第百四話 エルフの里と人間族の町の間にある森
自分としては感覚がそこまで行っていないので、そうかなあと返しつつサジーと共に動いてみる。軍馬は鍛え上げられているので早いは早いものの、荷物とアライアスがある荷車を引いてくれているので、速度はそんなに出ないのでヴァルドバと共に先行してもらった。
後ろに付きながら軍馬が疲れるまで騎乗戦の練習をしながら走る。ある程度移動したところで川を見つけ、サジーたちに水を飲ませようとしたところ、エレイアからちょっと待ってと制止された。
彼女は軍馬を降りて川に近付くと掌を入れ目を閉じ、少ししてから手を川から出して戻り飲ませても良いと言う。どうしたのかと聞くと川には偶に妖精が悪戯し、毒が入っている時があると言われぞっとする。
「私たちは近付けば気付くけど、馬や人間族は気付かないからね。それで死んだ人もいるのよ」
「それ悪戯じゃなくね?」
「彼らにとっては悪戯なの。アライアスも悪戯されたことあるでしょう?」
「え? あ、ああ、そうだね」
荷台に座ってボーっとしているアライアスは、心ここにあらずと言った感じだった。エルフの里が近いからなのだろうかと気になりどうしたのか聞くも、返事も上の空で取り付く島もない。
ラオックが傍にいるから何かあれば教えてくれるだろうし、病気とかでは無さそうなんだが気にはなる。エルフの里へ行くまでに分かれば良いなと思いつつ、今は無理強いせずに休憩を取り終わると出発した。
しばらくすると本格的な森に入り雰囲気が変わってくる。これまでは木漏れ日が多く癒される雰囲気だったものが、草木が生い茂り木漏れ日も少ないだけでなく、何かがこちらをジッと監視しているような感覚があった。
ラオックの時と違う、黒騎士が消える時のような魔法的なものを感じる。エレイアに近付きそのことを話し意見を求めてみたところ、それがエルフの里と人間族の間にある森だという。
「妖精はあちこちにいるし、自然系のモンスターも点在している。それに妖精の親分もいたりするから気をつけて行きましょう」
妖精の悪戯に関して聞いたばかりなので、妖精の親分というものに良いイメージを持てなかった。用心しつつ進んでいたものの、何となくだが同じ道を進んでいるような気がして、皆に止まるよう言ってそのことを告げてみる。
エイレアはしばらく考え込んだ後で、エルフの里と人間族の間にある森にはいざという時に、結界が張られるような仕様になっており魔法の仕掛けがある、と聞いたことがあると言った。
「私がヲスカーに行くまでは結界なんて発動してなかったけど、アライアスの家族が発動させたのかしら。どうなの?」
「し、知らないなそんなの」
「本当に違うのか?」
「知らないんだ本当に」
真っ向勝負を望んでいるラヴァルではないとすると、アライアスの家族あたりが該当していそうだが、今は分からないのでそれは置いておく。どうやったら結界を解けるのか聞いたところ、具体的な解き方は知らないと話す。
「解除とか原因を探る為のアイテムを、家から持って来てないのよね。思えば姉さまみたいに実家から何かくすねて来ればよかったわ」
「くすねるのは良くないぞ? 借りてくると言いなさい」
「おじさんみたいなこと言わないでよ。あ、そうだ。クリスタルソードの力を借りてみたら? その剣ならもし仮にコーイチの言う通りなら、このループを抜け出す手助けをしてくれると思うわ」
エレイアの提案を聞き直ぐに胸元の追憶のペンダントを見ると、理解したかのように光だし背中のクリスタルソードが鞘から自然と抜け、目の前に柄が降りてくる。
一旦サジーから降りて棒をエレイアに預け、追従して来てくれた剣の柄を手に取り高く掲げてみた。眩い光が剣身から放たれ森の奥まで広がり照らす。
冒険者ランク:シルバー級
職業:二刀流剣士(初級)
魔法:生命力変換Lv.2
冥府渡り(デッド・オア・ダイブ)Lv.2
魂斬り (ソウルスラッシュ)Lv.2
仲間:エイレア(エレクトラ王妃の妹のエルフ族)
ヴァルドバ(ワーウルフ)
騎乗馬:サジー(白毛の小さめの馬)
所持品
メイン武器:ソードブレイカー・右
サブ武器:ソードブレイカー・左
クリスタルソード(王妃がエルフの里から持ち出した秘剣。追憶のペンダントが無ければ抜けない。鞘のベルトを肩から斜め掛けし背中に背負う)
騎乗時の武器:鉄の棒
防具:布の服・ズボン・革の靴(初期装備)
エルフのマント(裏面に魔法陣が隙間なく掛かれ、表はど真ん中にウロボロスのマークが入ったマント)
アイテム:エリナから貰ったリュック
(非常食各種、水、身分証、支援金五十ゴールド、地図、治療セット箱)
キャンプ用品一式
水晶の荒粒
追憶のペンダント(エレクトラ王妃から借りた物。マナの木の持ち物?)
砥石一式
鉄くずの入った袋
メメリカ草(痺れ消し草の粉末一袋)
皆とおそろいの裁縫セット(緑)
所持金:十三ゴールド




