第十一話 アタの町から
あっという間に西門に着き、荷物チェックと身分証を見せ外へ出る。ここから先はモンスター以外にも気をつけて進まなければならない。先ずは行ったことのあるアタの町を目指す。
アタから先だが歩くか馬車に乗るかだがどうするべきか。歩けば到着するまでのおよそ四日、襲撃に怯えながら過ごすことになるだろう。馬車に乗るとなれば、襲撃された時に他の人を巻き込むことになる。
「疲れた」
「ん? ああごめんごめん。ちょっと待っててくれ」
考えながら歩いているとイリスが強く手を引きそう言った。背負っていたリュックを前に抱え直し、イリスを背負って再度進む。しばらく歩いてみてわかったが、この体勢のまま四日も歩くのは無理がある。
出来れば他の人を巻き込むような行動はとりたくないが、荷物のこともあるし一刻も早くイリスの安全を確保する為に、申し訳ないと思いつつも乗ることにした。
昼過ぎより少し時間が経ってから出たので夕方も近くなってくる。昼間ですら危険だと言うのに夜に襲撃を受けては勝ち目がない。
「よっしゃイリス、少し揺れるぞ!」
「ん?」
「ぶぉおおおおん! ばりばりばりー」
ただ走るだけだと怖がらせてしまう、子どもといえば音の出る乗りものが好きだろうと考えたが、こちらの世界でのものが思い浮かばず、バイクの音真似をしつつ走り出す。
何か分からないだろうけど面白かったらしく、キャッキャと声をあげていた。出来れば襲撃を受けても避けられるくらいの速度を出したいが、イリスが驚くといけないので徐々に上げていく。
「オイお前……」
右脇道から何かが飛び出してきたが避けるように左へ走り、そのまま脇目もふらずアタの町を目指し爆走する。以降数回声を掛けられたが無視し、なんとか無事アタの町へ着くことが出来た。
「門兵さんたちこんにちは!」
「お、おう……お疲れ様」
門兵の荷物チェックを受け町へ入ったのでイリスを下ろそうとするも、返答はなくしがみ付かれてしまう。どうやらおんぶが気に入ったらしい。
無理強してまで下ろすことは無いと考え、そのままギルドを目指して歩く。少し歩いたところにあるギルドに到着し、事情を話したところギルド運営の宿を紹介してもらったので、今日はアタの町に泊まり明日朝馬車を探すことにする。
宿は食事も出るしお風呂のあるので外に出ず済んで助かった。依頼はもう始まっており、不用意な外出は夜は特に控えるのが無難だろう。幸いイリスは疲れたのかご飯を食べてお風呂に入った後、直ぐに就寝している。
どうやら彼女は幼い見た目とは違い、ご飯を行儀よく食べることもお風呂に一人で入ることも出来た。それがどういうことなのか、ひょっとするとその答えが首都にあるのかもしれない。
考えても今は答えが出ないことなので、気持ち良さそうに眠る彼女に倣い床に就くことにする。
「おはよ!」
「んご……」
元気な声と同時に腹部に衝撃が発生し目を開けると、イリスが俺のお腹の辺りで寝転がり笑顔でこちらを見ていた。旅先でも元気なことは良いことだと思いつつ、おはようと返して起き上がり彼女を抱えて洗面台に向かう。
扉の前に置かれている小さな桶を入れ、二人で交互に水を手に取り顔を洗い口をゆすぎ、空になった桶を持って受付に行き渡し引き換えに食事券を受け取る。
食事を済ませた後は直ぐに外に出てギルドへ向かい、馬車を探したい旨を伝えると手配してくれた。待つ時間はそれほど掛からず馬車が到着し、馭者さんに首都まで行きたいと告げるもそこまでは無理だが、途中の町までならということで乗せてもらうことにする。
さすがに四日間貸し切りとなると商売があがったりだと言われ、アーの町で手配してもらえなかった訳を理解した。専用の馬車となると馭者さんや馬など維持費が結構掛かるのだろう。
今回乗せてくれた人は商売の次いでたと教えてくれる。アーの町はこの国の始まりの町だが首都から離れていて儲けが出ず、馬車の台数自体も少ないようだ。アタの町は次の町であるカイの町との中間地点に鉱山があるので、それなりい人が多いから馬車も手配しやすいらしい。
カイの町はアタから丁度丸一日掛かるそうで、こちらには護衛を頼むと言われた。なんとか初日は襲撃が無かったものの、まだ首都までは何日もかかる。警戒を怠らずに行こうと再度気を引き締めた。
冒険者ランク:ブロンズ初級
職業:二刀流剣士(初級)
魔法:生命力変換
仲間:イリス(護衛対象のエルフ族の子ども)
所持品
メイン武器:銅の剣(初心者講習修了記念品)
サブ武器:ショートソード(リックさんから頂いた初級講習完了記念品)
防具:布の服・ズボン・革の靴(初期装備)
アイテム:エリナから貰ったリュック(非常食、水、依頼書、身分証、支援金)
所持金:四十八ゴールド




