第百十一話 マナの木との接続と魔神とのお茶会
「ふふ……待った甲斐があったというものだ。冥府渡りとかいうのを使って防がれたのであれば、少々困ったのだが使わずに防いでみせた。合格だコーイチ。マナの木の麓にお茶請けなどを用意してある。早速来てくれ!」
テンションがまた元に戻った魔神に連れられ、エルフの里の中に入る。夢で見たのと似たような景色を走り抜けていく。エルフたちはこちらを見て笑顔で手を振っていた。
人間族の町には生活感もあり、生命の循環を感じるがここには生も死も、住む者たちの恐怖心すらも感じない。こういうのを人によっては理想郷と感じるのだろうが、俺は一刻も早くここから帰りたい気持ちになる。
「さぁ着いたぞ! そこの席にかけてくれ! 今お茶とお茶菓子を持ってくる!」
マナの木の麓に着くと魔神はそう言って手を放し、来た道を駆けて戻って行った。巨大なマナの木の下には堀があり、そこには水が流れ魚たちが泳いでいる。
「おいコーイチ、さっさと席に着け。今のうちに移動の疲れを回復するんだ」
黒騎士に促され席に着きマナの木を見上げた。見た感じ特別な見た目はしていないが、葉と木々の間から流れ込む木漏れ日を浴びると、精神的な疲れも体の疲れも消えていく気がする。
―コーイチ、いらっしゃい。よく私たちの元へ来てくれました、お礼を言います。
目を閉じ回復に専念していたところに、エリザベスの声が聞こえてきた。彼女と会話する為に頭の中で念じる。
遅くなって悪い。でもなんとか辿り着けて良かった。
―いえ、私たちの想定より早かったので驚いています。これもあの魔神が待ちきれなかったからでしょう。森の妖精たちもモンスターや野生動物たちも、異様な雰囲気に今はこの周辺の森から離れたり、息をひそめていますので。
そりゃそうだよな……ところでイリスは?
―安心してください、彼女は今寝ています。魔神はこの木を攻撃したりはしませんから、ここが一番安全ですので。仮にもし危なくなっても彼女は首都へ魔法で送り届けます。
今それが出来ないのは何故だ?
―彼女に断られました。あなたが迎えに来るのを待っていたい、そう言われてしまいました。
エリザベスから聞いたイリスの言葉に胸が熱くなる。イリスは両親の元から望んでもないのに何度も強引に引き離され、今直ぐにでも帰りたいはずだし帰れるのに、この俺が迎えに来るのを信じて待っているなんて言葉もない。
―エルフたちの不始末をあなたに頼むのは大変申し訳無いのですが、どうか魔神ラヴァルを魔界へ帰してください。彼が憑りつき現界していることで、周囲に歪みが生じ続けてしまいます。そうなると生態系にも影響が出てしまいますので。
魔界の神だから憑りついているとはいえ、その力の影響が凄いのはここに来るまでで少しは感じたよ。全力で戦うのでエリザベスも力を貸して欲しい。
―もちろんです。私たちが頼んだことですので、あなたにはマナの木が全面的に協力させて頂きます。会話している間、マナの根からあなたに直接力が渡せるよう接続しました。
助かる。色々よろしく頼むよエリザベス。
―任せてください。コーイチも頑張って!
体力が完全に回復したのを感じ目を開けると、魔神が向かいの席に座りこちらを見て微笑んでいる。あの優しい表情の元が、俺とやっと戦えるという期待からだと思うと恐怖でしかない。
「どうだ? マナの木とのパスは繋がったか?」
「なんでも御存知だな。その通り、今マナの木との接続が終わった」
「宜しい。一応準備完了と言ったところだな。直ぐにでも戦いたいがコーイチの状態を万全にする為、少し時間を掛けてゆっくりしてもらおう。……そうだな、少し会話でもするとしよう。コーイチ、お前はこの神であるクロウにあったようだな」
冒険者ランク:シルバー級
職業:二刀流剣士(初級)
魔法:生命力変換Lv.2
冥府渡り(デッド・オア・ダイブ)Lv.2
魂斬り (ソウルスラッシュ)Lv.2
仲間:エイレア(エレクトラ王妃の妹のエルフ族)
ヴァルドバ(ワーウルフ)
騎乗馬:サジー(白毛の小さめの馬)
所持品
メイン武器:ソードブレイカー・右
サブ武器:ソードブレイカー・左
クリスタルソード(王妃がエルフの里から持ち出した秘剣。追憶のペンダントが無ければ抜けない。鞘のベルトを肩から斜め掛けし背中に背負う)
神の使いの剣
騎乗時の武器:鉄の棒
防具:布の服・ズボン・革の靴(初期装備)
エルフのマント(裏面に魔法陣が隙間なく掛かれ、表はど真ん中にウロボロスのマークが入ったマント)
アイテム:エリナから貰ったリュック
(非常食各種、水、身分証、支援金五十ゴールド、地図、治療セット箱)
キャンプ用品一式
水晶の荒粒
追憶のペンダント(エレクトラ王妃から借りた物。マナの木の持ち物?)
砥石一式
鉄くずの入った袋
メメリカ草(痺れ消し草の粉末一袋)
皆とおそろいの裁縫セット(緑)
所持金:十三ゴールド




