第百八話 異様な三人での夜
調理が終わって食事の時もワイワイしながら食べ、終わって片付け就寝となる。楽しい時間は本当にあっという間に過ぎてしまった。
昨日と同じように先に番をすると告げ皆が寝静まった後、焚火の灯りの前に座りただ一人静かに夜空を見上げる。先ほどまでの賑やかさがなくなり静寂の中にいると、否が応でも自分の中の恐怖心が頭をもたげてきた。
魔神、魔界の神と名乗る男と戦う、そう思うだけでやはりプレッシャーが凄い。神様と言えばお賽銭を入れて毎月商売繁盛を祈る感じだったのに、転生してそんなに時間も経たず強敵すら倒せない中で、突然魔神を倒せはやっぱりハードル高くないかとぼやきたくなる。
「どうやら魔神相手に臆しているようだな、コーイチ」
突然声を掛けられ横を見るとアライアスが座っていた。だが今の声の感じはこれまでと違い、なぜか重厚感があり見た目や年齢と差がある気がする。
「何か僕におかしなことでも?」
「あ、ああいや何でもない。食事の時はありがとうな盛り上げてくれて。ここのところ調子が悪そうだったけど助かったよ」
「アレが僕の役割だからね。悪かったねここのところ調整が上手く行かなくて」
「調整?」
「調整? 僕はそんなこと言ったかな?」
自分の言ったことすら忘れているのを見て、やはり本調子ではないのだろうなと思い、無理せず寝てていいと言うも拒否された。しばらくふたりで星空を見上げていると、アライアスが問いかけてくる。
「コーイチ、君は本当に種族を問わない国を作ろうと思っているのかい?」
「そのつもりだ。エルフも数が減っているようだし、ワーウルフも多くないという。さらに人間族も数は増えてはいるが人口的にも多くないようだし、どれかに偏るより幅広く集めてみようとおもって」
「たしかに現状でそれはやりやすい方法だが、君も知っての通り種族的な違いや文化の違いがあり、争いは絶えないだろう。そこをどうするかだ」
「法を布き国としての姿をしっかり定め、それに従わないのであれば退去してもらう。帰属意識が無ければ内乱の元となるというのを、学んできたつもりだ。自分の元の国が良ければ帰るしかない。俺の国は相手の元の国をコピーしたりはしないからだ。誰もが俺の国に帰属意識を持つ、それを譲るつもりはない」
「独裁と言われても?」
「独裁も何も俺の作る国だし、誰の言うことも全て聞くと言う訳にはいかない。もちろん間違っていたり良い意見があれば取り入れるけど、自分の元の国の文化が良いからここでもそうしろ、という強制は受け入れられない。それを受け入れれば、皆の言うことをきかなくちゃならなくなるしな」
「なかなか肝が据わっているようだなコーイチ。そしてそれが現実として出来れば面白そうだ」
「実際どこまで貫き通せるかが勝負だし、その前に土地と人集めがあるからまだ夢の途中さ」
ー夢の話はいつでも楽しいものだな、コーイチ。
アライアスと話しながらも違和感を感じていると、さらに強い違和感が現れた。いつもなら殺気を放ちながら近付いてくるのに、今日はなぜか穏やかな感じすら受ける。
「黒騎士も混ざるか?」
「いや結構。俺が出来るのは汚れ役だからな。そしてやるなら勝手にやる」
黒騎士はそう答えながら向かいに座り、焚火を囲んだ。この三人で座る風景は、他からしたら異様だろうけど何故か心強い気がした。
「まるでコーイチの国に加わるような言い方だな、黒騎士よ」
「ははっ俺は戦が起こりそうなところに寄与する存在、戦の臭いのするところに俺はいる、ただそれだけだ」
「それがミーファの願いだからか?」
「黙れ賢者。首を刎ねられたいのか?」
ミーファという言葉をアライアスが発すると、先ほどまでの穏やかな感じと打って変わり、黒騎士はどす黒い殺気をまき散らす。
冒険者ランク:シルバー級
職業:二刀流剣士(初級)
魔法:生命力変換Lv.2
冥府渡り(デッド・オア・ダイブ)Lv.2
魂斬り (ソウルスラッシュ)Lv.2
仲間:エイレア(エレクトラ王妃の妹のエルフ族)
ヴァルドバ(ワーウルフ)
騎乗馬:サジー(白毛の小さめの馬)
所持品
メイン武器:ソードブレイカー・右
サブ武器:ソードブレイカー・左
クリスタルソード(王妃がエルフの里から持ち出した秘剣。追憶のペンダントが無ければ抜けない。鞘のベルトを肩から斜め掛けし背中に背負う)
神の使いの剣
騎乗時の武器:鉄の棒
防具:布の服・ズボン・革の靴(初期装備)
エルフのマント(裏面に魔法陣が隙間なく掛かれ、表はど真ん中にウロボロスのマークが入ったマント)
アイテム:エリナから貰ったリュック
(非常食各種、水、身分証、支援金五十ゴールド、地図、治療セット箱)
キャンプ用品一式
水晶の荒粒
追憶のペンダント(エレクトラ王妃から借りた物。マナの木の持ち物?)
砥石一式
鉄くずの入った袋
メメリカ草(痺れ消し草の粉末一袋)
皆とおそろいの裁縫セット(緑)
所持金:十三ゴールド




