第九十七話 宿を探して
乗っ取られた場合、寝ているような状態となって夢を見ていると錯覚するのか、と気になりラオックに聞いてみると
―そうだ。だからお前に最初に乗っ取られていたと言われた時、夢では無かったと気付いたのだろう。本人は認めたくないようだが。
そう乗っ取った側として解説してくれた。教えてくれてありがとうと念じて伝え、何か食べ物のリクエストはあるかと聞くと肉が良いという。
縛られている体の影響なんだろうなと思い、馬小屋で馬を借りる契約をした後で探すことにする。
馬小屋に着くとウォルフガングさんから通達が行ったのか、軍馬を一騎貸してもらえることになり、サジーの荷車をそちらに引いてもらうことにした。
何も引いてないサジーに騎乗するが楽しみだと思った時、移動中に戦うことを想定して剣よりリーチが長いもの、槍よりはただの棒でもがあった方がいいのではないかと思った。
手続きを済ませて馬小屋から町の中へ移動し歩いている際に、お店の軒先に170センチくらいの細い鉄棒がおいてあったので、お店の人に断りを入れてから手に持ってみる。
先は丸くて殺傷能力は無さそうだし、細いので重量的にも軽く持ちやすい。何よりエルフに対しては鉄などが有効なので最適だろうと考え購入した。
ハクロを増強しているせいか住民や兵士だけでなく職人も多く、レストランなど飲食店は混み合っており、露店もあるので食べ歩きに変更する。
アライアスの隙を突いて肉串をラオックの口へ運んでみた。エルフとしてこれまで過ごし肉を食べていなかったからか、とても美味しいと心の底からの声が響いてくる。
ヴァルドバほどではないか入れると高速で租借し肉は消え、お代わりをくださいと言ってきた。右手で自分のを食べながら、左手でラオックの口へもっていく。
しばらくしてお腹も一杯になり宿を探し始めたところ、
「あの! 宿をお探しですか?」
後ろから声を掛けられたので振り向く。するとそこにはイリスよりも少し大きいくらいの子どもがおり、宿を探していると答えるとうちの宿は如何ですか、と勧められる。
なんとなくイリスと重ねてしまい放っておけず、特に他に声も掛けられていない上に、町も混み合っているので行ってみようとなった。
見るとその子は赤いワンピースにエプロンをしており、家の手伝いをしているのかと感心する。
名前はエルザと言いますと自己紹介をされ、こちらも皆で自己紹介をした。さっそく案内してくれるというのでエルザの後に続く。
「あの子エルフと人間の間に生まれた子だけど、凄いしっかりしてるわね。イリスもそうだけど教育って大事だわ」
歩いているとエイレアにそう言われる。よく見れば確かに耳が少しエルフと同じ形をしているが、言われなければ気付かなかった。エイレアはよく見ているなと思うと共に、先ほどの言葉からこの旅でエルフに対して失望するだけでなく、前を向き先を見ている気がして嬉しくなる。
「ここが私のお家であり宿です!」
「お、おう……痛い!」
馬鹿正直な反応をしたアライアスに対し、皆で頭を軽くはたいた。よっぽどこれまで豪華な宿屋に居たんだろうが、俺たちからすればこれくらい年季の入った宿屋は普通である。
「やっぱコイツ捨ててかない? いい加減私でも腹立ってきたんだけど」
「同感。コイツ最悪」
「ちょ待てや! 僕は正直をモットーとして生きてきただけなのに、なぜそれが最悪なんだ!」
嘘しかついてないだろその名前も本名か? と聞きたいところだったが無視し、ちょっとしょんぼりしているエルザに中を見せて欲しいと頼んだ。
「ど、どうぞ!」
中へ入ると掃除は行き届いているが修繕はほどほど、人気が無いのがすぐ分かった。苦労しているんだろうなと察し、部屋を纏めて頼むより別々の方が助かるだろう、そう考えてエルザにお願いする。
冒険者ランク:シルバー級
職業:二刀流剣士(初級)
魔法:生命力変換
冥府渡り(デッド・オア・ダイブ)Lv.2
魂斬り (ソウルスラッシュ)
仲間:エイレア(エレクトラ王妃の妹のエルフ族)
ヴァルドバ(ワーウルフ)
所持品
メイン武器:ソードブレイカー・右
サブ武器:ソードブレイカー・左
クリスタルソード(王妃がエルフの里から持ち出した秘剣。追憶のペンダントが無ければ抜けない。鞘のベルトを肩から斜め掛けし背中に背負う)
防具:布の服・ズボン・革の靴(初期装備)
エルフのマント(裏面に魔法陣が隙間なく掛かれ、表はど真ん中にウロボロスのマークが入ったマント)
アイテム:エリナから貰ったリュック
(非常食各種、水、身分証、支援金五十ゴールド、地図、治療セット箱)
キャンプ用品一式
水晶の荒粒
追憶のペンダント(エレクトラ王妃から借りた物。マナの木の持ち物?)
砥石一式
鉄くずの入った袋
メメリカ草(痺れ消し草の粉末一袋)
所持金:十九ゴールド




