第4話:主人公だからって強くはないぜ
今夜は野宿らしいよ。
「………ジョージさん?これ、なんですか?」
ビートの前には、異様な臭いを放つなんか黒い物体があった。
「アーソレデスカ?ソレハ【フライパン】デスヨ。知ラナインデスカ?」
えぇぇぇ!?フライパンってこんなだったっけ!?確かに黒いイメージもあるが、これは行き過ぎだろ!!!
つーかなぜフライパン持ってんの?…よし、聞いてみよう!
「それよりなんでフライパン持ってるんですか?」
「料理スルタメニキマッテルジャナイデスカ〜」
まさかこれで今夜の料理作る気!?そんなことしたら料理にフライパンの焦げ目&臭いが移っちゃうよ〜!
「ジョージさん、もちろんそれ洗いますよね?」
「ハハハハ、ダイジョーブ!コレハ焦ルタビニ料理ガ絶品ニナル代物ナンデスヨ。」
あきらかに騙されてるじゃねぇかそれぇぇぇえ!!
「ち、ちなみにそれどのくらいしたんですか?」
「20万デ〜ス。安イデショ?」
「いや、高すぎだよ!あきらかに詐偽じゃないですか!!」
「エ?マジデスカ?」
「うん。」
「アノクソ魔王ー!騙シヤガッタナーー!!」
え?…えぇぇぇ!?魔王から買ったのか!?つーか魔王のくせに詐偽なんかやってんじゃねえよ!魔王のイメージボロボロじゃん!!
「ビート」
「ん?」
「魔王絶対ニ殺ルゾ!!!」
「当たり前ですよ、それが目的なんですから。」
とは言え、ジョージさんがやる気だしてくれたのでちょっと嬉しいな。
「…てジョージさん!そのフライパンで料理しちゃダメですよ!」
「エ?騙サレタダケデ料理ニハ使エルンジャナインデスカ?」
「いや、そんなに焦げてたらムリですから!…て、あー!!材料全部使っちゃってるよ!どうするんですか〜!これじゃ料理食えませんよ!?」
「チクショーーー!」
「ちょ、叫ばないで下さい!モンスター来たらどうするんですか!?」
「…!ソレデスヨ!!モンスター呼ンデ、ソイツラ食エバ良インデスヨ!」
「まぁ良い案だと思いますが、ジョージさん武器なしで大丈夫ですか?僕は剣あるから大丈夫ですが…」
「私ノ武器ハコノ肉体一ツサ!」
「そーですか。」
「イキマスヨ、ビート?」
「いつでもOKです!」
「…せーのっ!」
「「ソイヤーーーーーー!!!」」
なんだその掛け声みたいな叫び方。
ザザザザザ!
「フッ、来タミタイデスネ」
「そうですね。」
そう言いながらジョージはファイティングポーズを取り、ビートは剣を鞘から抜いた。
すると、オオカミみたいなモンスターが15体ほどがあらわれた。
「15体って、結構多いんじゃない?」
「普通デスヨ。」
敵がなんかすごい吠えてます。
ウォーンって。
「…そろそろ殺りますか?」
「モチデース!」
そう言って、二人は敵に突っ込んで行った。
ビートは剣で敵一体を切り捨てた!が、後ろから頭を噛られ、剣を振り回す。
目の前にいた敵2体を運良く倒したものの、今だに敵は頭を噛っている。
さらに剣を持ってる右腕と、左足も噛られた。
「助けてー!ヘルプ、ヘルプミー!!」
ジョージは敵一体目を掴んで投げ付ける。すると、もう一体が飛び付いてきた!
が、ジョージのボディーブローが炸裂!一撃ですね。
ビビッた敵は逃亡し、残りは3体。ビートを噛んでる奴も合わせると6体だ。
「ジョージ・バズーカー!」
ジョージの体から出た光線的なものが敵3体を一瞬で消し去った。…強!!
「ヘルプ、ヘルプミー!」
「オー大丈夫デスカ?今助ケマース。」
ジョージは、ビートの頭に噛み付いてる奴と、右腕に噛み付いてる奴を引き剥がし、この2体の頭どうしをぶつけた。
ゴン!という音が辺りに鳴り響く。
ビートは左足に噛み付いてる奴を剣で倒したみたいだ。
瀕死だったけど。
「救急箱持ってきといて良かった〜!一瞬お花畑が見えたもんな。」
「オー頼リナイデスネー。」
「うるさいわ!」
「ソレヨリコレ、ドウヤッテ料理シマショウカ?」
「そりゃ、焼いて食べるでしょ?」
「火ハドースルンデスカ?」
「その持ち運びようコンロでいいんじゃないですか?」
「火力弱スギテ焼ケマセンヨー」
「頭使って下さいよ!そこら辺にある木の枝集めて燃やせば良いでしょーが!」
「ナルホドー!デワ枝ヲ集メテ来マース。」
――数分後
「集マリマシタヨー!」
「じゃあそこに置いて。」
で、色々準備して…
「じゃ、火付けるよ。」
「マッテマシター!」
カチッ
カチッ カチッ
「あれ?」
カチッ カチッ カチッ
「なんで火がつかないの?」
「ア、ソーイエバサッキ火ツケッ放シニシトイタママデシタ〜」
「…ガス切れかぁぁあ!」
結局この日は何も食わなかったそうですよ。
「ア、ジョージ・バズーカーデ焼ケバヨカッタデスネ。」
「言うのおせーよ!」