第七十七話 マイヤの町到着
森を何とか抜け月に見守られながら草原を走り、その先にあった年季の入った橋を渡ってまた森に入る。先ほどまでの森とは違うのに、なぜか纏わりつくような感覚が変わらない。
ヴァルドバにそのことを伝えて見ると、彼も同じように感じているという。サジーも嫌な予感がして疲れているけど走っている、そう伝えられ止まるかどうするかの判断を、なるべく早めにしなければと思った。
「あ、もうすぐマイヤの町だって!」
一旦止まって迎撃しようと言いかけたところで、エイレアの言葉を聞いてほっとする。森の終わりが近いとサジーも感じたからか、これまでよりも速度を上げて道を走り出した。
荷台のエイレアの悲鳴がビブラートして聞こえ、笑いを堪えつつ周囲を警戒しながら進む。
「よし! 抜けた!」
少し先に進んでいたヴァルドバは、声を弾ませ森を抜けたことを教えてくれる。嫌な感覚も消え去りそれにサジーも気付いたからか、速度を落とし森から十分離れると足を止めへたり込んだ。
急いで飼葉と水を用意し、いつでも食べれるようサジーの近くにおいて、荷車を外して休んでもらう。次にこちらもテントを張って食事の準備を始めた。
月の位置を見るとまだ夜明けまで時間があるので、急いで食事を終えて就寝する。寝るのもあっという間だったが、町へ行く人の声や馬のいななきに起こされるのも、あっという間に感じた。
急いで片付けの準備をし町へ入るための列に並ぶ。他の人たちと話したがここまでの道中で、嫌な感覚に囚われたことは無かったという。
被害が無くて何よりだが、そうなるとやはりまた標的は自分達かと思いゲンナリする。どこの勢力か分かれば良いが、第三勢力とか野良とかやめて欲しいなと思いつつ、荷物チェックを終えてサジーを馬小屋に預け買い出しに出た。
ギルドに先に報告を済ませるとまた町長がーというので、国王の指示で急ぎますので申し訳無いのですが、と一応丁寧にお断りを入れる。
まだ明るいうちなら相手も襲って来ないだろうし、ここは一気にハクロまで駆け抜けたいところだ。今回は人数が一人減ったことで食材も少なくなり、サジーの負担を若干減らせるだろう。
買い出しを終えて直ぐに馬小屋に戻り、ヴァルドバにサジーの体調を聞いてもらうと
「よく分からないけど、コーイチが撫でてくれたらいけるようだ」
そう不思議そうな顔をして言われた。よく分からないが言われた通りにしばらく撫でたところ、ヴァルドバがそれくらいで十分だそうだと言い、サジーも元気な声を聴かせてくれる。
ひょっとして生命変換が自動発動しているのか、と思ったが体力的な消耗は無い。もしかして無理をさせているのではないかと考え、一度馬小屋から出て聞いてみるも、見ての通り元気になっているがどうしたと返された。
「ひょっとしたら無理をさせてるんじゃないかと思ってな」
「馬は無理できない。無理すれば足が折れ即死ぬしかないから。なんでこんな短時間で回復したのかは、俺にも分からないが元気だぞ?」
俺よりはヴァルドバの方がサジーに関しては分かるし、見たところ確かに元気そうではあるが、一応気をつけておいてくれと頼んで出発する。
マイヤからハクロまではしばらくの間は農地が広がり、森に入ると割と広めに道が切り開かれており、見通しが良くて安心した。
なんでも農作物を多く運んで行くために最近開拓したらしい。通りやすくて助かるしマイヤまでの道がまだマシだ、というヤクテの町で聞いた話とは違うなと思っていると
「おいそこの人退いてくれ!」
一頭の馬に乗った麦わら帽子の人が寄って来てそう叫ぶ。何があったのかと思って見ていたら、その後ろから馬が何頭もこちらへ向かって走ってくる。
さらにその後ろは土煙を上げており、何か引きずっているようだった。急いで降りて剣を引き抜き、脇道に入れるよう草を刈りながら進んでいく。
冒険者ランク:シルバー級
職業:二刀流剣士(初級)
魔法:生命力変換
冥府渡り(デッド・オア・ダイブ)
魂斬り (ソウルスラッシュ)
仲間:エイレア(エレクトラ王妃の妹のエルフ族)
ヴァルドバ(ワーウルフ)
所持品
メイン武器:ソードブレイカー・右
サブ武器:ソードブレイカー・左
クリスタルソード(王妃がエルフの里から持ち出した秘剣。追憶のペンダントが無ければ抜けない。鞘のベルトを肩から斜め掛けし背中に背負う)
防具:布の服・ズボン・革の靴(初期装備)
エルフのマント(裏面に魔法陣が隙間なく掛かれ、表はど真ん中にウロボロスのマークが入ったマント)
アイテム:エリナから貰ったリュック
(非常食各種、水、身分証、支援金五十ゴールド、地図、治療セット箱)
キャンプ用品一式
水晶の荒粒
追憶のペンダント(エレクトラ王妃から借りた物。マナの木の持ち物?)
砥石一式
鉄くずの入った袋
メメリカ草(痺れ消し草の粉末一袋)
所持金:二十ゴールド




