第百十三話 魔神戦開始!
「おい魔神。コーイチを休ませる気があるなら黙っていたらどうだ? お前のやっていることは逆効果に見えるが」
「確かにな。だが私の気持ちも分かってもらえるだろう? 何しろここにいるのは全員、この世界においては異質な者たちだけだ。魔界にもそういった者はもうおらぬのでな。つい余計なことまで喋ってしまう」
ここにいる全員が? 俺やラヴァルは分かるが、黒騎士とアリエルもそうなのか? 突然の言葉に驚き後ろに控えている二人を見るも、黒騎士はラヴァルを見ていて目が合わず、アリエルは苦笑いをしている。
「私が知る限り、クロウの使徒である転生者との戦い以後、この星に来た者はお前たちのみだ。私はそのことにも興味があり、この男の願いを叶えるついでに現界したのだよ。予想でしかないがクロウは地ならしの為に、お前たちを同時代に存在させたと見ている」
「ヤツの再臨まで大人しくしていられないとは、貴様も落ち着かない男だな。」
「余計なお世話だ士元勇太」
初めて聞く名前にこちらが驚いている間に、黒騎士は剣を抜いてラヴァルに斬りかかるも、見えない壁に阻まれあと一歩のところで刃が届かなかった。
「フフフ……やっと怒りを露にしたな黒騎士よ。これでお前からの挑発の借りは返したぞ? コーイチ、そのお茶菓子を食べるが良い。エルフに昔から伝わる回復薬のようなもので、世界樹の雫や葉などで出来た一級品だ。直ぐに全快する」
「クソォ!」
黒騎士の剣と見えない壁の間に火花が散り、危険を感じて急いでお茶菓子を食べお茶で流し込み、転がるように距離を取る。
「あまり格好良い開戦とはいかなかったが、許せよコーイチ。すべてはこの男が悪いのだよ……あの世でミーファに詫びるが良い。愚かな僕を許してくれとなぁ!」
「殺してやるぞ魔神ラヴァル!」
怒号を浴びせる黒騎士を見て声をあげて笑いながら、ラヴァルは椅子から立ち上がると黒い気を発し、黒騎士を吹き飛ばした。
黒い気は炎のように揺らめきながらラヴァルを覆い、アリエルが放った炎の魔法を受けただけでなく押し返えす。
「まぁ前座としては良い具合だな。黒騎士にアリエルよ、コーイチに私の実力を見せる為に頑張って攻撃してみよ。上手くすると多少ダメージを与えられるかもしれん」
そう言ってラヴァルは二人に対して手招きをする。真っ先に黒騎士が飛び掛かり、それを見てアリエルが左手を突き出す。掌からキラキラとした粒子が流れ出て黒騎士を覆うと、スピードが上がったのかあっという間に間合いを詰め、魔神へ斬りかかった。
「さすがは賢者アリエルだ。お前を呼んで正解だったよ。血縁者以外に下ろすことは難しい上に、ソイツが空っぽだったからこそ出来た芸当だがな」
「この子の名を付けたのはお前だろう? 空っぽにさせられた、が正しい」
「名は体を表す、というのは日本のことわざだったか? 士元よ」
「黙れ!」
怒りが頂点に達しているような言葉使いだが、黒騎士は見えない壁を壊そうと一点集中し力の限り叩き込んでいる。アリエルも補助魔法を使っているのか、次々と光の粒子を黒騎士に送りフォローしていた。
「コーイチ、見ての通りこの程度では私へ直接ダメージを与えることなど不可能。普通の剣にただ魔法のバックアップを受けただけの体では、奇跡を起こすことすら無理だろう」
魔神ラヴァルは汗一つ搔かず顔色一つ変えず、黒騎士の攻撃を受けながらそう解説する。こちらからすれば黒騎士の攻撃はこれまで見た中でも一番凄いものだ。
フルパワーで攻撃を途切れることなく加え、さらに魔法のバフまであるのだから、あれを喰らったら正直勝てるとは思えなかった。
恐怖すら感じる黒騎士の攻撃を退屈そうに見つめ、棒立ちしている魔神ラヴァルの底はどこにあるのだろうか。
冒険者ランク:シルバー級
職業:二刀流剣士(初級)
魔法:生命力変換Lv.2
冥府渡り(デッド・オア・ダイブ)Lv.2
魂斬り (ソウルスラッシュ)Lv.2
仲間:エイレア(エレクトラ王妃の妹のエルフ族)
ヴァルドバ(ワーウルフ)
騎乗馬:サジー(白毛の小さめの馬)
所持品
メイン武器:ソードブレイカー・右
サブ武器:ソードブレイカー・左
クリスタルソード(王妃がエルフの里から持ち出した秘剣。追憶のペンダントが無ければ抜けない。鞘のベルトを肩から斜め掛けし背中に背負う)
神の使いの剣
騎乗時の武器:鉄の棒
防具:布の服・ズボン・革の靴(初期装備)
エルフのマント(裏面に魔法陣が隙間なく掛かれ、表はど真ん中にウロボロスのマークが入ったマント)
アイテム:エリナから貰ったリュック
(非常食各種、水、身分証、支援金五十ゴールド、地図、治療セット箱)
キャンプ用品一式
水晶の荒粒
追憶のペンダント(エレクトラ王妃から借りた物。マナの木の持ち物?)
砥石一式
鉄くずの入った袋
メメリカ草(痺れ消し草の粉末一袋)
皆とおそろいの裁縫セット(緑)
所持金:十三ゴールド




