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豆腐(千文字小説)

作者: 小出元春




 何か話すことはないかと思い、豆腐について私見を述べさせて戴きたい。


 まず、豆腐の原料となる大豆。『畑の肉』『豆の王』と呼ばれ、タンパク質やイソフラボンといった栄養価を多く含む。我が国の食卓を支える万能食材であるが、収穫までに多岐にわたる栽培管理をしなければいけないことを御存知だろうか。

 まずは土を耕さなければいけない。そんな時に頼りになるのが家畜。つまり耕牛である。

 地域によっては牛以外にも馬、人を使うところもあるらしい。大豆の産地で見られる牛十数頭が鋤をひくのは壮観の一言に尽きる。耕耘後に人の手で播種を行い、苗が立ってきたら土寄せを二回行う。その後摘芯を行い、皮が固くなり、豆が皮の中で転がるようになったら収穫。収穫物を乾燥・選別し、やっと原料の出荷となる。


 さて、前置きが長くなったが、ここからが豆腐屋の仕事である。

 神様に祈りを捧げながら大豆を水に浸し、砕いて『呉』を作り、煮沸して豆乳とおからを分離する。その豆乳を凝固、くずし、圧搾、成型、水さらしして冷却したものが木綿豆腐。豆乳をそのまま凝固、成型、水さらし、冷却したものが絹ごし豆腐になる。


 柔らかい豆腐は昭和時代以前には個人経営の豆腐屋で毎日作られ、動かすことで形が崩れることの無いよう、売る間際まで店頭の水槽の中に沈められているものであった。その方法が応用され、商用車に同様の設備を設け、水を溢さぬ運転技術を持った豆腐屋の豆腐しか市場には出ない。


 また、豆腐にはカロリーが少なく、水分が多いため満腹感が得られ、栄養不足にならないという点で優れたダイエット食品でもある。かの食レポ神である彦○呂さんは豆腐ダイエットで二十四㎏の減量に成功したという情報を入手した。気になっている方は是非試して戴きたい。


 あと余談ではあるが、昔は甲斐性のない夫に向かって「豆腐の角に頭をぶっつけて死んでおしまい!」という言葉を吐けた。だが、科学の発達した今、新幹線の先頭に夫を括りつけ、豆腐に衝突させることで殺めることもできる。立派な脅迫罪になるので注意されたし。



 以上、手間暇かけられ、長寿をささえる健康食品であり、多くの人が携わっている豆腐が一丁二十八円かそこらで販売される現状に疑問を持つ。これらのことを踏まえれば、倍の値段でも安いのではないだろうか。是非、皆さんにもご一考戴きたいと思う。




 なお、上記した内容は絹ごし豆腐よりも脆いネットソースなので注意されたし。

私は冷たい木綿豆腐におろし生姜、醤油をかけて冷酒。

父は湯豆腐に鰹節、醤油をかけて熱燗。

毎回バトルです。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 独特の世界感があって良かったです! 私もこちらでお話を書かせて頂いていますが、なかなか独自の世界観を演出出来なくて苦労しています… これからも執筆活動をぜひ頑張ってください!
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