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転生おじさん立志伝~一国一城の主を目指して~  作者: 田島久護
首都への護送依頼始まりの章

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第十七話 エルフ族との対話

「どうしてだ?」

「意味不明な返しをするのね……いや、そういうことか。あなた意味が分からず依頼を受けてるわね?」


「意味とは?」

「人間族の首都にエルフ族の子どもを一人送り届ける、これで少しは考えられそうかしら」


 彼女がイリスを消したいのであれば、この間の悪魔のように一緒に居る時に狙うのがベストだろう。俺が一人になったところを狙って来た、というのはなるべく穏便に取り戻そうという意図を感じる。


だからといってそれが真実とは限らない。まだ聞いただけではあるが、人間族とは良い関係ではないからだ。騙すことに躊躇も何も無いだろう。俺は俺の知ることしか知らないけど、イリスは一緒に旅をしていてとても楽しそうだし、引き渡して良いことがあるとは思えなかった。


「君らと人間族はあまり良い関係ではないのは知っている。ただイリスはそうではないようだが」

「私の姉が人間族の首都に幽閉されているのよ。あの子は姉の子どもなの」


「ならなんでイリスはアーの町にいたんだ? 幽閉されているのに自由に出入りできるのか?」

「姉とあの子を一緒に連れ戻そうとしたけど失敗したの。せめてあの子だけでもと思ったけど、あなたみたいなおじさんに邪魔されたわ」


 あなたみたいなおじさん、という言葉とエルフから奪い返せる腕を持つ人で、当てはまりそうな人物は一人しかいない。リックさんは国のやり方の調査をしに来たのではなく、イリス奪還とその警護で来ていたんだ。


恐らくシスターアヤメも後方支援か何かで来ていたんだろう。本当に良いタイミングで俺は転生し、アーの町に来れたんだなと思った。運命に感謝しつつも事の経緯が分からない以上、見も知らぬ他人を信用したりは出来ない。


なにより最初から交渉して来たならまだしも、魔法を使ったり攻撃を仕掛けて来た時点で駄目だろう。


「悪いが攻撃を仕掛けてきた君の言葉をそのまま信用出来ないな」

「お金が欲しいの? それならいくらでも渡すわ? 宝石が良い?」


 彼女はそう言ってこちらへ向けて袋を投げ捨てた。ジャラッという音からして宝石が入っているのだろう。今の行為を見ただけで交渉する余地はなくなる。知る由も無いだろうが以前勤めていた会社を退職する際に、金が欲しいんだろうと言われなぜか封筒に入った退職金を、投げて渡されたのを思い出した。


昭和初期でもないのに退職金を手渡しとか、とんでもない会社に勤めていたなとげんなりしつつ、未練なく止められたのを覚えている。異世界に来てそんなことを思い出させられるなんて、今日はとてもいい日に違いない。


知らない出来事で八つ当たりされるのも可哀想なので、真実は自分で探すしイリスは渡せないと説明して断ることにした。


「悪いがあの子とは一緒に歩いて食べて寝て起きて、短いがそうやってここまで来た。ただの知り合いではなくなってしまった今、はいそうですかとは渡せない。君に聞いた話は俺が自分で調べる。だからイリスは渡せない」

「私の言葉が本当だったとしたら?」


「その時はイリスにも手伝ってもらって、どこかで国でも作るさ」

「他の冒険者なら笑い飛ばすところだけど、あなたの能力を目の当たりにすると冗談に聞こえない。あなた本当に何者なの? ただのバカなおじさんじゃないみたいだけど」


「いいやただのバカなおじさんだよ、今はね」


 相手の提案をこちらは拒絶したので、あとは戦って雌雄を決するのみだろう。先ずは距離を詰めて弓を無効化する。そこからはラッシュあるのみだ。


「……まぁ良いわ。まだ首都まで日数がかかる。また会いましょう?」


 逃がす訳には行かないと距離を詰めようとするも、強風が相手側から吹いて来て押し留められてしまった。


―忘れないでいてね。私たちはあなたたち人間族と仲良くする気はないということを。


 前を見るといつの間にか霧も彼女も消えてしまっている。魔法の効果で視覚を操られていたのかと思いつつ、何故仲良くする気がないのかというところを聞きたかったな、と残念に思ながら急いでマチルダさんのところへ戻った。


「おおコーイチ良く戻った! 皆で探そうと思っていたところだぞ!」


 戻ると他の冒険者たちも集まっていた。前を開けてもらいマチルダさんに近付き、耳を借りてエルフ族との話を伝えるとすぐに他の冒険者たちを町に返らせる。お付きと俺以外がいなくなったのを確認し、彼女は咳払いをしてお付きも下がらせた。


「コボルトの発生もそれで原因が特定できた」

「そうなんですか?」


「ああ。連中は召喚魔法を使用することで、魔法で生成されたコボルトを呼べる。無論その女ではないだろうが、そうなるとエルフ族の長老たちが噛んでいるとみて間違いないな。だがそうであればなぜ魔族にイリスを襲わせたのかが分からん……」


 見れば捉えたはずのコボルトも、他の冒険者たちが倒したであろうコボルトも、きれいさっぱり消え去っているのに気付く。どうやら本当に魔法を使って呼び出したようだ。


魔法での疑似コボルトですらあの強さなのだから、本物だと思うとぞっとする。色々考えながらも黙って待機しているこちらに対し、マチルダさんは町に戻っていいと言われた。論功行賞の事とかはギルドで聞こうと考え、一礼してその場を後にする。


「お帰り! お帰り!」


 草原を走り荷物検査を受けギルドの前まで行くと、イリスが一人壁にもたれ掛かっていて、こちらを見つけると笑顔になり走って来て飛びついてきた。


「あはは大歓迎だなイリス」

「もー! だいかんげいじゃない! お帰り!」


「あーごめんごめん、ただいま」


 

冒険者ランク:ブロンズ初級

職業:二刀流剣士(初級)

魔法:生命力変換オーラヒール

仲間:無し


所持品

メイン武器:銅の剣(初心者講習修了記念品)

サブ武器:ショートソード(リックさんから頂いた初級講習完了記念品)

防具:布の服・ズボン・革の靴(初期装備)

アイテム:エリナから貰ったリュック(非常食、水、依頼書、身分証、支援金)

     水晶の荒粒


所持金:四十八ゴールド

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