横州賀定期空戦研究会
横州賀、基地から海浜電車で数駅のところに余個濱に中華街があり、そこに横州賀航空隊、四菱重工業、下島航空機、熱田航空機、西海航空機、公国航空技術工廠、ソビエト空軍、ワシントン空軍の代表者数名がぶらついていた。
そして暫く目当ての店に入った。
「四菱と下島で共同開発していた高速偵察機風見の試作機が完成しました。艦上機、陸上機は二社で生産しますが、水上機案は西海航空機に任せることにしました。」
四菱の設計主任の山前一歩氏が告げ、竜田揚げをとった。
「下島は山前さんと共同開発の風見の他に性能不足が否めない九六式艦攻の代替機として新型艦攻新山の量産試作機が完成しました。新山は噴式機には無理とされていた魚雷を搭載可能となり、ついでと言ってはなんですが空技廠の噴式弾も搭載可能にしました。空技廠の双葉さんのは無茶な要求ばかりで困ってます。」
下島の設計主任の上市政三氏が困り顔で述べ、炒飯を取り皿に盛る。
「熱田航空機は、新型機の開発を進行中で並行して主力統合任務機、ワシントン連盟の言葉でマルチロールファイターとでもいうのでしょうか。そんな機を設計中です。ポール氏がワシントン連盟の国内の航空機メーカーの参加を促してもらってます。」
熱田の設計主任の田浜一雄氏が報告し、酢豚をかっさらった。
「西海航空機は熱田航空機のジェットエンジンを搭載した新鋭飛行艇の生産開始しました。1号機は今、横州賀基地に向かってます。ソビエト代表団、ワシントン代表団の送り届ける任務を受けました。お楽しみに。」
西海の設計主任兼テストパイロットの桃山沙和が堂々と公表し、杏仁豆腐をすべて持っていった。
「空技廠はこいつを作った。飛行服だ。電熱線とは異なるもので暖かくでき、重力うんぬん関係なく最高のコンディションを発揮できる良いものを作ってきた。お土産として持って行ってくれ。」
空技廠の厄介者こと設計主任の双葉宏、机の下からビールを取り出し豪快に飲み出す。
「ソビエト空軍はプロイセンの侵攻を予想し、爆撃機に野砲を積み対地攻撃ができるように訓練を実施しています。」
ソビエト空軍所属の日本一時派遣中のレフェール・シェコフタフ氏が答え、懐からウォッカのボトルを取り出し飲み始めた。
「ワシントン連盟としては、余力がある秋津洲大公国と協力し航空機製造をしていきソビエト空軍に支援していきたい。あと、本格的な空中給油機の開発が最終段階を迎えている。」
ワシントン空軍一の自由人ポール・スミス。ありきたりな名前を悪用するプロ。ただ、仕事は1級で勉強家でも有名。なのでこの場でさっそく北京ダックと麻婆豆腐を取り、踊り出した。
「最後だな。近井道政の空戦講座の時間だな。まずはこれ。エンジン完全停止。タイミングをミスをすると生死を彷徨うか死を向かる危険だが、綺麗に決まれば相手は反撃不能。」
フリップを出し紹介。
「そしてこいつ。やる気のない体制を見せつけるだな。おすすめは旅客機の試作機ぶって接近して機銃で撃ち落とす。」
ただのクズと言われても仕方ない作戦である。
「今回最後の。レシプロ機中心の作戦だが、接近して信管の入れてない手榴弾を風防めがけ投げつけパンニックに陥らせ、そのうちに撃破。」
もはや常人の域を超えてしまっている。
酒を喰らい、歌い踊り、楽しんでいたら、
「近井司令、公国議会の召集礼状を持って参りました。」
幹嶋奈央中佐、近井を兄ちゃんと慕う公国海軍期待の少女だ。
「幹嶋、すまんな。」
近井は一足早く基地に帰投した。