第二十四話 白毛の馬
いい天気だなあなどと空を見上げながら歩いていたところ、急に横に鼻息の荒い何かが止まった。なんだろうと思い見るとそこには小さな白毛の馬がいて驚く。馬車の荷台に乗せてもらっているので、馬が馬のままこの世界にいるのは知っているが、元の世界の馬と変わらなく可愛い顔をしている。
思い返すと野生の馬を見るのは初めてかもしれない。目が合うとこちらに頭を擦りつけてきたので、たてがみの辺りを優しくさするとぐいぐい首を押し付けてきた。
相手も気持ちいいのかもしれないが、撫でてるこちらもなにかとても癒されてくる。
「……君、起きてるか? 馬と一緒なら馬車や馬が並ぶ列に移動してくれ」
「え!? あ、すみません!」
気付くといつの間にか町の近くまで来て列に馬と並んでいた。兵士に促され馬車などが並ぶレーンに移動し、順番が来たのでチェックを受ける。その際に兵士に馬を預けられるところはないか、と尋ねると基本的に通過や商売以外で町の中に馬の持ち込みは許可しておらず、壁に沿って進んだ先にある馬小屋に預けておくしかないらしい。
どうしたものかと考えている間にチェックは終わり、修了書を渡され馬小屋に行くよう指示された。他の馬車や馬と共に小屋まで行き、厩務員だという人から初めてかと聞かれそうだと答える。
名前はと聞かれるもなぜかついて来てくれたと正直に打ち明けたところ、コボルトの件があって保護を求めて人を探してたのかもな、と厩務員さんは言った。どうするかと問われたので、自分に保護を求めたこの子を見捨てることが出来ずお願いすることにする。
利用料金は一日五百ブロンズだと聞き、今なら何とかなるなと思いつつ四日分を即金で支払った。馬房へ入れられると落ち着いたのかひと鳴きし、そのままゆっくりとしゃがんだ。
「初めてってことだから食事とかの説明しとくわ。あともし必要なら乗るための鞍も用意するけど」
厩務員さんが領収書を渡しながらそう言ってくれ、馬に関する講習会が始まる。基本放っておいても好きな餌を食べるし水を探して飲むが、飼うのであれば牧草や干し草を基本は与え、たまにご褒美感覚でニンジンやリンゴを与えると良いと言う。
鞍については馬に合わせて新調するため、金額的には一ゴールドは必要だと言われた。子供も載せたいと言ったところ、それなら荷車を小さいのでも良いから付けた方が良い、そうアドバイスをしてくれる。
初心者なので厩務員さんのアドバイスに従い、鞍と荷車の小さめのものを注文した。値段は五ゴールドと直ぐに出たのでその場で支払いを済ませる。
「なるべく早めに仕上げておくよ。乗らなくても毎日一度は顔出してくれよな!」
厩務員さんは最後にはご機嫌で手を振ってくれ小屋を後にした。なんか流れで馬を飼うことになってしまったが、これで移動の際には馬車を当てにせずに済むので有難い。
お昼が過ぎたくらいで全て終わってしまったけど、イリスのお仕事を邪魔したら悪いので、ハルさんに紹介してもらったご飯屋さんで夕方までのんびりする。
「え!? お馬さん!?」
頃合いを見計らい防具屋に顔を出すとイリスが出迎えてくれた。おかみさんたちと一緒に今日あったことを話してくれ、よく頑張ったねと褒めた後でこちらの事を聞かれたので、馬のことを話すと目を輝かせる。
明日の朝、お店に来る前に顔を出しに行こうというと興奮気味にうなずいた。預かってくれたお礼を言っておかみさんたちと別れ、宿へ向かい歩き出しても馬に関する質問が矢継ぎ早に来る。
そんなに大きくない馬だよというとテンションがさらに上がった。興奮しすぎて眠れないのではと心配したものの、宿に着くと食事やお風呂を素早く丁寧にこなし就寝する。
「起きて!」
いつものダイブ+キツめの大きな声で起こされた。もう身支度を済ませており、腰に手を当てしかめっ面をしている。急いで準備をし食事を済ませ外へ出ると走ろう! と促された。朝から元気だなと感心しつつイリスの後について走り、東門でチェックを済ませるとそのまま馬小屋まで先導する。
「おう、さっそく来たか。その子が荷車に載せる子だな」
「おはようございます。この子はイリスって言います。馬を早く見たいっていうもんで朝早く来ました」
「そうかそうか。でもなお嬢ちゃん、馬は驚き屋さんだから大きい声を出すと怖い、ってなるから止めてな?」
厩務員さんに挨拶しイリスを紹介するとそう注意され、彼女は口を塞いで勢いよく頷く。
冒険者ランク:ブロンズ初級
職業:二刀流剣士(初級)
魔法:生命力変換
仲間:イリス(護衛対象のエルフ族の子ども)
所持品
メイン武器:銅の剣(初心者講習修了記念品)
サブ武器:ショートソード(リックさんから頂いた初級講習完了記念品)
防具:布の服・ズボン・革の靴(初期装備)
アイテム:エリナから貰ったリュック(非常食、水、依頼書、身分証、支援金)
水晶の荒粒
所持金:三十三ゴールド三十八シルバー




