつけた。
――魔を呼び寄せる不幸をゆっくりと味わい、絶望のうちに死ぬがいい。王子よ!
ガラガラと不気味な哄笑が風に乗り、辺りに響く。
風がやむと、魔物の姿は消えていた。
黒雲が晴れ、光が差し込む。
青年はその場に座り込んだ。魔物と青年、どちらも満身創痍だ。立っているのもやっとだった。
魔物を追い払ったことで、城壁から歓声が聞こえてくる。
青年は右目に手を当ててみると、目の周りがじくじくと熱を持っていた。
「魔を呼び寄せる……」
青年はぽつりと呟いた。不安が心に影を差した。
◆
コンッと軽い音を立てて、賽銭箱の中に十円玉が落ちた。
よく晴れた早朝、織川ハルはとある神社でお参りをしていた。境内に植えられた桜から、白い花弁がひらひらと舞い落ちてくる。
「変わった神社。こんな所が近くにあったのね」
神様にあいさつしてから、スマートフォンでスナップ写真を撮る。
カシャカシャと撮影音が何度も響いた。
この神社には社は無く、洞窟にしめ縄がかかっている。
出入り口の看板によれば、蛇を祀っているらしい。祭壇のようなものの上には卵がそなえてあった。
「異世界ねえ。それっぽい……かな?」
ハルは洞窟を眺めながら、昨夜のことを思い出した。
テレビで、ハッシュタグの旅が流行っていると特集が組まれていたのだ。
ある写真投稿のSNSでは、写真映えする綺麗な景色には、その場所の地図情報が載っていることが多い。人気の高い写真の場所に出かけていくという、新しい旅のスタイルだった。
しかしハルは、テレビで見るよりも前から、そんな旅を楽しんでいた。旅と写真が趣味なのである。
昨日は大学のオリエンテーションの日で、大学三年になったばかりだが、卒論のテーマを決めるようにとお達しがあったのだ。
なかなか決めきれずに憂鬱になったハルは、気晴らしに出かけようと、いつものように調べたのだった。
――#異世界
その日はなんとなくそんな単語を入れてみた。
するとこの場所の写真が出てきたのだった。
鬱蒼とした森の中、ツリーハウスがいくつも並び、妖精のような光の玉が飛んでいる。いかにも異世界といった写真だったが、明らかに悪戯だった。
住所が近場だったので、散歩ついでに来てみただけだ。
「あんな写真より、このままのほうが絶対に良いのに。もったいないなあ」
遠く離れて、もう一枚。カシャッと写真を撮る。
写真フォルダを開いて、出来栄えの悪いものを削除してから、ふと顔を上げて気付いた。洞窟の壁に古びた看板が立てかけられている。
「異世界はこちら?」
洞窟に近付きなおしてみると、そう書いてあるではないか。
手の込んだ悪戯だ。
「もしかして入っていいのかな?」
奥は暗くてよく見えないが、実は地元のちょっとした観光名所なのだろうか。
――少しだけ入って、写真を撮ろう。
ハルがそう考えたのは、自然なことだった。
写真好きの宿命かもしれない。
面白いものがあったら、撮らずにはいられない。
幸い、今日の服装はラフだ。ブラウスの上にジャケットを着て、ジーンズにショートブーツを合わせている。斜めにかけた小さな鞄を後ろにずらしてから、洞窟のほうへ踏み出す。
「お邪魔しまーす」
いるかもしれない神様に声をかけてから、ハルは一歩、洞窟に入った。
外から奥が見えなかったのは、穴になっていたかららしい。
落ちてから気付いたが、もう遅かった。
◆
「ようこそ~! 異世界への門へ!」
明るい少女の声とともに、パーンと軽い音がして、色とりどりの花が飛び出した。
地面にへたりこんだまま、頭から花をかぶったハルは唖然となった。
四方全て真っ暗で、光り輝く門がある。どこまで続いているか見えないのに、なぜか広いと分かる不思議。
