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掃除機の食生活は凄まじい。時に失せ物も吸い上げたりするよ。

 

「掃除機の食生活は凄まじいと思わねえか?」

 私は熱く濡れたハンカチを手に、唐突に現れた作業服の男を茫然と見る。

「タバコの灰なんかのゴミ、蜂なんぞの害虫まで吸わされる」

 鼻白む私に構わず、なのに五月蠅いだのと理不尽だよな、と相手は続ける。

「ちっちぇー探し物にはうってつけなのに」

 ハンカチに載った婚約指輪を差し出された。

 枯れたと思ってた涙が溢れる。

 泣くなよ、と男は眉尻を下げた。

「馬鹿みたいにさぁ、嗤ってよ」

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