第七十四話 ヤクテの町
この件が終わったら、王に進言して内通者を洗い出してもらおう、そう決めながら片付けをしていく。
「よし! 出立だ!」
「「「おー!」」」
人数が増えて荷物も増えたがその分片付けも早く終わる。ヤクテまでの距離はそう遠くなく、橋を一つ渡り何事も無く町に着き急いで買い出しを始めた。
宿で休むならエルフの里の手前である、ハクロの町にしようと考えている。何しろ相手は準備万端待ち構えている魔神であり、野宿の翌日戦って勝てるほど甘くはないはずだ。
勝ったとしても黒騎士やアライアスの動きも気になるし、体力的にも精神的にも全回復してから望む、その方が勝算は高いだろう。
冒険者ギルドに立ち寄ると町長が挨拶をしたいと言われたが、エルフ族と人間族双方の密命を受けているので、終わったら改めて挨拶をさせていただきますと断った。
こういう時にアライアスとエイレアが居てくれて助かる。受付嬢もこちらの面子を見て納得し、町長にそう伝えてもらうことになった。
正直言ってこれ以上余計な敵を知るのも抱えるのも嫌なので、帰りもなるべくこの手を使い物資のみ補給して行こうと考える。
急いでギルドを出て買い出しの続きを始めたところで
「やぁやぁやぁ! 君が王の密命を受けたものか! 同じく密命を受けているアインシュタット家の若君も一緒とは、これまた良いタイミングだったかな!? ガハハハハ!」
突然後ろから声を掛けられた。見るとそこには恰幅が良く、目が痛くなりそうなキラキラした服装の頭髪の寂しいおじさんがいる。
こんな道のど真ん中で声を張り上げて密命とか言うなんて、と呆れているとアライアスは突然前に出て、その人物を引っ張って離れて行った。
「あらまぁ、こんなところで化けの皮がはがれちゃって可哀想」
「少数精鋭が一番だな、コーイチ」
「……アライアスが帰って来ても、なんて声を掛けて良いのか分からんな」
こちらの話は先ほどギルドでしているので、国から選ばれたもしくはパイプ役の町長であれば、知っていても可笑しくはないかもなとは思う。ただし人間族の町長がアライアスの密命を知っている、というのは明らかにおかしな話だ。
どういう密命を受けていると聞かされたかは知らないが、丁度良いとはどういう意味なのか一緒に居れば聞かれるし、答えがどうであれ良い結果にはならないだろう。
エルフ族と取引があり王妃やイリス誕生の事があるとは言え、先日テロがありイリスがさらわれたのも最近であり、笑顔でエルフ族の密命を知っている町長がどう見えるか、なんて少し考えれば分かる。
現に他の皆さんの視線は、こちらにすら冷ややかなものが向けられている。首都から離れていると王たちの影響力が衰えるのでは、なんて考えてすみませんでした。
「なんだアンタら、あのおっさんのお友達かい?」
「会いたくない、とはっきり伝えたはずなんですけどね。もう言われたんであれですが、王から頼まれごとがあってこの先に行くんですよ」
お肉屋さんの店主らしき人は腕を組んで嫌そうな顔でいうので、誤解されると不味いと考えはっきりとそう伝える。
「そうか! ならちょっとおまけするから買ってってくれよな! 地元産の良いのが入ってるんだ!」
町長を明らかに嫌がっていることが伝わったのか、笑顔になりおススメの品を紹介してくれた。次の八百屋さんも出し歓迎してくれ、お陰で買い出しはだいぶ安く済ませることが出来、町長のお陰とその部分だけは感謝する。
それにしても町長というのは国が指名しているのだろうか、という疑問を抱く。ここに来るまで公爵とかそういう人に会ったことは無いし、町長も初めて接触して来た。
人材難なのかしがらみなのか。国の運営というは気苦労が絶えないだろうなと慮りつつ、イリスを無事に連れ帰らないと大変なことになるなと肝を冷やす。
冒険者ランク:シルバー級
職業:二刀流剣士(初級)
魔法:生命力変換
冥府渡り(デッド・オア・ダイブ)
魂斬り (ソウルスラッシュ)
仲間:エイレア(エレクトラ王妃の妹のエルフ族)
ヴァルドバ(ワーウルフ)
所持品
メイン武器:ソードブレイカー・右
サブ武器:ソードブレイカー・左
クリスタルソード(王妃がエルフの里から持ち出した秘剣。追憶のペンダントが無ければ抜けない。鞘のベルトを肩から斜め掛けし背中に背負う)
防具:布の服・ズボン・革の靴(初期装備)
エルフのマント(裏面に魔法陣が隙間なく掛かれ、表はど真ん中にウロボロスのマークが入ったマント)
アイテム:エリナから貰ったリュック
(非常食各種、水、身分証、支援金五十ゴールド、地図、治療セット箱)
キャンプ用品一式
水晶の荒粒
追憶のペンダント(エレクトラ王妃から借りた物。マナの木の持ち物?)
砥石一式
鉄くずの入った袋
メメリカ草(痺れ消し草の粉末一袋)
所持金:二十ゴールド