とりあえずハルは手にしていたスマートフォンで、門の写真を撮ってみた。
カシャッと音が間抜けに響く。
「夢なのに写真を撮れる……」
「なにそれ、面白いボケかたね! でも残念ね、写真には写らないのよ。神様フォトでもないと~」
十三歳くらいに見える美少女は、ハルの前にしゃがみこんで、にっこりと電波なことを言った。
真っ白な髪は床に届くほど長く、金色の目は、興味をたたえてこちらを覗き込む。繊細な金細工で飾られた白いドレスは、ふんわりと広がって可憐だ。どう見ても西洋人の少女だが、体が薄らと光っているあたりただ者ではない。
「神様?」
先ほどの電波発言から、ハルはどうにかそれだけ引きだした。少女は頷いた。
「ええ、そうよ。わたくしは女神。初めまして、地球の民。わたくしは、お前の世界から見れば異世界にある、リスティアという世界の創造神よ。リスティアというの」
リスティアは立ち上がり、うっとりと両手を組んでその場でくるくると回る。リスティアから花火のように、光の花が飛び散った。
「ここに来てくれて嬉しいわ! #異世界だなんて調べる馬鹿、なかなかいなくって。あ、ごめんなさい! なんでもないわ」
少女――リスティアは慌てて謝って、なんでも許してしまいそうな可愛らしい笑みを浮かべた。
ハルは質問を絞り出す。
「……つまり、あれは悪戯じゃなくて、本当に異世界があるの?」
「ええ、そうよ!」
リスティアは大きく頷いた。
そして、黒い宙に向けて、右手を広げる。その手の先に、映像が浮かび上がった。
青く輝く地球と、ところどころ紫がかった雲のある星だ。
「わたくしの父はね、地球という世界の創造主なの」
「あなたは娘?」
「そうよ。そして、これが私の世界リスティアよ」
青く輝く緑豊かな星だが、一部にかかっている紫がかった雲が毒々しい。それでも、ハルはその星を綺麗だと思った。
するとリスティアが嬉しそうに笑う。
「綺麗? ありがとう、褒めてくれて。でもわたくしは生まれたばかりで、まだまだ未熟なの」
無言で驚いているハルに、リスティアは小首を傾げる。
「何を驚いているの。わたくしは女神、人間の心の声くらい聞こえるわ」
「そ、そうなんですか」
やばい。それは気を付けないといけないなあと思ったが、そう考えると余計に変なことを考えそうになり、ハルは急いで数字を数えた。
「そんなに焦らなくていいのよ、わたくしは心が広いの、怒らないわ」
リスティアはくすりと笑い、話を続ける。
「それより続きね。わたくしね、お父様に、上位世界の人間を一人だけ借りる許しをもらったの。それでこうして罠を張っていたのよ。上位世界っていうのは地球のことね。お父様からわたくしが生まれたから、わたくしの方が下位世界というわけ、お分かり?」
地球と異世界リスティアの映像が移動して、上と下の配置になった。ハルは頷いた。
「ええ、分かるわ」
「良かった。それで地球で人気のウェブサイトを利用したの。異世界に行く願望がある者がいれば、手っ取り早いでしょ? でも、誰も調べてくれないんだもの、どうしようかと思ったわ」
リスティアはもしや、遠回しにハルを馬鹿にしているのだろうか。先程、#異世界なんて調べる馬鹿……と口を滑らせたのはちゃんと聞いている。ハルの心の声を読んだのか、リスティアがぎくりとした。そしてちょっとわざとらしいくらいの満面の笑みを浮かべた。
「ねえ、お前。わたくしを手伝ってくれないかしら」
「え!?」
突然の頼みに、ハルは面食らった。
「手伝うって何を?」
「ええ。まずはこれを見て欲しいの」
リスティアは宙に新たな画面を作りだす。
ハルが親しんでいる写真投稿型SNSにそっくりな画面だが、タイトルが違う。
「ジンスタグラム?」
