第八話 シスターとの授業が終わり、そして冒険者業再開
「いってぇ……やっぱりベッドは慣れないな……」
またしてもベッドから落ちることで目を覚ます。外を見れば昨日起きた時間と同じように、日が昇りかけていた。教会を尋ねるまでも前日と同じようにし、シスターアヤメに出迎えられて授業が始まる。
礼拝堂に入ると一番前の長椅子に座るよう促され、彼女は像の前へ移動すると講義を始めた。どうやらこの世界には色々な種族がいるようで、人間は数が多いが能力値は平均的で、力は獣族に魔力は魔族とエルフに敵わないという。
どの種族にも得手不得手があることから交易で交流はあるものの、自分たちが上であると考える者たちが人間族以外には多く、そのことから戦争や小競り合いが多いらしい。
自然保護の観点から魔法使用に関する法を相談して作っても、魔族やエルフ族は特に無視する者が多いようだ。困った人間族側はクロウ教を中心に対策部隊を作り、且つ冒険者ギルドを設立し有力な物を引き抜いているという。
魔法の種類も四大元素を使用したものから、エルフが得意な幻術など色々あるらしい。さすがに相手も気を許していない様で、人間族側には全てを知る者はいないようだ。
「私が使ったのは人間族が使えるものなのですが、コーイチさんは知識だけに今は留めておいてください。人間族では一応クロウ教徒であっても、資格を得る為の試験などがあり簡単には使用方法は学べません」
ということで彼女との授業は、魔法を使用した相手に慣れる、というものがメインになるようだ。ここから一か月、彼女に毎日ボコボコにされつつも徐々に目や感覚が慣れて来て、四週目には対応出来るようになってきた。
こっそり生命変換も使った結果、連度が上がり消費が抑えられた気がする。シスターアヤメは違和感を感じ、その都度その都度目を座らせながら確認して来たが、最後は違和感を感じさせないくらいになれてよかった。
「一か月お疲れ様でした。正直一度くらいボコボコにしてやろうかと思いましたが、思いのほか自己再生が強いのか上手くいきませんでした」
「……正直に言い過ぎだと思います先生。とにかく一か月お世話になりました! 明日から冒険者として頑張っていきます!」
「そうしてください。あなたがもし名を轟かせることが出来れば、また会うこともあるでしょう」
「あれ、シスターアヤメもどこかに行ってしまうのですか?」
「もちろんです。私は元々代行でここにいただけなので、明日から神父が来ますから、もうあなたが恐れるようなことはありません。ではごきげんよう」
リックさんの時と違いシスターアヤメとの別れはあっさりで、拍子抜けしつつ教会を後にする。
「どうも皆様御久し振りでございます! 異世界転生者コーイチ、只今生還いたしました! お仕事ください!」
まだ昼食後くらいの時間だったので、明日からと言わず早速冒険者活動を始めよう、そう考えギルドを訪れ大声で帰還の挨拶をした。バーカウンターの前にいた一列だけが開き、最初の時のようにエリナはバーカウンターを飛び越え、間合いを詰めて来て剣の柄に手をかける。
前回は何も出来なかったけど、今回はこちらもそれに合わせて柄に手を当てつつ、彼女の肩に自分の肩を当て引き抜けないようにした。
「チッ……腕を挙げましたね変人コーイチさん」
「お陰様で。それよりお仕事くださいな」
きつい二か月を過ごした成果を見せれて良かったと思いつつ、ほっとしているとなぜか拍手が巻き起こる。エリナが言うように自分は変人の異名を持っているらしく、あまり歓迎される立場の人間では無かったはずなのに、いったい何が起こったのだろうか。
「何か様子がおかしいとか思ってるのかもしれませんが、それは当たり前ですよ?」
「何故ですか」
「あなたはあの七聖剣のリックさんに一か月のみとはいえ鍛えられ、さらにクロウ教十二使徒の十二である、破壊拳アヤメにも鍛えられたんですから、それだけで有名人です」
聞いてあの強さに納得はしたし、二つ名からして今回の授業は手を抜いてくれていたんだな、と理解した。ボコボコにしたかったという言葉も本気ではなく、彼女なりのおふざけだったんだろう。
「教えてくれた人は凄くても、俺自身は変人のままですよ」
「それは残念。調子に乗ってるようなら一撃入れようかと思ったのに」
「なんでこの世界で出会う女性は、俺に一撃お見舞いしようとしてくるんすかね」
「さぁ? それより丁度良かったです。さっき面倒な依頼が入ったのでそれを処理してください」
冒険者ランク:ブロンズ初級
職業:二刀流剣士(初級)
魔法:生命力変換
仲間:なし
所持品
メイン武器:銅の剣(初心者講習修了記念品)
サブ武器:ショートソード(リックさんから頂いた初級講習完了記念品)
防具:布の服・ズボン・革の靴(初期装備)
アイテム:無し
所持金:五十ゴールド




