第八十四話 身を寄せ合う仲間
「コーイチ! しっかりして!」
「うぉ!?」
突然場面は変わり、目を開けると自分は寝転がっていたようで、ヴァルドバとエイレア、それにラオックが顔を覗き込んでいた。三人の先の空にクリスタルソードが浮遊している。
魔神と対となる神様が声を掛けてくれていたのに、クリスタルソードは何かを感じ、俺の身を守るために鞘から抜けてくれたのだろうか。
神様は味方のはずではと思いつつ、ラオックを見ると首輪が付いていて、そこから伸びる鎖を辿るとこちらの腕に繋がっている。
プレゼントというのがこれのことだとすれば、あまり良い趣味とは言えない。信仰を望んでいないと言っていたけど、シスターアヤメを思い出すと似た者同士の集まり、のような気がしないでもなかった。
それにしてもまさか神様と会話する日が来るとは思わず、驚いている。シスターアヤメと今度会った時、どんな顔をすれば良いのか迷う。あなたの拝んでる神様と話しました! なんて言った日には命が終わるか監禁されるか、とにかく無事では済まないので話すまいと決めた。
「コーイチ、生きてるか?」
「目は空いてるし瞳孔も普通だけど、どこか痛いところとか無い?」
「お陰様で無事だよ。ラオックは自己紹介が済んだのか?」
「済んでいる訳なかろう! お前が突然倒れたので駆け寄ったばかりだ!」
「ああそうなんだ。……そう言えばラオック、神様と会ったことある?」
「禁則事項だな。現世の者に話すと私が消される。まぁ大戦の記憶も含め消去されているらしく、覚えてはいないが戦った……ような気がする程度だ」
「え、この熊なんなの?」
エイレアのツッコミに対し、どう説明しようか迷ったものの、事実をそのまま説明することにした。生憎俺とラオックの繋がっている鎖は見えないようだが、コーイチがそういうならと二人はあっさり納得する。
「良いのか? そんな簡単に信じて」
「私のことだって簡単に信じたのに?」
「俺は種族の未来のためにコーイチに賭けてる」
「私は出来れば逃げたいが、こうなっている以上共にいるしかない……それにしても神によってお前にプレゼントされたとは……これでも私は魔神ラヴァル様の右腕なのに……どうして……」
約一名転職に失敗し退職した会社に再就職しようとしているような、悲痛な感じの人がいるが置いといて、感謝の言葉を告げる。
皆の顔を見つつ、色々あったけどラオックに勝てて良かった、とほっと胸をなでおろした。とは言え今回の勝利は明らかに相手にとって初見殺しであり、本体ではない不利な状況だからこそ勝てたのだ。こんな一か八かの戦い方では魔神には勝てない。
ラヴェルもそれを分かっているからこそ、マナの木のバックアップを受けるよう念を押したのだろう。
何か良い手は無いものかと考えたものの、やれることは限られていた。手元にある手札で戦うしか術は無い。もう少し若い時に転生し色々経験していれば、などと思わないことも無いが
「この変な熊にも勝ったし、これなら魔神もいけるんじゃない?」
「な!? 何と失礼なことをいうのだこのエルフ族!」
「エイレア何もしてない。俺も何もしてないけど……」
こうして着いて来てくれているヴァルドルやエレイア、それにイリスとも出会えなかったかもしれない、そう思うと大事な者のために戦おうと思える今で良かった。
「まぁ俺たちは勝つしかないからな。二人にはこれから頑張ってもらうことも多いし、今はのんびり構えててくれ。それよりアライアスは大丈夫か?」
二人に聞くと忘れてたといった表情をして一旦離れていき、戻って来て息をしているという報告をしてくれる。
正直なところ前の町に置いて行きたいところだが、戻るような時間的な余裕はない。魔神は待つと言ったが彼の部下がまだいるとすれば、ラオックのように仕掛けてこないとも限らないだろう。
冒険者ランク:シルバー級
職業:二刀流剣士(初級)
魔法:生命力変換
冥府渡り(デッド・オア・ダイブ)
魂斬り (ソウルスラッシュ)
仲間:エイレア(エレクトラ王妃の妹のエルフ族)
ヴァルドバ(ワーウルフ)
所持品
メイン武器:ソードブレイカー・右
サブ武器:ソードブレイカー・左
クリスタルソード(王妃がエルフの里から持ち出した秘剣。追憶のペンダントが無ければ抜けない。鞘のベルトを肩から斜め掛けし背中に背負う)
防具:布の服・ズボン・革の靴(初期装備)
エルフのマント(裏面に魔法陣が隙間なく掛かれ、表はど真ん中にウロボロスのマークが入ったマント)
アイテム:エリナから貰ったリュック
(非常食各種、水、身分証、支援金五十ゴールド、地図、治療セット箱)
キャンプ用品一式
水晶の荒粒
追憶のペンダント(エレクトラ王妃から借りた物。マナの木の持ち物?)
砥石一式
鉄くずの入った袋
メメリカ草(痺れ消し草の粉末一袋)
所持金:二十ゴールド




