第九十六話 仲間と共にハクロでのんびり
ラオックに感謝の意を込めてサムズアップしていると
「何をやってるんだ? 人形に向かって。さっさと町に入って食事をしよう。暖かい美味い食べ物が食べたいんだ僕は」
偉そうにアライアスがそう主張してきた。エルフというよりもコイツそのものが面倒だなと思いつつ、
ヴァルドバとエイレアにアライアスの両脇を固めてもらい、サジーを馬小屋に預けてハクロの町の中へと入る。
さっそく道具屋へと向かい、ラオックを抱えて好みのリュックを選んでもらった。
「いやマジか」
―何か問題があるのか!?
チョイスしたリュックは紫を基調としたキンキラの商品である。アライアスにこれを背負わせるのもとんだ罰ゲームだなと思いつつ、エルフの里へ一緒に行く条件としては良いかと考え購入する。
「アライアス、お前のことを信じるよ。エイレア、ヴァルドバ、アライアスの紐を解いてやってくれ」
「え!? 良いの!?」
「良いのか? コーイチ。コイツ何かするぞ?」
ヴァルドバの率直な言葉に吹き出しそうになるも堪え、一旦抱えているラオックに視線を向けてからアライアスに戻し
「信じてみようじゃないかここまで共に旅をして来た仲間だし。まぁ条件としてこのリュックに、イリスの大事なこの熊を入れて背負ってもらう、ってのがあるけどな」
そう告げた後で二人を見ると声をあげずに、あーと言った顔をしてから口を抑えた。
「そ、そのくらいはお安い御用だとも! コーイチ……お前は良い奴だ! 仲間とまで言ってくれたお前を僕は裏切ったりしない! マナの木に誓うよ!」
許されたと思っているアライアスは、興奮しながらこちらに近付いて来てそうまくし立てる。お前マナの木の状態のこと知らなかったくせに、それに誓うとかどういうことだよ、とツッコミたい気持ちを抑えリュックにラオックを入れて渡した。
「大事に扱ってくれ? でないと罰が下るかもしれん。何しろイリスはあのエレクトラ王妃の娘だからな。特別な力があっるかもしれない」
「あ、ああ……も、もちろん! 粗略に扱うものか……」
イリスの力も何も、昨日神から強引にこちらの仲間に加わわされたラオックに、イリスは何の関係もないのだが、アライアスは王妃の名を聞いて委縮し大切そうにリュックを抱える。
「っておい! エイレア貴様何をするか!」
ーいたっ!? エイレアめ覚えていろ!
その様子を面白がったエイレアは、隙を突いてリュックをバンバン叩き嫌らしい笑みを浮かべ、それに対してアライアスとラオックは動揺し治まると抗議した。
その様子が面白くて声をあげて笑ってしまい、二人から俺も抗議されたが治まらず、皆も笑い出してしまう。久し振りに楽しい気持ちで笑ったなと思っていると、店主から睨まれてしまいそそくさと店を出る。
エルフ族の二人にここからの旅程を確認したところ、ハクロからエルフの里へは三、四日かかるらしい。ただし森はモンスターや妖精が漂っており、人間族や人間族側の馬などが通った際に、何事も無く辿り着けるかは分からないと言われた。
「出来れば馬を一頭借りて、その子にアライアスを置いた荷車を引かせたいわね」
「いや、それなら僕が先導した方がいいだろ。なんで荷台なんだコーイチも仲間だと言ってくれたのに」
仲間と言われたことがよほどうれしかったのか、そこを強調してアライアスは主張する。乗り移られていた間のダメージが気になるから、と適当な理由を付けてエイレアの助け舟を出すと、それならとアライアスはあっさり引き下がった。
どうやら俺のみを仲間だと認識しているのか、基本的には反抗せずに従いますという意思を感じる。故あれば倒す相手だというのに、段々と彼が昔飼っていた柴犬に見えて来て辛い。
「しかし僕が乗っ取られていたのが夢でないのだとすれば、魔神の右腕に勝てたコーイチは凄いな」
気が緩みまくっているのか馬を借りる為に小屋に向かう途中、アライアスはデカい声でそういう。エイレアに小突かれて何をするんだというも、両脇を固めるヴァルドバとエイレアから小声で注意されると押し黙る。
冒険者ランク:シルバー級
職業:二刀流剣士(初級)
魔法:生命力変換
冥府渡り(デッド・オア・ダイブ)Lv.2
魂斬り (ソウルスラッシュ)
仲間:エイレア(エレクトラ王妃の妹のエルフ族)
ヴァルドバ(ワーウルフ)
所持品
メイン武器:ソードブレイカー・右
サブ武器:ソードブレイカー・左
クリスタルソード(王妃がエルフの里から持ち出した秘剣。追憶のペンダントが無ければ抜けない。鞘のベルトを肩から斜め掛けし背中に背負う)
防具:布の服・ズボン・革の靴(初期装備)
エルフのマント(裏面に魔法陣が隙間なく掛かれ、表はど真ん中にウロボロスのマークが入ったマント)
アイテム:エリナから貰ったリュック
(非常食各種、水、身分証、支援金五十ゴールド、地図、治療セット箱)
キャンプ用品一式
水晶の荒粒
追憶のペンダント(エレクトラ王妃から借りた物。マナの木の持ち物?)
砥石一式
鉄くずの入った袋
メメリカ草(痺れ消し草の粉末一袋)
所持金:十九ゴールド




