第五十六話 職人の意地!新装備は特殊な二刀流!
「なんというか……罰が当たった気分だ。俺はてっきりどこかで鉄の剣でも買ったものとばかり……」
「いやぁでも事実この二振りでイリスを助けた訳ですし、こちらとしてはとても有り難い品なんですが」
明らかにショックを受け項垂れるジューイットさんを見て、この武器も素晴らしいんですよと力説するも、首を振っただけで押し黙ってしまう。少し間があって顔を上げこちらを向き、悔しさで顔を歪めながら言った。
「そう言って貰えて嬉しいけどよ、それなら俺の自信作でって思う職人魂も分かってくれるだろう?」
「そ、それはまぁ少しわかります」
「分かってくれたなら話は早い。悪いがこの二振りは俺が回収する。その代わり俺の自信作を持って行ってくれ」
「え!? そんな悪いですよ!」
リックさんに提供しているような凄い鍛冶師から、無料でしかも自信作を提供してもらうなんて、とてもじゃないが簡単に受け入れられない。剣の師匠であるリックさんですら対価を払っているだろうし、弟子的な自分がそれは出来ないから払うというも、食い気味で拒否される。
「金を貰うなんてとてもじゃないができないんだ! 今回はセーフだったが、仮にもし自信作じゃない剣で黒騎士に勝たれでもしたら、俺は鍛冶師としての人生に迷う。死んでも死にきれん!」
大袈裟なと言いかけて言葉を飲み込む。人生をかけている職業で偉業を成し遂げるなら、自信作でという気持ちは分からなくもない。とはいえ黒騎士に勝てるかと言われると難しく、相手は呪いの鎧などの厄介な物を装備している可能性が高いので、簡単に倒せる相手ではないとも伝える。
それでもジューイットさんはだからこそ自信作で頼むと譲らない。一応見るだけと告げると奥へ駆けていき、直ぐに二振りの剣を携え戻って来た。
これを手に持ってくれというので鞘から引き抜いてみると、両方とも一見同じソードブレイカーに見えたが、長さがショートとロングの間くらいになっている。さらに片方の刃は平らになっておりその点を指摘したところ、確実に折るために手や足で力を入れるようにした、とジューイットさんが教えてくれた。
「聞けばコーイチ殿は相手を切らんというので、ならば思い切って先だけ尖らせ反対の刃は潰したんだ。これなら鈍器としても使えるし、丈夫さも重さもあって相手の武器を破壊するのにもってこいだろう?」
リックさんから話を聞き、そういう面白い使い手がいるならそれ専用をと考え、この二振りの剣を試作して見たという。出来上がりを見てこれは良いものだと思い、自信作になったらしい。
自分のような使い手を想像して作成されたとはいえ、こんなに面白くて良い武器をただというのは気が引ける。ジュードさん的にはお詫びってことなんだろうが、貸し借り無しで対等な関係でいたいから払うというも、絶対に受け取らない絶対にだと断固拒否された。
「コイツなら強度もあるし武器のせいで負けることは無い。俺の自信作であるこの剣で、是非とも黒騎士に勝ってくれ!」
気合のこもった声と目力に圧倒されただけでなく、三度目も断るのは相手に悪いとも考え、受け入れることにする。持っていた剣をジューイットさんが持つ鞘に納め、鞘を受け取り一礼した。
「……分かりました。ジューイットさんの気持ち、有難く頂戴し頑張ります!」
「やっと分かってくれたか! 期待しているぞ! あ、そうだ。一応砥石もセットで渡すが使い方分かるか?」
分からないと伝えると研ぎ方を教えてくれると言ってくれ、今までお世話になった剣をジューイットさんに預けると、そのままお店の中で使い方を習う。
砥石は荒・中・仕上げと三つ使い、使う前に砥石を水に浸してから固定し、ソードブレイカーの折る方の尖りを細かく研いでいく、というのを実践してみせてくれる。
何度か別のソードブレイカーや鎌などで練習し、及第点を貰ったところで講習は終了となった。
冒険者ランク:シルバー級
職業:二刀流剣士(初級)
魔法:生命力変換
冥府渡り(デッド・オア・ダイブ)
仲間:エイレア(エレクトラ王妃の妹のエルフ族)
ヴァルドバ(ワーウルフ)
所持品
メイン武器:銅の剣(初心者講習修了記念品)
↓
ソードブレイカー・右
サブ武器:ショートソード(リックさんから頂いた初級講習完了記念品)
↓
ソードブレイカー・左
防具:布の服・ズボン・革の靴(初期装備)
アイテム:エリナから貰ったリュック
(非常食各種、水、身分証、支援金五十ゴールド、地図、治療セット箱)
キャンプ用品一式
水晶の荒粒
追憶のペンダント(エレクトラ王妃から借りた物。マナの木の持ち物?)
砥石一式
所持金:二十三ゴールド




