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転生おじさん立志伝~一国一城の主を目指して~  作者: 田島久護
首都への護送依頼始まりの章

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第十二話 カイからサノンへ

「おいコーイチだっけ? アンタもし前方に敵が来たら、そこにある石なり棒なり投げて道を開けるようにしてくれないか?」


 言われて周囲を見ると商品が入っている木箱の下の方に、石や棒がいくつか転がっていた。もし道を塞いできて止まれば荷物を奪われる可能性があるので、こういったものを馭者さんは用意しているのだろう。


「分かりました!」


 例え用心棒を載せていても止まれば奪われる機会が生まれる。俺が出るのは最後になると理解し、荷物を置き近くにある石を右手に棒を左手にして身構えた。イリスも真似をしようとしたものの、棒は流石に無理だったようで両手に石を持って微笑んでいる。


二人で頑張ろうなと声を掛けると元気良く返事をして頷いてくれた。アタの町から出てしばらくは草原を走り、やがて馬車は森に入る。すると前方に数人立ち塞がる者たちが現れた。


「おい! そこの馬車止まれ!」

「冗談だろ? コーイチたのむ!」


「了解です!」

「です!」


 石と棒を前方に全力で投げ相手をけん制したところ、相手は盾を持っていない様で横へ飛んで避ける。


「じゃあな!」


 隙を見逃さず全速力で馬車は通過し、道を塞いでいた物たちはあっという間に見えなくなった。


「やるじゃないかコーイチ! お嬢ちゃんもありがとうな! このままカイの町まで何事も無きゃいいんだけどな」


 それなんてフラグとか言いそうになったものの、なんとか堪えそうですねと返した。馭者さん曰く不景気でもないのに盗賊が多いのは、楽をしたい人間が増え過ぎたからだと言う。


少し前までは青の盗賊団のコンスタチオとかいう首領が名を馳せ、その影響で若い人間の多くがそれに憧れ盗賊をしているようだ。コンスタチオは上流階級から金品を盗み、それを市井に配っていたから人気だったのになとボヤく。


「そのコンスタチオって人は今どうしてるんですか?」

「さぁな。突然消えちまったよ。そのせいで部下同士で争いが起こり、こんな森の中まで若い盗賊がうろうろするようになっちまったのさ。元々ひょろっとしてて細面、男だが長い髪をしていて病弱そうだったからな。病にでもかかって寝込んだんじゃないか? っとまた来たぞ! 二人とも頼む!」


 一瞬、最初に出会った盗賊を思い出したものの、目の前の盗賊の対処に追われてそれどころではなくなる。馭者さんの言うように非常に道を塞ぐ者たちが多く、何度も投げているうちに在庫がなくなり、どうしようかと三人で悩みつつ進んでいたところ


「やったぞ二人とも! もう直ぐカイの町だ!」


 馭者さんの弾んだ声にこちらも歓喜した。森から出て草原を走っていると前方に町が見えてきて、近付くと荷物検査待ちの列が出来ており、馭者さんは貨物検査があるからここまででという。


乗せてもらったお礼を言いつつ頭を下げ、歩いてきた者たちの検査の列に並んだ。馬車よりも荷物が少ないため直ぐに番が来て荷物検査は終わり、歩きながら冒険者ギルドを目指す。


有難いことにギルドはアタの町やアーの町と同じように、東口から入ってそう遠くないところにあった。中に入り受付で事情を話すとアタの時と同じように、専用の宿を紹介してくれる。


イリスは退屈していないだろうかと思い見ると、歩きながらもううとうとし始めていた。さすがにここまでの緊張で疲れたのだろう。俺が小さい頃にこんな経験をしていたら、彼女より持たずにギブアップしていたに違いない。


宿に着くと案内された部屋に入るなり、イリスは布団へ真っ直ぐ向かい入ってすぐ寝息を立てる。自分も疲れているし離れて食事は危険だと考え、そのまま隣で眠ることにした。


「おはよ!」

「ぐっ……これは朝の恒例になるのか?」


 昨日と同じ感じで起こされ目が覚める。順調にいけばあと三日で首都に着くので、それまでの間だが来ると思って寝ようと思った。イリスはなかなかの重量なので、身構えてないと心臓が止まる。


身支度をし食事を済ませて宿を出て、ギルドで次の町であるサノンへ行くために馬車を探した。昨日の馭者さんではないが、別の人が乗せようかとギルドで名乗り出てくれる。盗賊が多いので護衛を探していたようで、ただで良いならこっちも助かると言ってもらい、そのまま馬車に乗ってカイの町を出た。


味気ない旅ではあるものの、イリスの安全最優先なので仕方ない。彼女が一体どういう立場のエルフで、これまで何があってこの先どうなるのか。分からない状況では迂闊にまた来たいねとか、そう言うことをいうと傷つけてしまう恐れもある。


「今日も良い天気で良かったね!」

「本当に気持ちいいな!」


 走る馬車の荷台に勢いよく流れる風が心地良い。考えれば危険すぎる任務を自分に任せるはずは無いし、イリスはまだ子供だ。彼女を狙って誰かが襲って来るなんて、一応油断しないようにという配慮でエリナは言ったのかもしれない。


「フラグかこれ」


 さっきの自分の考えはフラグを建てたんじゃないか、とセルフ突っ込みを呟いた瞬間、前方で爆発が起こり馬車が止まる。迂回しようと馭者さんが馬車を動かそうとした瞬間、再度爆発が起きて吹き飛ばされた。


「イリス、こっちへ!」

「あい!」


 急いで彼女を抱えて荷台を蹴り、着地して両足で踏ん張り速度を殺す。獲物は腰に佩いているので荷物は後で回収すれば良い。敵はどんなやつかとイリスを背負いながら周囲を警戒する。見れば馭者さんは無事で地面に転がった後、そのままカイの町へ走って戻って行ってほっとした。


「あら、見たことないおじさんが子守なの?」


 声のする方を見ると煙の中から何かが飛んで来て、こちらの目の前で止まる。青白い肌に青く腰まである長い髪、ボンテージを着た目の赤い美女がそこにいた。


彼女を襲う者で人間でもエルフ族でも無いとすれば、残りは今知る限り一つの種族しかない。


「魔族か?」

「よくご存じで。それじゃあ話は早いけど、それ渡してくれない? おじさん程度じゃ私の相手にならないからさ」

冒険者ランク:ブロンズ初級

職業:二刀流剣士(初級)

魔法:生命力変換オーラヒール

仲間:イリス(護衛対象のエルフ族の子ども)


所持品

メイン武器:銅の剣(初心者講習修了記念品)

サブ武器:ショートソード(リックさんから頂いた初級講習完了記念品)

防具:布の服・ズボン・革の靴(初期装備)

アイテム:エリナから貰ったリュック(非常食、水、依頼書、身分証、支援金)


所持金:四十八ゴールド

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