第百一話 ウォルフガングとエルザ親子
エルザの父であるエオルさんは、部屋から持ってきたという図面をテーブルに広げ、森の中に作る家の数々を説明してくれた。
無理に土地を切り開くのではなく、なるべく自然を大切にしたいという考えを伝える。すると枝を剪定して日差しをいれたりして畑を作ったり、家で火を使う場合は煙突を伸ばして煙を上へだしたりなど、色々と提案をしてくれた。
ヴァルドバもエイレアも自分たちの理想の家を話し、図面の中からこれはどうかなどと勧められ、互いに意見を交わし合う。終わりがない楽しい時間だったが、エルザがうとうとしたのを見て解散し就寝する。
久し振りの宿でベッドに寝たこともあってか、起きた時には既に御日様は真上を過ぎていた。さすがに今日出立するのは危ないと考え、明日出る為の準備を始める。
生肉などは買わずに干し肉などの保存食を購入し、火打石やハンモックなどを購入し森での生活を整えた。いよいよ魔神との戦いが近い上に、ここが最後の人間族の町なので入念にチェックし購入をしていく。
「おうコーイチ、今戻ったのか」
荷物を四人で抱えて宿に戻るとウォルフガングさんが居て驚く。どうしたんですかと聞くとお前に礼を言いに来たという。なんのことか分からず戸惑っていたところに、奥からエオルさんとエルザが出てくる。
「コーイチ様、お帰りなさい。まさかウォルフガング様とも知己だとは知らず失礼しました」
「知己というか剣を交わした仲だよな? コーイチとは」
がははと笑うウォルフガングさんに対し、エオルさんはまたですかと言って笑っていた。またと言うのが気になるが、それよりもとても仲が良さそうに見えたので、お二人は友人ですかと聞くと
「友人でもあるが家族の一員でもある。エオルは俺の妹の旦那だ」
そう教えてくれる。ウォルフガングさんとエオルさんは最初は戦場で出会い、魔法と剣技で幾度も渡り合った仲だという。
戦争が一旦収まりエレクトラ王妃の人間族への留学が決まった際、エオルさんも選ばれて留学に来たそうだ。
元々戦うよりも建築に興味を持っていたエオルさんは、首都で学びつつ町でありながら前線基地として機能する、ここハクロを気に入り長い時間滞在した。
ウォルフガングさんは元々ここの出身であり、家族も全員ここに今もいるという。留学生と前線指揮官として交流をするうちに意気投合、建築を共に指揮するなどしていくなかで、ウォルフガングさんの妹と知り合い恋に落ちたようだ。
「結婚してエルザを産み元気にしていたのだが、ある日突然逝ってしまってな。元気な妹がなぜとエオルと落ち込んだものだ。その上にコイツまで病に犯され、療養するよう言ったが娘の為、夢の為には働きたいというのでここを任せていたんだ」
「働くと言ってもウォルフガング様に手伝って頂いてましたし、今は娘が主力ですが」
「そんなことないよ! お父さんがこの宿の一番だから! 体も良くなったしもう大丈夫だよね!?」
「エルザの言う通りだ。俺としては体調が良くなったのであれば、宿より俺を補佐してくれた方が助かるのだが」
「有難いお言葉なれど、私は体が治ったからには自分の力で資金を得たいのです。コーイチ様にもいずれ森に家を建てる際は協力して欲しい、そう言われておりますし国からはなるべく距離を置きたいのです」
「王からも聞いている。コーイチはどこかに国を作るのが目標なのだろう? ってすまん、礼を言うのを忘れてしまっていた。俺の義理の弟であるエオルの病を治してくれてありがとう! お前は俺たち家族の恩人だ!」
「いえいえ、偶々なんとかなっただけですから」
「おいエイレア、買い物の代金は?」
「……アンタにエイレアとか言われる覚えは無いんだけど、全部で五ゴールドよ」
「わかった……五ゴールドだ、受け取ってくれ。あと王からも旅で掛った経費は必ず後で申告するように、と言われているので忘れないようにな」
冒険者ランク:シルバー級
職業:二刀流剣士(初級)
魔法:生命力変換Lv.2
冥府渡り(デッド・オア・ダイブ)Lv.2
魂斬り (ソウルスラッシュ)Lv.2
仲間:エイレア(エレクトラ王妃の妹のエルフ族)
ヴァルドバ(ワーウルフ)
所持品
メイン武器:ソードブレイカー・右
サブ武器:ソードブレイカー・左
クリスタルソード(王妃がエルフの里から持ち出した秘剣。追憶のペンダントが無ければ抜けない。鞘のベルトを肩から斜め掛けし背中に背負う)
防具:布の服・ズボン・革の靴(初期装備)
エルフのマント(裏面に魔法陣が隙間なく掛かれ、表はど真ん中にウロボロスのマークが入ったマント)
アイテム:エリナから貰ったリュック
(非常食各種、水、身分証、支援金五十ゴールド、地図、治療セット箱)
キャンプ用品一式
水晶の荒粒
追憶のペンダント(エレクトラ王妃から借りた物。マナの木の持ち物?)
砥石一式
鉄くずの入った袋
メメリカ草(痺れ消し草の粉末一袋)
所持金:十九ゴールド




