第六十四話 胡散臭いエルフ族の男現る
片付けを終えるといつもの位置に付き、ワンダーに入るための荷物チェックの列に並んだ。首都ひとつ前の町だけあって直ぐには順番が回って来ず、朝一番に並んでも陽が高くなる頃にやっと回って来た。荷物チェック自体は直ぐ済んで、そのままサジーを小屋に預ける。
料金的には今日出れば御飯も済んでおり一時預かりはタダなので、急いで冒険者ギルドへ報告しに行き特に連絡もないことを確認、直ぐに食料と水を買い込んで戻り出立する。
イリスの護送と違い今回は急ぐ旅のため、のんびり観光することは無いので早い。気をつけるのはサジーの体力や体調だ。有難いことにヴァルドバがサジーと簡単な意思疎通が出来るらしく、体力的に厳しくなったら教えてくれることになった。
少し走り続けているとエイレアの調子がだいぶ良くなったのか、地図を見ながらあーでもないこーでもない言い出し始める。ラジオ感覚で聞きながら道を進み、喋り疲れてエイレアが寝たころ次の町であるライノに着いた。
徐々に距離が長くなっているようで、余裕で夕方前に着けるかと思ったが、ギリギリ閉門前に着き荷物チェックを受けサジーを預けて町に入る。
激動の二日目を終え宿へ入り湯につかると、やはり野宿のダメージがあるのか眠気が襲ってきた。ギルド直営の宿でご飯を頂くため食堂へ行くと、皆無心で食べてそのまま部屋に行き就寝する。
「やぁやぁ人間君! おはよう! ご機嫌は如何かな!?」
ぐっすり寝て昼頃起きて昼食を頂き、急いで外へ出て次の町へ行く準備をしていたところ、高そうな服や装飾品を付けたエルフの男に声を掛けられた。いくら首都から離れて二つ目の町とは言え、エルフ族を二人連れて歩いているように見えるのは珍しいのか、皆チラチラ見ながら通り過ぎていく。
声を掛けてきたエルフ族の男は雰囲気からして胡散臭いので、どうもとだけ返して一礼しその場を後にする。疲れてたこともあって寝過ぎてしまい、今日も野宿だなと思いながら買うものを考えつつ歩いていると
「君、待ちたまえ。少しは愛想よくしても良いのではないか?」
「すいません急いでるので……」
先ほどのエルフが何故か着いて来て文句を言ってきた。キャッチに捕まるのってこういう気分なんだなと思いつつ、極力怒らせないようにしながら端的に断る。
「人間族などというものはだな、我らエルフ族より劣っているのだから、敬うべきだろう。違うかね」
「わかりません失礼します」
執拗に食い下がり付いてくるエルフ族の男は、二度目にはっきり断っているのにまだ着いて来ていた。ヴァルドバとエイレアに目配せしながら、付いてくるエルフ族の男に見えないように、指で別れるようなサインを送るとうなづいたので
「あ! エルフが飛んでる!」
「なに!?」
空を指さしそう叫ぶとエルフの男はそちらを見る。まんまと引っ掛かっている間に散開する。恐らくエルフ族の首都襲撃の際に、同族が長老たちに飛ばされたのを知っているのかなと思った。でなければあんな嘘に引っ掛かるはずがない。
何しろうちのエルフであるエイレアは口を手に抑えて笑っていた。急いで街中を走り狭い路地を駆け抜け、裏通りのような場所に出る。小さな商店を見つけたのでその中に入り、商品を見つつやり過ごすことにした。
今日はどちらにしろ野宿なので、閉門するまでにこの町を出れば良い、そう考え商品をゆっくり見ていると気になる物を発見する。
「御主人これは?」
「おお! お客さんお目が高いね! そりゃカジノでスッたエルフ族が売りつけてきた、なんでも魔法のマントらしい。クロウ教の司祭に見てもらったが、眉唾だろうってんで飾ってあるんだが……買わないか?」
手に取られたマントは、裏地が緑一色で魔法陣のようなものが黒で隙間なく書かれ、表は薄緑でど真ん中に大きな蛇が丸くなり自分の尻尾を噛む、そんな奇妙な絵のみが描かれていた。
冒険者ランク:シルバー級
職業:二刀流剣士(初級)
魔法:生命力変換
冥府渡り(デッド・オア・ダイブ)
仲間:エイレア(エレクトラ王妃の妹のエルフ族)
ヴァルドバ(ワーウルフ)
所持品
メイン武器:ソードブレイカー・右
サブ武器:ソードブレイカー・左
クリスタルソード(王妃がエルフの里から持ち出した秘剣。追憶のペンダントが無ければ抜けない。鞘のベルトを肩から斜め掛けし背中に背負う)
防具:布の服・ズボン・革の靴(初期装備)
アイテム:エリナから貰ったリュック
(非常食各種、水、身分証、支援金五十ゴールド、地図、治療セット箱)
キャンプ用品一式
水晶の荒粒
追憶のペンダント(エレクトラ王妃から借りた物。マナの木の持ち物?)
砥石一式
鉄くずの入った袋
所持金:二十三ゴールド