名前までそっくりだ。
ハルの問いかけの目に、リスティアはその通りだと頷いた。
「インターネットがあるのは人間だけではないの。これはわたくし達神の間のインターネット――ゴッズネットで最近流行りの写真投稿サイトなのよ」
「神様も写真って撮るんだ」
思わず呟いたハルは悪くないと思う。リスティアは当然だと頷いた。
「ここで、自分の世界の絶景を投稿して、自慢しあうの。わたくしも何枚か投稿したのに、皆、ひどいのよ! 『ありきたり』とか、『そういうの、見飽きた』とか、そういうことばっかり言うの! イイネなんてお父様からの一つだけなのよ。生まれたばかりの未熟な世界だからって、こんな扱い、ひどいでしょ!」
幼い女神は怒って、大人げない神々の文句を言う。しかしハルから見れば子どもが癇癪を起しているだけなので、全然怖くない。
「だからわたくし、人間の手を借りて、リアルで超絶カッコイイ写真を撮って、皆からイイネをたくさんもらうって決めたのよ」
リスティアは胸を張って言い切った。
付き合いの良いハルは、その場に正座した姿勢でパチパチと拍手する。
「でも、どうして自分の世界の人に頼まないの?」
ハルが挙手して質問すると、リスティアは気まずげに目を逸らす。
「わたくしはまだ未熟なの、世界も同じなのよ。時代としては、お前の世界でいう中世かしら。そこにはね、わたくしが統制しきれないエネルギーの片鱗――魔物がいるのよ」
「あ、私、帰ります。死んじゃうんで」
ハルは即座に立ち上がり、その場でお辞儀をして立ち去ろうとした。だが、リスティアがハルの腰にタックルしてきた。
「待って待って! 下位世界の人間だと、絶景なんてある所に行ったら、確かにすぐに死んじゃうのよ。でもね、上位世界の人間なら違うの。わたくしの世界に来たら、頑強で魔力も豊富で、病気もかからないわ。そこにわたくしの加護を与えたら、ほぼ無敵よ!」
ハルはリスティアを引きはがそうとやっきになる。
「でも、だって、写真投稿サイトで、イイネをもらうためだけなんでしょ? くっだらない」
「お願いー! お父様には、『地球の人間が自分から望んで来た時だけ許可する』って言われているの。別に、わたくしの世界に引っ越せって言ってるわけじゃないのよ。お前がわたくしの世界から帰る時は、ここに来た時と同じ時間に帰すわ。もちろん、肉体年齢は止めるわよ」
「……それって本当?」
ハルはリスティアの言葉に食いついた。リスティアはぶんぶんと大きく頷く。
「当然、わたくしの世界にいる間、お前は不老よ。死んだらどうしようもないけど、まず、死ぬことはないでしょう」
「それは……良い話ね」
ハルの心は大いに揺れた。
「どんな中世か分からないけど、外国の文化には興味があるわ。それに、卒論のテーマを考えるのに十分な時間が取れる!」
じっくり考える時間が欲しかったハルには、リスティアの提案は素晴らしいものに思えた。返事を一変させ、リスティアの小さな両手を握る。
「行くわ、女神様! 私がその世界で、素敵な写真を撮ってきてあげる! ちょうどいいことに、私の趣味はスナップ写真なの。きっと役に立てると思う」
「本当!? やったわー!」
リスティアは嬉しそうにその場で飛び跳ね、再びハルの腰に抱き着いた。リスティアを中心に、光の花がパッと花火のように飛び散る。
統制しきれないエネルギーの片鱗というのはこれもだろうかと、ハルは光の花を目で追った。
リスティアはハルから離れると、満面の笑みを浮かべてハルを見上げた。
「では、名前を教えて」
「織川ハルよ」
「オリカワ・ハルね、分かったわ」
リスティアは頷くと、ハルの後ろに回った。
「お前に、わたくし、女神リスティアの加護を授ける」
