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転生おじさん立志伝~一国一城の主を目指して~  作者: 田島久護
首都への護送依頼始まりの章

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第十三話 襲撃者現る

 明らかにイリスに対して良い感情をい出していないのは、言い方からして伝わった。聞いた話だがエルフ族も魔族も人間族を見下しており、法を守る気もなく気に入らなければ魔法も行使すると言う。


恐らく先ほどの爆発は魔法によるものであり、情報を考えると今は躊躇なく使って来るはずだ。魔法を使われては分が悪い。ここでまともに受け答えしては相手のペースになる。


主導権をこちらが握るためにも、ここははぐらかしてみるか。


「それってどれかな? 馬車の荷物なら俺の管轄外だから他をあたってくれ」

「いやだわこの期に及んでとぼけちゃって。あなたの抱えているそれよ、そ・れ!」


 こちらを煽るように、魔族は俺が抱きかかえているイリスを指さす。どうやらはぐらかす程度では相手の感情を、波風一つ立たせることすらできないようだ。ならば煽るしかない。


「俺の抱えているそれというと、あいにく物は見当たらないし……あ、ひょっとして将来に対する不安かな? でも生憎とテロリストに就職する気は無くてね。やはりそうなると他をあたってもらうことになる」

「それなら心配いらないわ、あなたはここで死ぬもの」


 イリスを物扱いする態度からして連れ去る目的ではないようだ。魔族の体の周りから黒いもやが出始めると同時に、身じろぎしたくなるような殺気を感じる。イリスを下ろし離れているように告げ獲物を抜き構えた。


「二刀流とかあなた曲芸師なの? そういう遊びの手合いとやるのはつまらないわ」

「君の格好からして俺が曲芸師ならお似合いじゃないか?」


 これは心の波風が立ったらしく、相手はこちらに飛び掛かって来る。獲物は何かと見るといつの間にか両手の爪が伸びており、あれが武器なのだろうと考え間合いを計算した。


「御喋りはお終いよ」

「顔はクールだが頭はホットなようで」


「そんなことわないわ、おじさん。サービスタイムはここまでってこと!」


 相手の初手は飛び退いて避け、次の左切り上げをショートソードで横へ弾く。近接戦闘は好きなようだが、剛力というわけでは無いようで簡単にはじけた。


隙が出来たので銅の剣で斬りつけようかと思ったが、女性だと気付き剣の腹を頭部へ向け振り下ろす。あと一歩のところで交差させた腕に阻まれ、反動を利用してこちらは下がる。


「……舐めてるのかしら? それともお情け?」

「いいや違うね。俺の主義さ」


 こちらの返答を聞き終わるや否や、先ほどよりも激しい乱撃が襲い掛かってくる。なんとか下がりながらいなしたり弾いたりして凌いだ。シスターアヤメとの格闘授業が無ければ、とうの昔に切り刻まれていただろう。


彼女の速さよりは確実に遅い。本当に良い出会いに恵まれたなと天に感謝しつつ、相手のスタミナがこちらを上回っていると不味いと考え、タイミングを見計らい強めに薙いで弾き攻撃を止めた。


「聞いていた話と随分違うようだけど、あなたは何者なのかしら?」

「記憶喪失の変人コーイチだよ。そう聞いていたんじゃないのか?」


「たしかにその通りね……良いわ、もう面倒だから吹き飛ばすことにする。どうせそのガキも消すんだし、私好みに殺せないのが残念だけどスッキリ消しちゃいましょうね……」


 嫌らしい笑みを浮かべながら魔族は右手を突き出す。魔法を使われると感じ急いで駆けだすも、魔族の体の周りに漂っていた黒い霧が右掌に集まり、やがてそれは炎の玉に変わっていく。


「喰らえ! 火球(ファイアボール)!」

「間に合った!」


 思い切り踏み込んで地面を蹴り、滑るように魔族の間合いに飛び込んだ。相手が振り被ったところでショートソードの剣腹を思い切り手首にぶつける。


「なっ!?」


 バシーンという音と共に手首は向きを変え火の球はこぼれ、そのまま地面に向かって落ちていく。一か八かそれをゴルフボールを打つようにスイングし、空へ向かってかっ飛ばした。数秒後に上空で爆発音がしてホッとしたのも束の間、魔族がまた襲い掛かって来たのでそのまま攻防に入る。


「な、何なんだお前は……!」


 どうやら思った以上に魔法を使用した消耗が激しいらしく、しばらくすると攻守交替してこちらが攻めるようになっていた。とは言え切ることも出来ないので剣腹を当て機動力を削ぐ、という一点に集中し主に太ももを狙って攻撃を繰り返す。


虐められていた経験から膝やくるぶしを狙えば良いのだろうけど、やはり女性ということを考えると戦い辛い。男だったら気にせず攻撃できるのにな、と窮屈に思いつつも自分の主義なので曲げずに続ける。


「くぅ……」


 装備が装備だけにこちらが多少手を抜いた程度では、剣腹とは言えダメージはそう軽減されない。繰り返して行く中で徐々に速度が落ち、そして今やっと足が止まった。


「俺はあの子を何があっても守ることに決めたんだ。悪いけど何度来てもそれを譲るつもりはない」

「こ、殺さないのか? 魔族である私を」


「俺は魔族だろうとなんだろうと、基本的に殺すことは良しとしない主義なんだよ。食べなきゃいけないから動物や植物の命を奪っているけど、そうでないなら他人の命なんて奪いたくない。じゃあな」


 剣を鞘に納め魔族から目を離さずに走り、イリスのところまで戻ると急いで自分たちの荷物のみを掻き集め、彼女を抱えて一度町へ戻ることにする。


冒険者ランク:ブロンズ初級

職業:二刀流剣士(初級)

魔法:生命力変換オーラヒール

仲間:イリス(護衛対象のエルフ族の子ども)


所持品

メイン武器:銅の剣(初心者講習修了記念品)

サブ武器:ショートソード(リックさんから頂いた初級講習完了記念品)

防具:布の服・ズボン・革の靴(初期装備)

アイテム:エリナから貰ったリュック(非常食、水、依頼書、身分証、支援金)


所持金:四十八ゴールド

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