第六十八話 待ち伏せ
こうして二人にも作戦を明かして協力を求め、エルフ族の男、名前はアライアスと言った彼と共にヤクテの町を出立するべく準備を始める。必要なのは食料と追加のテントのみなので、割と早めに済んだためそのまま出立した。
アライアスは自前の馬を連れて来ており、荷車は無いものの食料と水を少し背負ってもらい、道が分かるようなので先導してもらう。
ライノの次の町のヤクテは、ワンダーからライノよりもさらに距離が離れており、橋を渡っていくところもあって平坦な道ではない。こういうところで案外待ち伏せを受けたりするが、アライアスを使いに出したからには、こちらがすぐ向かってくることは想定してないだろう。
ただ魔法で監視するなどの方法があるかもしれないので、サジーの休憩を取る際にエイレアに聞いてみようと思った。平原を駆け抜け森に入りモンスターを見掛けはしたが、ヴァルドバが居てくれる御蔭か、彼らはこちらに近寄ることなく去り助かる。
「川がこの先にあるので馬に水を飲ませたいのだが」
アライアスは同族以外気にしないのかと思っていたが、馬を気遣うなんて動物愛護の精神はあるらしい。直ぐに同意し川に到着するとサジーにも水を飲ませ、少し休んでもらい体力を回復してもらうことにした。
水が飲み終わった自分の馬を見て、アライアスは次に馬を川の浅瀬まで引いて体を洗い始める。距離が離れた今なら、エイレアに例のことを聞いても聞こえないだろう。そう考えエイレアの近くへ移動した。
「遠くを見る魔法はあるにはあるけど、前にも言ったようにマナの木が万全にならないうちは、用心して使わない気もする」
こそっと聞いてみるとそう言われる。エルフの里やマナの木のはっきりした状況が分からないが、宣戦布告するくらいだから整い始めているような気がした。
エイレアの見立ては正しい気がするものの、なんとなく嫌な予感がしたので道中は警戒を強めていく。他にも色々聞きたいことはあったが、アライアスに疑念を抱かれても困るので馬たちが休んでいる間、靴を脱いで足を川に入れながらこちらも休憩を取る。
しばらくしてヴァルドバから、サジーたちの休憩が済んだと教えられ出立した。森の中を走りつつ皆に対しここから先は進めるだけ進み、野宿に適したところで寝ようと提案する。
町から少し離れたところまで進むとまた川があるので、そこはどうかとアライアスから提案を受け承諾した。川を渡って森に入り少し経ったところで、視線を感じて周囲を見渡すもモンスターはおらず、思い過ごしかと思っていると
「コーイチ、何かが前のほうにいるぞ」
ヴァルドバが近付いて来て教えてくれる。どうやら俺の野生の勘もまんざらでもないらしい。アライアスにも言って一旦止まろうと寄りかけた時、もう少しで川だというアライアスが声をあげた。
「来たぞ!」
次の瞬間、別の方角から知らない声が飛び込んでくる。開けた場所ではサジーが狙い撃ちされてしまう、そう考え急いで止めて馬から降りてその場を離れ、横に着いてくれているヴァルドバと共に索敵を開始した。
索敵中に狙撃されその方向を見ると相手は待ち構えていたようで、木の枝の上などから弓を構えこちらを探し狙っている。いくら事前に戦争の準備をしていたと考えても、ここはまだ人間族の領土のど真ん中近くであり、密偵を放つだけでなく攻撃までするのはあまりにも危険な行為だ。
攻撃を仕掛けるにしてもこの道は獣道ではなく、馬車などが行き交い柵がある普段使われている道だった。恐らくこれまで幾つも人が通り過ぎたであろう道で、他を襲わずこちらだけを狙って来たというのは、どう考えてもおかしい。
ちょっと噂になったくらいの俺や、そもそも最近人型の姿をしているヴァルドバに、先ほど髪型を変え眼鏡を掛けたエイレアをどうやって狙えたのか。
冒険者ランク:シルバー級
職業:二刀流剣士(初級)
魔法:生命力変換
冥府渡り(デッド・オア・ダイブ)
仲間:エイレア(エレクトラ王妃の妹のエルフ族)
ヴァルドバ(ワーウルフ)
所持品
メイン武器:ソードブレイカー・右
サブ武器:ソードブレイカー・左
クリスタルソード(王妃がエルフの里から持ち出した秘剣。追憶のペンダントが無ければ抜けない。鞘のベルトを肩から斜め掛けし背中に背負う)
防具:布の服・ズボン・革の靴(初期装備)
エルフのマント(裏面に魔法陣が隙間なく掛かれ、表はど真ん中にウロボロスのマークが入ったマント)
アイテム:エリナから貰ったリュック
(非常食各種、水、身分証、支援金五十ゴールド、地図、治療セット箱)
キャンプ用品一式
水晶の荒粒
追憶のペンダント(エレクトラ王妃から借りた物。マナの木の持ち物?)
砥石一式
鉄くずの入った袋
メメリカ草(痺れ消し草の粉末一袋)
所持金:二十ゴールド