リスティアは凛々しい声で宣言し、ハルの背中に右手を押し当てた。
一瞬、背中が熱くなり、ハルは驚いた。
「あつっ」
痛みのようなものは一瞬で消え去ったが、ハルは落ち着かずに背中をみようと振り返る。だがどうやっても見えない。
リスティアがそんなハルに説明する。
「契約と同時に、加護を与えたの。お前の背中に加護紋を刻んだわ。わたくしの世界に適応できるようにしたの」
「適応……?」
「言葉が分からないと困るでしょ? それに、地球の民には魔力を取り込んだり排出したりする器官がないから、加護紋が代わりを果たすの。病気への抗体も出来たわよ。もちろん、あなたが持ってるものが、わたくしの世界に影響を与えないようにもなった」
「なるほどね。人の移動は病気の移動でもあるものね」
ハルはとても納得した。リスティアの懸念も最もだ。歴史において、外国人が病気を持ちこんだことで、耐性のない部族が壊滅的な被害を受けた例もある。
「これで魔法が使えるなんてすごい。不思議だけど面白いわ!」
「喜んでくれて嬉しい。でも、加護紋は誰しもが持っているものではないから、隠すようにしてね。大騒ぎになっちゃうわよ」
「分かりました、女神様」
ハルが頷くと、リスティアはにこりと笑い、手をパンと打ち鳴らして、黒い空間に出していた映像を全て消した。
「魔法については自分で色々試して欲しいけど、一つだけ、一番大事な魔法の使い方だけ説明するわね。『フォト』の魔法よ」
「写真ってこと?」
「そう。構えはこう、画家がアングルを決める為に、こういうことをするでしょう?」
リスティアは両手の親指と人差し指を立て、それを上下に構えて、四角を作った。
「こう?」
ハルも真似をすると、リスティアはそうそうと頷く。
「ズームといえば拡大になるし、アウトって言えば縮小になるわ。幅は手で決めて、『撮影』で写真が撮れるの。あなた専用の夢幻フォルダに繋いであるから、そちらに写真データが送られるわ」
「夢幻フォルダ?」
ハルが疑問を口にすると、ハルの前に、パッと電子画面が浮かび上がった。パソコンや携帯のデータフォルダにそっくりだ。
「試しに撮ってみるわね」
リスティアがハルを撮ると、夢幻フォルダに映像が増えた。驚いているハルの顔写真である。周りは真っ暗だ。
リスティアはその画像を指先で叩く。すると、選択画面が現われた。
「操作はパソコンや携帯と同じよ。でも、この『女神へ送信』って欄があるでしょう? これを選ぶと、わたくしの夢幻フォルダに送信されるの。それをわたくしが受け取って、ジンスタグラムに投稿するというわけ」
リスティアの説明は分かりやすい。ハルでもすぐに出来そうだ。
「『女神のジンスタグラム』って言えば、わたくしのページを見られるから、後で見てみてね。でも、残念だけど、イイネを押せるのは神だけだから、あなたは閲覧しかできないんだけど」
「なるほど、分かったわ」
魔法とSFがごっちゃになった感じで、とても面白い。ハルはさっそくワクワクしてきた。
(異世界リスティア、どんな所だろう。写真撮りまくるわよ~っ)
旅行が趣味のハルは、まだ見ぬ世界への期待で胸を膨らませる。
リスティアはにこりと笑って夢幻フォルダの映像を消すと、両手を広げた。
「――では、最後に。あなたに強力な武器を授けるわ」
黒い空間いっぱいに武器が浮かび上がった。どれも装飾が綺麗で、それ自体が薄らと光り輝き、命を持った力強さに満ちている。
「どれがいい? 一つだけ選んで」
「ええと、どうしようかな」
ハルは武器の前をうろつく。
「剣は怖いし、杖なんてよく分かんないし……。うーん、これなら使うのはイメージしやすいかな?」
ぶつぶつと呟くハルのことを見て、リスティアがくすりと笑う。
「大丈夫、武術なんて習わなくても、持てば使えるようになっているから好きな物を選んで。ただ、お前しか持てないから、他の人には貸せないっていうことは覚えておいてね」
「分かりました。じゃあ、これにします!」
ハルは、白銀に輝く美しい弓を手に取った。リスティアは弓を覗きこむ。
「これは魔法の矢が飛び出す弓よ。名前を付けて」
「名前? えーとえーと、ユヅルで!」
とっさに思いついたのは、弓弦を片仮名にしただけの安直な名前だった。ハルが叫んだ瞬間、弓がぱあっと光り、次の瞬間、金の目の白い猫になった。
「あれ!? 猫になっちゃった」
「普段は目立つから、使い魔として傍にいるわ。必要な時は弓になるから大丈夫。危ない時は、護ってくれる嬉しい機能付き」
「へえ、いたれりつくせりでありがとうございます!」
「どういたしまして」
リスティアは誇らしげに胸を反らした。
そして、パンパンと手を叩く。
「ひゃっ」
ハルは驚いた。着ていた服が、いかにも中世の旅人という感じの、オレンジ色の服と黒いズボンに変わった。シンプルだが、銀糸で刺繍が施されていて美しい。肌触りが良いのに、頑丈そうにも見える不思議な布だ。一応、女物らしく、レースで飾られ、背中の中ほどから後ろだけふわりと広がっていた。履いていたショートブーツは、革製のロングブーツに変わっている。
「その腰の鞄は、夢幻鞄というの。中にたくさんの荷物を仕舞えるのよ。中に入れてしまえば、重さも感じないわ。容量制限はないけど、時間までは止まらないから、食べ物を入れた時は賞味期限に気を付けてちょうだい」
「夢幻鞄……。すごい、身軽に旅が出来るなんて最高だわ」
重い荷物を持ってうろつかないで済むなんて、とても嬉しい。
ハルには武器よりもありがたく思えた。
「ありがとう、女神ちゃん!」
ハルは感動のあまり、姪っ子にでもするみたいに、リスティアに飛びついた。ぎゅっと抱きしめると、リスティアは照れ笑いを浮かべる。
「可愛らしい響きね。いいわ、ハル。女神ちゃんと呼ぶ許可を与える。でもたまにはリスティア様と呼んでもいいのよ?」
「分かりました、リスティア様」
「よろしい」
うふふっと嬉しそうに笑い、リスティアが大人ぶって頷いた。
「では、ハル。わたくしの世界に招待するわ。ひとまず、神殿に送るから、世界のことはそちらの長に聞きなさい。あなたの行動に干渉せず、身分証を与えて保護はするように命じておくから……」
そこでリスティアは今思い出したというように付け足す。
「あら、そういえば説明してなかったわね。各地に、わたくしとコンタクトが取れるスポットがあるの。神殿のこともあるし、その辺の岩だったりもするわ。見つけたらわたくしに声をかけてね。イイネを稼いだあかつきには、ご褒美もあるから頑張っていいわよ」
「ご褒美?」
「そうよ。ふふっ、それはその時のお楽しみ! さあ、お行きなさい。あなたの活躍、楽しみにしているわ」
リスティアは慈愛のこもった笑みを浮かべ、両手を広げる。
門の扉が開き、光の波が押し寄せる。
ハルはあまりの眩しさに、顔を手で庇い、目を閉じる。そして、波に飲み込まれた。
短編で書いたものを元に、長編にしてみました。
のんびりマイペース更新です。
同じものを、アルファポリスさんでも公開しています。
なんか頭が混乱してて、他のものと一緒に、気づいたらあちらで目次を作ってまして……。
でも、なろうの方がいいなと違和感が出てきたので、苦肉の策でこちらでも更新すればいいかなと思いましてね。
ぼちぼち書きます。のんびりお付き合いいただければ幸いです。
では。
2016.9/13 序章を大幅改稿。かなり削りました。
2017.6/8 加筆と修正。